3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

パラサイトシングルの老後

2016-10-30 14:11:11 | 現代社会論
パラサイトシングルと言われる人々が今、親の介護に直面しているという。
パラサイトシングルといってもいろいろである。
まず、年齢が60歳、50歳、40代かでも事情は異なる。
そして、仕事の有無、正規か非正規か、社会保障の枠内か枠外で働いているか
親と同居しているのがパラサイトシングルの前提だが、その親の状況、
要介護か認知機能はどうか、病気があるかないか。
そして、住宅は持ち家か
きょうだいの有無。きょうだいとの関係が良好か否か。

ざっと考えるとこんな感じであろうか。

ずっとなんとなくシングルで親のすねをかじり、正規の仕事についていなかったシングルたちは親が寝たきりや認知症になるとかなりきついだろう。
一人だから気楽にそこら辺の仕事をやっていたりするが、そもそもそういう仕事は不安定だから、介護休暇制度が整備されているとはいえない。
非正規の仕事とはいえ、今の仕事を親の介護だからといってそう簡単に休むわけにもいかず、だからといって、介護保険サービスが際限なく使えるかというとそうでもなく、利用料もただではないので、苦しい。
親の年金に依存しているうちはいいが、親が亡くなってしまうと突然経済的困窮に陥ることもある。
親の年金もそこそこあればよいが、無年金や低年金だとさらに悲惨なことになる。親も子供も経済的困窮に陥る。
そもそも親に寄生しているのだから、自分ではやれない人が多い。
シングルであっても仕事をもち、自立した生活をしていればよいが、だいたいはそうではなく、コミュニケーション力が乏しいものも多い。

結婚経験もなく、なんでも親まかせだったので、家事はできない場合が多い。
さらに、メンタルな病気などがあり、親が投薬管理しているうちはよいが、できなくなるとこれほど大変なことはない。

きょうだいたちはみな自力で暮らしていたりするわけなので、今までさんざん親のすねをかじってきたパラサイトシングルの身内に対しては結構厳しかったりするのである。

で、ますます、孤立し、パラサイトたちは自らの老後も悲惨になる。
お金もなく、生活技術もなく家は親の名義なので親が亡くなったらきょうだいとわけなければならなくなるかもしれず。
売ってお金に換えて分けようという話も出てきたりすると、困ったことになる。
親のすねをかじってきたのだから、といって、そのまま家にいるわけにもいかなくなるのである。

かくして、安穏としたパラサイトシングルの暮らしは音を立てて崩れる。
シングルであっても問題ないのだが、パラサイトであることが問題を引き起こすということである。

これは大問題なのである。



コメント
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