サッカー日誌 / 2016年10月06日


東京五輪の計画見直し(下)


「集中」の理念が問題

都政改革本部調査チーム
(9月29日、小池知事に報告提出)

★「見直し」に踏み込んだ勇断
 2020年東京オリンピックの経費と施設計画の見直しが問題になっている。
 東京都の都政改革本部調査チームの報告である。
 オリンピックの開催費用が、当初予算の4倍の3兆円以上になりそうだという。
 また、新しく建設される施設の多くが、オリンピック後の利用の見通しが不透明で、将来はムダになる可能性がある。
 招致運動の段階から、われわれが指摘していた問題で「何を今さら」という気もするが、新しい都知事が、過去の決定を見直すことに踏み込んだ勇断には、敬意を表したい。
 ただし、これは東京大会だけの問題ではなく、オリンピックそのものに付きまとっている弊害である。スポーツ界は、そのことに思いをいたして欲しい。
 オリンピックの「集中主義」が根っこにあるということである。

★集中方式の弊害
 オリンピックは「集中方式」の国際スポーツ大会である。
 30以上のスポーツ(競技)を、1都市に集めて、一定期間内に開催する。
 競技数も、会場も、期間も「集中」である。
 集中開催には難しい問題がある。
 経費を考えよう。
 一つ、一つのスポーツの運営経費は、集中開催でも、分散開催でも、それほどの違いはない。
 しかし、集中開催では、同時に多くのスポーツが行われるので、全体を統括するための特別な仕事が生まれる。
 たとえば、である。
 警備のためのガードマンの動員を考えよう。
 一つのスポーツの警備に、100人のガードマンが必要だと仮定する。
 30のスポーツを集中開催すれば、3千人のガードマンを、同時に1都市に集めなければならない。
 熟練ガードマン3千人を同時期に集めるのは難しい。

★分散開催のメリット
 30のスポーツの大会を、それぞれ、別の時期に、別の場所で開催する場合はどうか?
 一つの大会で必要なガードマンは、100人である。
 いろいろな大会の警備を経験した練達のガードマン100人を動員するのは、それほど難しくはないだろう。
 これは、一つの例である。
 いろいろな面で、集中開催は弊害が多く、分散開催のメリットは大きい。
 つまり「集中開催のオリンピックは、よくない大会だ」ということである。
 とはいえ、2020年のオリンピックは、日本で開催することが決まっている。
 いまとなって返上することは出来ないのであれば、集中開催の弊害を、できるだけ少なくするしかない。
 ボートやバレーボールの会場を、分散するのは、いいアイデアである。

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