ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




日東倉庫日本大通倉庫。神奈川県横浜区中区日本大通14。1987(昭和62)年8月9日

三井物産横浜ビル」の裏にあった、その倉庫。三井物産ビル(現・KN日本大通ビル)と同じ遠藤於菟の設計で1年早い明治43年の建築。『日本近代建築総覧』では「日東倉庫日本大通倉庫(旧三井物産倉庫)、建築年=明治43年、構造=煉瓦造3階建、設計=遠藤於菟、施工=直営、備考=リンテル独立柱,屋根スラブがRC,地下1階,○(おすすめ品)」。
三井物産横浜ビルは日本で最初の鉄筋コンクリート造のオフィスビルとして、建築史の面で重要な建物で、それと一体で建てられた倉庫も、やはり建築史上で重要である。また、横浜の歴史を語るのに、生糸貿易ははずせないわけで、その具体的な形で残っていた倉庫は歴史的な面でも価値があった。
三井物産>会社情報>あゆみ>馬越恭平』に倉庫から馬車で生糸を運び出している写真が載っている。キャプションは「馬越恭平は旧三井物産横浜支店長として、生糸の輸出に尽力した。横浜支店での生糸の出荷作業」。



日東倉庫日本大通倉庫。2002(平成12)年1月14日

はまれぽ.com>旧日東倉庫の歴史を探る!』によると、「日東倉庫株式会社」は1959(昭和34)年2月に、三井物産株式会社から倉庫営業部門を分離独立させた会社。2013(平成25)年に「ケン・コーポレーション株式会社」の所有に替わって、三井物産横浜ビルは同年10月に「KN日本大通ビル」と名称が変わった。ケン・コーポレーションは昭和47年に設立された不動産売買の会社。
2014年5月に生糸倉庫の解体が横浜市に通告され、8月に神奈川新聞で報じられてから保存活動が活発になったようだ。「旧三井物産横浜支店生糸倉庫を壊して欲しくない人々の会」や日本建築学会、横浜市の働きかけは無視されて、2014年11月から翌年にかけて倉庫は取り壊された。現在は時間貸しの駐車場だ。そうなると当然三井物産横浜ビルのほうも取り壊しになるのではないかと心配になる。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )