サッカー日誌 / 2009年06月30日


岡田監督の「四強宣言」(上)


ひとり歩きしはじめた「目標」

★高い「努力目標」を掲げた狙いは?
 日本代表チームがワールドカップ南アフリカ大会への出場権を獲得した。まずは第一のハードル越えである。そして岡田武史監督は「本番での目標はベスト4」と語った。
 岡田監督は、どういうつもりで「四強宣言」をしたのだろうか?
 高い目標を掲げるのはいい。でも高すぎると「夢」になる。岡田監督は「夢」を語ったのだろうか? あるいは手の届く可能性のある「目標」を掲げたのだろうか? それとも応援してくれる国民に対して「公約」したのだろうか?
 おそらくは、達成の可能性のある「努力目標」として掲げたのだろう。
 ワールドカップのベスト4は、どんなチームにとっても幸運に恵まれなければ難しい。でも、日本が最善の努力をすれば可能性はあると考えたのだろう。その狙いは、南アフリカでの戦いを準備するために、選手たちの意欲を奮い立たせることにあるのだろう。

★ファンとマスコミへの影響
 しかし「ベスト4」は、ファンとマスコミの間で「ひとり歩き」しはじめた。
 サッカーは好きだが、世界の情勢に詳しくはない仲間が「日本は準決勝までいけそうかね?」と聞く。
 記者会見のたびに「本当にベスト4を狙うのか」と質問する記者がいる。
 こういう質問をする人たちは「ベスト4」を岡田監督の「公約」だととらえている。
 幸運に恵まれれば可能性のある「努力目標」ではなく、不運がなければ当然、実力どおりに達成できる「義務目標」だととらえている。
 合宿のミーティングで選手を鼓舞するために話すのならともかく、マスコミに対して繰り返し語れば、伝えられるたびに、人びとの間で「ベスト4」への期待値は、どんどん高くなっていく。

★過大な期待の反動が怖い
 似たようなことが前回のドイツ大会でもあった。このときは決勝トーナメント進出が「義務目標」になった。主としてテレビの前宣伝が1次リーグ突破の望みは十分と煽りたてた。第1戦でオーストラリアに敗れても、まだまだ望みが濃いように伝えた。
 こういう「前景気」では、過大な期待の反動が怖い。
 期待どおりの成績があげられないと「なーんだ」と失望したファンは、くるりと背を向ける。
 南アフリカ大会の「ベスト4」は、ドイツ大会の「ベスト16」よりも、はるかに困難である。日本のレベルは上がっていると岡田監督は考えているかもしれないが、他の国のレベルも上がっていると考えなければならない。マスコミに対して高い目標を掲げるよりも、自分の心に秘めて準備に最善を尽くしたほうがいい。


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