サッカー日誌 / 2012年04月10日


クラブ運営責任者の重要性


松本育夫さんに聞く
日本サッカー史研究会3月例会
(3月26日 JFAハウス会議室)

★Jリーグ・クラブのフロント
 日本サッカー史研究会の3月例会には、松本育夫さんに来ていただいた。もっと早くにお願いしたかったのだが、佐賀県の鳥栖にいたのでお呼びすることができなかった。東京に戻ったので、お招きしたわけである。
 松本さんはメキシコ・オリンピックに日本代表として出場、その後、日本代表ユースの監督、高校チームの監督、川崎フロンターレの社長、サガン鳥栖の監督、ゼネラル・マネージャー(GM)など、実にいろいろな仕事をしてきた。
 その経験を聞くことができて興味深かったのだが、ぼくが特に関心を持ったのは、Jリーグ・クラブの運営スタッフ(フロント〉の役割である。
 たまたま、その日に、ガンバ大阪がJリーグ3連敗で、今年から契約したばかりのセホーン監督と呂比須(ワグネル・ロピス)ヘッドコーチらをクビにした。

★ガンバ大阪の監督交代劇
 呂比須(ワグネル・ロピス)は、ブラジルから来日して、いろいろなクラブでプレーし、日本国籍をとって日本代表にもなった。その後、ブラジルに戻って、クラブチームのヘッドコーチなどを勤めている。
 ところが、呂比須のブラジルでのコーチのライセンスを、Jリーグが日本の「S級」に当たるものとは認めなかった。S級でないとJリーグチームの監督になれない。ライセンスについて調べていなかったのが、まずフロントの失敗だった。
 そこで、ブラジルのジョゼ・カルロス・セホーンを監督に据えた。資格のある者を名目的に監督にして、実際にはヘッドコーチが指揮をとるというケースも、ときにはある。しかし、セホーン監督の場合は、そうではなかったようだ。セホーンは、ブラジル国内の多くのクラブや韓国などで指導歴のある61歳のベテランである。実績では呂比須を上回っている。呂比須ヘッドコーチと2頭立ては難しかった。これもフロントの失敗である。

★フロントの内部事情
 松本育夫さんは、「Jリーグのクラブで、いちばん重要なのはフロントですよ。サッカーを知っている人でなければうまく行きません」と言う。
 ガンバの山本浩靖強化本部長は、呂比須ら解任とともに責任をとって強化本部長を辞任した。大阪商大出身、ガンバの前身の松下電器の選手だった人である。「サッカーを知らない」とは言えないが、「選手だった」ということと「サッカーを知っている」こととは別かもしれない。ただし、この種の人事には複雑な内部事情がつきものだから、必ずしも表に出た強化本部長だけの責任ではない可能性もある。
 監督として、フロントとして、社長として、いろいろなケースを経験してきた松本育夫さんに、Jリーグ・クラブの運営事情を、もっと詳しく聞いてみたい。そう思って、5月のビバ!サッカー研究会に来ていただくようお願いしている。


松本育夫さん(左)と牛木。

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