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がん患者:診断後1年以内に自殺:告知の問題ではないか

2014-04-22 15:35:51 | 現代社会論
がん患者:診断後1年以内に自殺…危険性は他の20倍
毎日新聞 2014年04月22日 12時03分(最終更新 04月22日 14時36分)


がんと診断された患者が診断後1年以内に自殺する危険性は、がん患者以外の約20倍に上るとの調査結果を、国立がん研究センターの研究班がまとめたとのこと。
1年以上たつと差がなくなるそうである。
研究班は「診断間もない時期は、患者の心理的ストレスや環境の変化などに特に注意する必要がある」と分析する。


この研究は、病気と自殺の関連に着目した初の大規模疫学調査で、9府県に住む40〜69歳(調査開始当時)の約10万人を、2010年末までの約20年間追跡した。

 その結果、追跡期間中に561人が自殺で亡くなり、うち34人はがんと診断されていた。がん患者以外の人が自殺する危険性を1とした場合、診断後1年以内の患者の危険性は23.9に上り、1年以上たつと1.1に減った。自殺が相当数含まれていると考えられている事故などの「外因死」の危険性も、診断後1年以内は18.8、1年以上は1.2と、同じ傾向だった。

 スウェーデンで約600万人を対象にした調査では、診断後1週間以内の自殺の危険性が約13倍、1年以内では約3倍だったとのデータがあり、日本より低い。

 一方、欧米ではがんが比較的早期のグループほど自殺の危険性が低いとの調査結果があるが、今回の分析では、がんの進行度による違いはほとんどなかった。

 がんは日本人の2人に1人がなり、死因の約3割を占めるが、治療技術の進歩などで、5年生存率は03〜05年の統計で5割を超えている。特に早期で発見された時の5年生存率は約9割で、必ずしも死に直結する病気ではなくなった。このため国が12年に定めたがん対策推進基本計画では、死亡率の減少と同時に「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」を全体目標に掲げている。

 分析した国立精神・神経医療研究センターの山内貴史研究員は「死のイメージが強いがんと診断されたショックに加え、治療による生活の変化、人によっては失業や生活苦などが最初に重なり、自殺の危険性を高めていると考えられる。海外の調査と研究手法に違いはあるが、早期がんも進行がんと変わらず危険性が高かったことは、治るがんが増えていることなどを丁寧に説明し、サポートを充実することが必要といえる」と話す

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早期がんでも進行がんでもとにかく、これは告知の方法の問題ではないかと思われる。
がんの告知は昔は、不治の病だったので、本人には病名を知らせないことが多かった。
最近は、がんの治療も日進月歩で、たとえがんだとしても絶望する必要はなくなった。
だから、医師は簡単にがんの告知をする。
告知されるほうの気持ちを配慮することはあまりしなくなったように思える。

しかし、がん、といれるのは、たとえ早期だとしても、そして治る病気になったとはいえ、大変なことである。

医師はやはり気を使うべきであろう。

事実を言えば医師は治療するのは楽だろうが、本人や家族にしてみればやはり重い問題なのである。
治るといわれても不安は消えることはないし、一旦は元気になってもいつ再発するか気が気ではない。

告知後、だれだって、半年や一年はかなり落ち込むだろう。
抗がん剤治療や手術、心身ともに大変である。
自殺率が高いのは理解できる。

医師は告知の方法をもっと学ぶべきなのである。
事実を言えば、治療に専念できて病気の情報などどんどん出せるので治療は楽になるのだろうが、本人はそうはいかない。
家族だって、同じである。

末期がんでありもうなすすべがない場合、どうあるべきか。
末期、たとえそうだとしても、患者や家族は一縷の望みをかけていろいろな方法を試すものである。

患者本人は、苦しくないように最期を迎えたいと思う反面、やれることはすべてやりたいのだ。
そこで必要なのは、来年はいないかもしれないが、明日は生きているはずという希望である。
そういう希望を演出するような告知の仕方ができなければ医師としては失格である。

とにかく、人はだれでも希望があれば生きられるものなのである。
希望を与えられる告知の仕方、難しいが、それが自殺を防止するすべだと思う。

最期まで生きる希望を持ち続けていられること、患者本人にとって、そのことが一番大切だと、母を看取って思うのである。






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