サッカー日誌 / 2014年12月28日


IOCのオリンピック自己批判


アジェンダ2020の評価

スポーツ政策研究会
(12月22日 明大駿河台)

★五輪の未来への道筋
 国際オリンピック委員会(IOC)が、12月上旬にモナコで臨時総会を開き「アジェンダ2020」という40項目の提案を可決した。
 日本のマスコミでも、かなり大きく報道されたが、主として「2020年の東京オリンピックの実施競技に、野球が追加される見通しになった」という点にスポットを当てていた。
 それはそれで間違いではないが「アジェンダ2020」全体の内容は「オリンピックの将来をどうするか」という道筋についての考えをまとめたもので、野球の追加というような具体的な問題が焦点ではない。
 ぼくが参加している「スポーツ政策研究会」では、12月の例会で、このテーマを取上げた。
 IOCの「アジェンダ2020」を、どう評価するかということである。
 これは、東京大会で野球を実施するかどうかという具体的な問題よりも重要だと思う。

★オリンピックの自己批判
 原文はOlympic Agenda 2020、20+20 Recommendationsというタイトルで20ページある。
 それに Context and Backgroundという附属文書100ページがついている。
 英文はIOCのホームページで見ることができる。
 これはオリンピックについてのIOCの自己分析、あるいは自己批判である。
 オリンピックについての、過去のさまざまな問題を洗い出し、それを14の分科会で検討した。その結果を40項目の提案にまとめている。筋道立てて自己批判をした手続きは高く評価したい。
 14の分科会は、IOC委員が分担してチェアマンとなって6月に会合を開いて広く意見を聞いて検討している。
 バッハ会長自身も第7分科会の「オリンピック・チャンネルの創設」を主宰している。日本の竹田恒和委員は、第13分科会の「スポンサー、マーケティング戦略の見直し」を担当している。

★改めて内容の検討を
 オリンピックの巨大化に歯止めをかけようとしたロゲ前会長の路線を、前年9月に就任したバッハ新会長が変更しようとしているだけだという批判も研究会で紹介された。
 新体制が、旧体制へのアンチテーゼを打ち出すのは、よくあることだが、それも進歩への原動力で悪くはない。
 それを民主的に、精力的に、組織的に行ったのは、見事だと思う。ドイツ人の会長らしい論理的なやり方である。
 そういう「手続き」は評価すべきだと思うが、その結論がいいかどうかは、また別の問題である。
 オリンピックの肥大化をどう解決するのか? 
 「オリンピック精神」は、このままでいいのか?
 そういう基本的な問題に「アジェンダ2020」は、解決策を示しているだろうか?
 年が明けたら、改めて検討してみたい。


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