サッカー日誌 / 2010年01月02日


天皇杯全日本選手権(3)


ガンバ優勝のヒーローは、やはり遠藤だ
決勝 ガンバ大阪 4対1 名古屋グランパス
1月1日(祝) 東京・国立競技場 


★西野監督の「マスコミ牽制?」発言
 天皇杯決勝のあと、ガンバ大阪の西野朗監督は「きょうは遠藤の試合のように思われるだろうが、ガンバは個人中心ではない。遠藤中心のチーム作りはしていない」と繰り返した。マスコミが遠藤保仁をヒーロー扱いにするのを警戒しているのかな、と思った。
 もちろん、サッカーは個人の力だけで勝てるわけではない。しかし、個人の力と特徴を生かさなければ勝てるチームは作れない。勝利のために生かされた個人をマスコミがヒーローとして取り上げるのは悪くないと思う。読者や視聴者が「個人の力だけで勝った」と誤解することは、ありそうにない。逆にチームの力だけを強調すると、個人の力の重要性が見失われる心配がある。
 日本の教育では、突出した個人をとりあげるのを避け「みんなの力」を強調する傾向が強かった。それが、個人のすぐれた特徴を伸ばすのを妨げてきた面もある。

★決定打になった勝ち越し点
 ガンバが先制し、名古屋が前半のうちに同点にして、おもしろくなった。双方にチャンスがあり、双方に好守があって、白熱の競り合いだった。
勝敗を分けたのは、後半32分の遠藤の勝ち越し点である。1対1のまま延長戦にもつれ込みそうな雰囲気もあって、双方とも戦況を打開しようと中盤のプレーヤーが積極的に前に出ようとしていた。
 中盤の競り合いからボールが二川孝広に渡ったとき、すかさず遠藤が前へ走り出た。二川がパスを出しやすい場所の、相手の守りの間のスペースでボールを受け、そのままドリブルで、相手の守りを2人かわしてシュートを決めた。これが決定打になった。
 前半6分のガンバの先制点は、みごとなパスの組み立てからで、それこそ「チームの力」だったが、その中でも遠藤が的確な狙いのパスで一役を担っている。

★中盤が勝利の原動力
 最後の5分間でガンバが2点を追加して4対1と差が開いた。これはリードされた名古屋が、やむなく捨て身の反撃に出た裏をついたもので、点差ほど一方的な展開だったわけではない。3点目のアシストは遠藤、4点目のゴールは遠藤だった。
 後半なかばまでの競り合いのなかでは、遠藤と明神智和が中盤の守備的ポジションで、名古屋の前線へのクロスを未然に食い止めていた。
 前半の中盤プレーヤーのシュートは遠藤の1本だけである。後半は遠藤の4本、二川の2本、橋本英郎の3本と計9本のシュートを中盤プレーヤーが放っている。ガンバの中盤が攻守に的確な戦況判断と労働量の多いプレーをした。それが勝利の原動力だった。
 その中盤の働きを象徴した遠藤をヒーロー扱いにしても、いっこうに差し支えない。それどころか当然だと思う。「一将功成り、チームも花咲く」である。

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