サッカー日誌 / 2015年12月21日


日本ラグビーの将来(中)


集中強化主義でいいのか?

「サロン2002」例会
(12月16日・筑波大附属高)

★「しぼって強化」
 「サロン2002」の12月例会で聞いたラグビー関係者のお話のなかに「しぼって強化」という言葉があった。
 代表チームについてである。
 いい選手を集めて、集中的に「一つのチーム」として鍛え上げる。
 それを「しぼって強化」というらしい。
 ラグビー協会の方針だという。
 「集中強化主義」ではないか、と思った。
 サッカーの代表チーム作りとは違う。
 サッカーでは、選手たちは、いろいろなチームに分散している。
 主力の大部分は、ヨーロッパで、プレーしている。
 この選手たちを、常時集めて「一つのチーム」として鍛え上げることは不可能である。

★短期の強化には有効
 いろいろなクラブでプレーしている選手たちを、その都度、集めて代表チームを編成する。
 それが、現在のサッカーの「代表チーム作り」である。
 選手には、臨時に集められてもチームとしてプレー出来る適応力が求められる。
 一方、ラグビーの「しぼって強化」は、短期間にチームを強くするためには有効である。
 同じ仲間で、同じ練習を重ね、お互いを知り、チームプレーをまとめることができるからである。
 日本のサッカーでも、かつては、集中強化方式を重視していた時期があった。
 1964年東京オリンピックのための「選手強化」は、少数精鋭による「集中強化」だった。
 それが1968年メキシコ・オリンピックの銅メダルとして実った。

★集中強化の弊害
 しかし、集中強化には弊害がある。
 一つには「しぼって強化」した代表チームが終わったあと、次の世代が続かないことである。
 サッカーでメキシコ・オリンピック銅メダルのあと、杉山、釜本などが引退すると代表チーム衰退の時期が続いた。
 また、少数の選手にしぼって強化すると、ほかの多くの選手たちが、代表チームへの関心を失う。
 「代表選手は代表チームでやればいい。われわれは自分のクラブでやる」という気持ちになる。
 強化にとっても、普及にとっても、大きなマイナスである。
 日本のラグビーの最大の課題は、競技人口の縮小を食い止めることではないかと思う。とくに高校チームの減少が問題である。
 そういう状況の中で、代表チームの「しぼって強化」を続けることがいいのだろうか?


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