サッカー日誌 / 2015年07月23日


新国立競技場計画の見直し(中)


サッカーでも使えない

白紙に戻して新計画を策定
(7月17日、安倍首相言明)

★協会は計画通りを要求
 新国立競技場計画の見直しについて、日本サッカー協会は当初の計画通りを要求した。
 「8万人収容の屋内スタジアムを」ということである。
 この要求は、2020年東京オリンピックのあと「主としてサッカーで使うことができる」という想定に基づいている。
 8万人のスタジアムを埋めることができる可能性があるのは、いまの日本では、サッカーの国際試合だけである。
 6万人規模の横浜・日産スタジアムと埼玉スタジアムでも、日本代表の試合で満員札止めになることがある。
 そういう事情を考えれば「8万人収容のスタジアムが欲しい」という要求は理解できる。
 しかし、新国立競技場は、東京オリンピックのあと、サッカーで利用できる状態になるのだろうか?
 一つの問題は「使用料」である。
 建設費と維持費を賄うには、使用料はかなり高額になる。

★使用料が週1億3500万円以上?
 かりに建設費を2000億円とする。
 年間の維持管理費を1年、30億円とする。
 これは、現在想定されているよりも低い金額である。
 競技場の耐用年数50年とする。現在の鉄筋コンクリートの構造物が建て替えられる平均的な年数である。
 維持管理費の50年分は1500億円になる。
 これに、50年後に建て替えるための建設費を加えると総額3500億円になる。金利などを考慮しない単純計算である。
 50年で割ると1年あたり70億円である。
 1年は52週である。
 建設費の償却と維持費を、独立採算で賄うには、週の使用料を約1億3460万円以上にしなければならない。
 スポーツ団体が支払える金額ではない、
 サッカーでも無理である。
 使用料が高額であれば、既設の埼玉あるいは横浜の日産スタジアムを使ったほうがいい。

★芝生を維持できない
 もう一つの問題は「芝生」である。
 屋根付きスタジアムで、天然芝を育てるのは難しい。
 天然芝を維持するには、使用頻度を制限するとともに、朝日がさんさんと照ることが必要である。
 総屋根では不可能である。スタンドだけの屋根でも、東側に大屋根があると芝生は育たない。
 植え替え用の芝生の育成には、特別の用地と経費がいる。
 そういうわけで、新国立競技場ができても、サッカーが使用する可能性は低い。
 日本サッカー協会は、そういう事情を理解しているのだろうか?
 そのうえで「総屋根、8万人収容」を要求しているのだろうか?
 東京に、どんなサッカー場が必要かは、オリンピック施設とは別に考えたほうがいい。



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