サッカー日誌 / 2009年10月16日


東京ヴェルディの新体制(2)


経営行き詰まりの責任者は誰か?

★直接の責任は出向経営陣
 東京ヴェルディの経営が新会社の手に移った。親会社だった日本テレビが株を手放したからである。なぜ手放したかといえば、毎年、毎年、数十億円の赤字を埋めるのがイヤになったからである。
 親会社のほうの経営が下り坂になったこともあるだろうが、子会社であるヴェルディの経営の行き詰まりが、あまりにひどかったということだろう。
 経営不振の原因をさかのぼって考えれば、いろいろな「いきさつ」や「事情」があっただろう。しかし、直接の責任は親会社から出向して運営に当たっていた「株式会社日本テレビ・フットボール・クラブ」の役員にある。
 旧会社の最後の社長の任務は赤字会社の「整理」だっただろうから、経営行き詰まりの直接の責任者は、その前の社長だったというほかはない。

★頂上から転がり落ちる
 Jリーグが発足した当時、ヴェルディは日本のトップチームで、人気もいちばんだった。初年度は全試合、入場券が売り切れた。帳簿上は経費を多く落して「とんとん」程度の決算にしていたが、実際には「黒字」続きだったという。
 前身の「読売サッカークラブ」のころから、プロ化をめざして苦労して登ってきて、ようやく頂上にたどり着いて、大きな展望が開けた感じだった。
 これからは、多少の登り降りはあっても、尾根伝いに次の頂をめざして進むべきところだった。
 ところが縦走を始めて間もなく、自らつまずいて転んだ。そこから坂を転がり落ちるように成績も経営も悪くなっていった。親会社から出向した経営陣は、それを食い止めることができなかった。

★努力もくふうも少なかった
 「落石を途中で止めるのは難しい」という見方もあるだろうが、ヴェルディの場合もそうだろうか。
 アルビレックス新潟は、競技レベルの点でも、サッカー普及度の点でも、ほとんどゼロの状態で地域リーグからスタートして、現在は観客動員数でもリーグの成績でも上位にいる。大企業の後ろ盾がなかったから、独立運営の努力とくふうを積み重ねた結果である。
 首都圏のチーム経営には別の難しさがある。それは、そのとおりだろうが、FC東京は、同じ味の素スタジアムを使って、ヴェルディの数倍の観客を集めている。Jリーグでは後発だったからこそ、地元の観客層開拓をくふうし、しゃにむに努力した結果である。
 この二つの例にくらべて、旧ヴェルディの出向経営陣は「努力もくふうも足りなかった」と言われてもしかたがない。

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