サッカー日誌 / 2008年05月27日


新しい大学スポーツのあり方を


東大五月祭の公開パネル討論
(5月24日・東大本郷キャンパス )

★日本は世界のトップクラス
 東大五月祭にサッカー部(ア式蹴球部)主催で開いたパネル討論会「大学サッカーの未来を考える」は、予想以上に中身の濃いものになった。サッカーだけでなく、日本の大学スポーツ全体を考えるきっかけになって欲しいと思った。
 現役サッカー部員の望月進司くんが登壇し、サッカー協会の役員であり大学教授である他のパネリストと肩を並べて、米国の大学スポーツについて報告し、堂々と意見を述べた。望月くんは、米国生まれで、高校卒業まで米国で育ち、サッカーもしていた。いま、東大法学部3年生である。
 「日本の大学サッカーは、大学生のオリンピックであるユニバーシアードで4度も優勝している。大学生では世界のトップなんだから、競技レベル点では、心配することはない」というのが彼の意見の一つだった。

★選手育成は役割ではない
 瀧井敏郎さん(東京学芸大教授)と加納樹里さん(中大教授)は「大学がエリート選手育成の役割を担う必要があるとは考えない」という趣旨の意見を述べた。
 たしかに、日本の大学サッカーは、外国の大学サッカーにくらべて、ずいぶん盛んだし、レベルも高い。Jリーグ・チームの主力選手もおおぜい出している。
 トップクラスの選手養成はJリーグのクラブでもできるので、必ずしも大学が全面的に引き受ける必要はない。現状で十分である。「なるほど」と思った。
 しかし、現在の日本の大学サッカーに問題がないわけではない。
 日本の大学サッカーのレベルはけっこう高いのに、人気がない。米国では、大学のフットボールやバスケットボールは、プロと並ぶ人気があり、けた違いのテレビ放映権収入がある。教育や研究とは別に、大学スポーツの地位が認められている。
 
★新しい組織で新しい役割を
 日本の大学スポーツは、一部では大学のPRの手段に使われているが、マスコミに大きく取り上げられないから宣伝効果は乏しい。財政的にも、それほど恵まれていない。
 数万人単位の学生を抱える大学で、試合に出るのは原則として1チームだけである。一握りの選手のために体育会系のスポーツ部があるのは何のためだろうか?
 米国のNCAA(全米大学スポーツ協会)のような各種のスポーツを含んだ組織を作って、テレビ放映権料などを得て、スポーツ振興の資金に使えないだろうか?
 あるいは、大学スポーツの施設と人材を活用して、地域に門戸を開放したスポーツクラブを運営できないだろうか?
 パネル討論では、いろいろな意見や疑問が出た。古い伝統や組織にとらわれないで、新しい大学スポーツのあり方を求めるべきだと思う。

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