RE.乃木坂学院高校演劇部物語
夕食は、うな重定食をいただいて(おいしかった!)入浴。
入浴中の描写はカット。だって、クリスマスの入浴じゃひと悶着あったしね(46『雪の三丁目』)
ただ、「マリちゃん」の板に付いた女子高生らしさと、いっしょに入ってくれた大空さんのプロポーションがチョーイケテたとだけ申し上げておきます。
「大空助教、カラーガードのDVD見せてください」
入浴後、里沙の一言で、DVDの鑑賞会になった。
「ワーーーーーガチイケテル、カッコイイ(≧∇≦)!」
いつもながら、女子高生の感嘆詞は簡単であります。でも簡単な分だけ気持ちは伝わっているみたいで、大空助教は嬉しそう。で、後ろに座っていた男のみなさんも嬉しそう。
ミニスカート、チアリ-ディングのミリタリー風のコスに、お揃いの旗を持って、『サンダーバード』と『軍艦マーチ』の曲にあわせて、器用に旗を操作しながら、いろんな風に行進。
わたしたちは、見事に旗がヒラリするたびに――オオ!――
男たちは、風にスカートがヒラリするたびに――オオ!――
「いやあ、いいものを見せてもらいましたが、ここの体験入隊はきついですなあ」
企業グル-プの一人が、西田さんにグチった。
「あなたたちは、なんのための体験入隊なんですか?」
「来月、新入社員の研修でこれをやるので、下見ですわ」
「じゃあ、新入社員を連れて、もう一度来られるんですか」
「はい。もちますかねえ……」
「なあに、二度目はズンと楽になりますよ。もう靴を蹴散らされることもないでしょうし」
「あれには、たまげました」
「ま、カマシですよ、娑婆っ気抜くための。おたくの教官ドノは、いささか意地が悪そうですがね。まあ、要領覚えてしまえば難しくはないですよ」
このヒソヒソ話は、わたしが聞き耳ずきんしてたから聞こえたんだけど、もう一人聞いてた人がいるた……その教官ドノがね。
「……西田曹長。なかなかのもんでしたね。障害走路といい、五千メートル走といい」
「おかげさまで、現役の頃を思い出して、楽しんでおりますよ」
「では、お楽しみついでに不寝番をやってみますか」
「おお、願ってもない。喜んで」
「では、女性は外すとして、男のみなさんで二人一組の四直制で」
「規範通りですな。では、組み合わせは、企業グル-プさんと相談しましょうか」
「いや、それには及びません。編成表を作っておきました。就寝前にご説明いたします。それまで、しばしの自由時間、お楽しみのほどを……」
教官ドノは、振り向くと薄ら笑いを浮かべて行ってしまった。
陰険なヤツ。障害走で負けたのを根に持ってるんだ。
今日は建国記念の二月十一日、朝の天気予報では、関東平野には寒気団が居座って、夜半から大雪警報が出ている。窓から外を見ると、音もなく雪が降り始めている。
西田さんは、元気そうだけど、もう七十歳をいくつか超えている。大丈夫だろうか。
当の御本人は、企業グル-プのオニイサン相手にレンジャー訓練を受けたときの話しなんかしている。これで、障害走のときの「レンジャー!」ってかけ声の訳は分かった。
でも、この不寝番で、とんでもない事件が起こることは誰にも予想がつかなかった。教官ドノも、西田さんも。そして幽霊の乃木坂さんでさえも……。
☆ 主な登場人物
- 仲 まどか 乃木坂学院高校一年生 演劇部
- 坂東はるか 真田山学院高校二年生 演劇部 まどかの幼なじみ
- 芹沢 潤香 乃木坂学院高校三年生 演劇部
- 芹沢 紀香 潤香の姉
- 貴崎 マリ 乃木坂学院高校 演劇部顧問
- 貴崎 サキ 貴崎マリの妹
- 大久保忠知 青山学園一年生 まどかの男友達
- 武藤 里沙 乃木坂学院高校一年生 演劇部 まどかと同級生
- 南 夏鈴 乃木坂学院高校一年生 演劇部 まどかと同級生
- 山崎先輩 乃木坂学院高校二年生 演劇部部長
- 峰岸先輩 乃木坂学院高校三年生 演劇部前部長
- 高橋 誠司 城中地区予選の審査員 貴崎マリの先輩
- 柚木先生 乃木坂学院高校 演劇部副顧問
- 乃木坂さん 談話室の幽霊
- まどかの家族 父 母(恭子) 兄 祖父 祖母