サッカー日誌 / 2014年08月24日


ビバ!ブラジルW杯時評(12)


ブラジルの大会運営への評価(上)

施設計画は概して適切

★完成は綱渡りだったが
 ワールドカップ2014ブラジル大会の前にはスタジアムや関連インフラの建設遅れが心配されていた。
 サンパウロでは開幕試合の行われる前日に駅からスタジアムに行くブリッジの塗装が行なわれていた。施設の完成が綱渡りだったことは確かである。
 しかし、観客席やフィールドの芝生整備は間に合い、試合は無事に行われた。
 スタジアム周辺の道路や飛行場の整備工事は未完成の部分もあったが「スポーツの大会だから試合が出来ればいい。飛行場や道路はのちのちまで使うインフラだから、完成は大会が終わった後でもいい」というのが、ブラジル人の考えのようだ。
 全部に手が回らないのなら、とりあえず必要なものを先にする。だから「間に合ったじゃないか」というわけだ。

★コリンチャンスのスタジアム
 スタジアム建設にお金がかかりすぎている、大きすぎて今後活用できるのか? そういう批判も伝えられていた。
 しかし、12会場のなかで新しく建設されたのは、サンパウロとレシフェの二つだけである。
 サンパウロのスタジアムは、人気クラブのコリンチャンスが政府や銀行の融資を受けて建設したもので、クラブの所有物である。コリンチャンスは大きなスタジアムを持っていないため、主として市営のバカエンブーか、サンパウロFCのモルンビーを借りていた。自前のスタジアムを持つのはクラブとサポーターの悲願だった。
 電車の窓から巨大なスタジアムが見えた。隣に座っていた少年が指差して「コリンチャンスのスタジアムだ」と得意げに話しかけてきた。「ワールドカップのだろ」と言うと「コリンチャンスのだ」と力をこめて言い返した。一時的なワールドカップよりもクラブのほうが大切なのはもっともだ。

★W杯の有益な遺産
 簡素な作りで6万5千人収容だったが、ゴール裏のスタンドに継ぎ足した部分は仮設で大会後に撤去し4万5千人の定員にした。適正な規模である。
 融資や工事をめぐって政治家がらみの不正があったのではないかという噂もきいたが、コリンチャンスにとってはワールドカップの有益な遺産であるに違いない。
 もう一つの新築のレシフェについては疑問を持った。市街に近いところにスタジアムがあるのに、やや不便なところに別に新築したのである。なぜ二つめを作ったのだろうか?
 その他の10会場は増築か改築である。ブラジルのスタジアムは古いものが多かったので、ワールドカップ開催が決まる前に改築されたものもある。ワールドカップのためだけに増改築したわけではない。大会後は地元のクラブで利用されるだろう。
 概して言えばブラジルの施設計画は適切ようにと思った。

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