昨晩、12時からディスカウの1987年来日講演を見た。フーゴー・ウォルフの「メリケ歌曲集」
当時62歳、そしてピアノはヘルさん、当時30代半ば、若い!
ウォルフは難しくとても私は歌えないが、ディスカウの表情豊かな歌に聴き惚れた。
ヘルさんのピアノがこれまたすばらしい。35歳ぐらいだろう。血気盛んな演奏、それに巨匠ディスカウが年輪を感じさせ、厚みを加える。
ヘルさんのピアノがすばらしいのは、ディスカウから直接伝授されたからなのだろうなあ。
ドイツ歌曲の場合、ピアノは伴奏なんかじゃない。歌い手と闘いながら寄り添いながら新しい境地を切り開く。
ああ、あの時、あんなに若かったヘルさんももう今は60歳を超えてしまったのだ。
そして巨匠は巨匠によって育まれ、文化は引き継がれる。巨匠のそばにいて、同じ空気を吸うこと、それが大切なのだ。
生身の人間ディスカウは暖かいユーモアのある人だったそうだ。
だからこそ、歌に温かさとユーモアがあるのだろうなあ。