サッカー日誌 / 2013年10月05日


東京五輪の問題点(2)


専門家が新国立競技場を批判
(9月23日付 東京新聞)

★世界的建築家が反対
 2020年東京オリンピックの象徴は、神宮外苑の新国立競技場である。
 現在の国立競技場を取り壊し、大規模な屋内陸上競技スタジアムを建設する。そのユニークな外観のデザインが、東京の開催計画の目玉である。
 ところが建築の専門家から異議が出た。9月23日付の東京新聞は一面と社会面のトップで、それを伝えた。
 世界的に有名な建築家で東大教授も務めた槙文彦さんが景観や安全性などの点から反対し,大幅な計画見直しを求める論文を日本建築家協会の機関誌に発表したという。
 翌日付の朝日新聞文化面にも槙さんの意見が紹介された。
 槙さんだけではない。「ほとんどの建築家」が計画の変更を求めている。10月11日に「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」と題したシンポジウムを建築家会館で開く。

★不必要に巨大な計画
 前にも指摘したところだが、問題はたくさんある。
 神宮の森の環境を破壊する。風致地区の美観をそこねる。オリンピックにとっても不必要に巨大である。大会後に役立つ見通しがない。1300億円以上というスタジアムの工事費を含め神宮外苑全体を作り変える巨額の費用の総額と出所が不透明である。などなど……。
 東京新聞の一面には、現在の神宮外苑を上空から撮影した全景写真に新国立競技場の範囲をかぶせたイメージ図がカラーで掲載されていた。それを見ると新国立競技場計画の無謀さが一目瞭然である。
 新スタジアムは、隣の駐車場から日本青年館、神宮第二球場にまで広がり、都営アパートと神宮球場に迫っている。
 都営アパートは取り壊す予定で住民は立ち退かなければならない。神宮球場は、隣の秩父宮ラグビー場を撤去して、そのあとに移す計画になっている。

★招致のためのデザイン
 東京オリンピックの開催計画書には、壮大で美しい曲線の外観デザインが載っている。完成予想図である。
 しかし、この外観はヘリコプターで上空からでなければ見えない。下からは「八万人の観客席を支えるコンクリートの壁だけ」しか見えない。専門家がそう指摘している。
 なぜ、こういうことになったのか?
 デザインは、IOC(国際オリンピック委員会)に提出する開催計画書に掲載するために決められた。見栄えよくパンフレットに載せることがスタートだった。
 本来であれば、まず東京全体の都市計画があり、そのなかで神宮外苑の位置づけがあり、そのうえでオリンピックに必要な施設をどう作るかを検討しなければならない。
 新国立競技場のデザインの場合は、オリンピックそのものにとって必要であるよりもさらに前に、招致運動のために必要だったのである。順序が逆立ちしている。


9月23日付け、東京新聞一面。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 東京五輪の問... 東京五輪の問... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

Copyright(C) 2007 US&Viva!Soccer.net All Rights Reserved.