サッカー日誌 / 2014年08月26日


ビバ!ブラジルW杯時評(13)


ブラジルの大会運営への評価(中)

厳重警備で治安を維持

★デモが消えた理由
 コンフェデレーションズ・カップのときに、ブラジル各地で政府の施策に反対するデモが起き、それが1年間、断続的に続いていた。ワールドカップ開幕の3日前までサンパウロでは4日間、地下鉄のストライキがあった。
 ところが、6月12日に大会が始まると、反対騒ぎは、われわれの視野からぴたりと消えた。なぜだろうか?
 いろいろな説を聞いた。
 デモやストをやっていた人たちは、ワールドカップ開催を利用して注目を集めることを狙っていたのだが、大会がはじまってしまえば、人びとの関心はサッカーだけに集中するから騒ぐ意味がなくなった。
 「地下鉄が動かないと観客の輸送が出来ないぞ」と当局におどしをかけていたが、実際に大会中にストをすれば影響が大きすぎて国民の反感を買うだけだから大会前に中止した。

★厳重すぎる警備
 デモやストは、政治的な反対や経済的な理由を掲げて行なわれたので、ワールドカップ反対ではなかった。デモをしていた連中もサッカー好きだから、ワールドカップが始まれば、デモに参加するよりもテレビで試合を見たほうがいい。
 などなどの理由で騒ぎは姿を消したのだという。
 そうかもしれないが、ぼくの見たところでは治安当局の警備が非常に厳重だったので、騒ぎを起こそうにも起こせない状態だったのだと思う。
 大会期間中、開催都市は「お巡りさん」だらけだった。
 連邦警察、州警察、市警察に地方の警察からの動員が加わっているらしい。機動隊もある。装甲車や騎馬隊もある。
 大会の後半、ぼくはサンパウロ中心部の安ホテルに滞在していたが、ホテルの前にはパトカーが常駐し、十数人の隊員がいつも周辺をパトロールしていた。

★「ひったくり」は現れた
 あまり治安のよくない地区だということだったが、そういうわけで大会期間中は超安全だった。この厳重警備は近くの広場に「ファンフェスタ」(パブリック・ビューイング)の会場が開設されていたためらしい。
 決勝戦の行われたリオのマラカナン・スタジアムの周辺は過剰なくらいの警備だった。
 地下鉄の駅を出るとすぐ、警官隊とボランティアが横に並んで三重四重に通路をふさいでいる。試合のチケットを見せなければ通してくれない。したがって、チケットを持っていなくて、ダフ屋から買おうと思っている人は手も足もでなかった。
 そうは言っても、ほかの場所にダフ屋がいなかったわけではない。
 また「ひったくり」などが出没しなかったわけではない。リオに到着した日に旅券を盗まれ、領事館に再交付の申請に行ったら「あなたで、今日12人目です」と言われた人がいたという話を聞いた。


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