3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

障がいのある子どもを産む:茨城の教育委員の発言の波紋

2015-11-24 13:45:48 | 現代社会論

障害児の出産:「茨城では減らせるように」と教育委員が発言して波紋が広がっている

毎日新聞 2015年11月19日 


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 茨城県の長谷川智恵子教育委員(71)が18日の県総合教育会議で、県内の特別支援学校を視察したことを踏まえ、「妊娠初期にもっと(障害の有無が)わかるようにできないんでしょうか。4カ月以降になるとおろせないですから」などと発言した。
 この日の会議は橋本昌知事や教育委員らが出席し、2020年度までの県の教育方針などを話し合った。会議終盤、橋本知事が自由に発言を求めた際、長谷川氏は今月4日に特別支援学校を視察した感想として「ものすごい人数の方が従事している。県としてもあれは大変な予算だろうと思った」と発言。橋本知事が「堕胎(だたい)がいいのかどうかっていう倫理的な問題まで入ってくる」と応じると、長谷川氏はさらに「意識改革しないと。生まれてきてからでは本当に大変です」「茨城県はそういうことを減らしていける方向になったらいいなと」と述べた。

 長谷川氏は19日、毎日新聞の取材に「早めに判断できる機会があれば、親もさまざまな準備ができるという趣旨。障害を認めないわけではない。言葉が足らなかった」と述べた。長谷川氏は東京・銀座の日動画廊副社長で、今年4月、県教育委員に就任した。【玉腰美那子】

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長谷川委員の発言は、障がいのある人々、障がいのある子どもを持つ親たちにとってはとても精神的ダメージを与えるものである。
当人はあまり考えないで発言してしまったのだろうが、障がいのある人々はいらないといわれているようなものであり、配慮に欠ける発言である。
言葉が足りなかったとはいわせない。そんなこと後から言っても遅いのである。公の人としての発言なのだから、障がいのある人々については、もっと配慮が必要である。
障がいがあることは罪ではない。
出生前診断で分かった段階で、中絶をする人もいるだろうししない人もいる。出生前診断をしない人もいるだろう。
十分考えた結果である。成熟した社会においては、障がいの有無にかかわらずその人権は守られる必要があるのである。
ナチスドイツでは、障害者はユダヤ人より早く殺されていた、というのを先日NHKスペシャルでやっていた。
それは、精神科などの医師の発言でとのことであった。国家権力も怖いが、医師たちが自主的にそう考えたという事実は衝撃的だった。
専門家、一般市民、みなが自己抑制するその姿勢がもっとも怖いのである。国家権力の抑圧を読み取り自主的に自ら権力に加担する。

身体、知的、精神的障がいのある人々、認知症の高齢者、介護が必要な高齢者の人々がどう遇されるか、その内容でその国の障がい者へのスタンスがわかるというもの。
長谷川委員は自分が年取って、障がいを持つかもしれないということは想像できないのだろうが、そうなって初めて自分の発言の愚かさを知ることになるのだろう。
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