大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

RE・かの世界この世界:104『25トン対5000トン・1』

2023-05-21 07:01:21 | 時かける少女

RE・

104『25トン対5000トン・1』ブリュンヒルデ 

 

 

 

 敵襲! 敵襲! ボーーーー! ボーーーー!

 

 帰還船シュネービットヘンの船内各所で警戒の声が上がり、狼に出くわした白雪姫の悲鳴のように、警報の汽笛が鳴り響く。

 しかし、ここはレーゲ海の大海原。助けにやって来る王子さまも七人の小人も現れなければ、戦闘配置を告げる指令も出てこない。シュネーヴィットヘンはロートルの輸送船であり、且つ休戦中なのだ、しかも、乗員は所属部隊を離れ、しゃばっ気が出始めた復員兵たちだ、有効で統制だった反撃などできるわけがない。まさにパニックに陥った洋上の白雪姫!

 船は面舵一杯をかけ、左に傾きながら進路を変えていく。

 振り落とされないように手摺に掴まり、左舷前方を窺うと五千トンクラスの軽巡が相対速度三十ノットほどの猛スピードで急速接近して来る。

「パラノキアの軽巡です」

 いつのまにかタングリスが斜め後ろから覆いかぶさるように立っている。忠実にわたしを護ろうとしてくれているのだが、ヤコブと偉そうに話した後でもあり、子ども扱いされたような気がする。

―― 本船は、攻撃をかわすために高速の之の字運動に入る、各員は振り落とされぬよう安全を確保せよ! ――

 船長は逃げることと乗員の安全確保に専念するようだ。乗員の復員兵たちに戦闘力としての期待はしていない。

 しかし、寄り合い所帯の復員兵とはいえ軍人だ、頭を抱えて手すりにつかまっているだけでは気が済まない。携帯している機関銃や携帯ロケット砲に小銃まで舷側に並べて敵わぬ抵抗をし始めた。

「ねえ、戦争は終わったんじゃないの?」

 ケイトが不安そうに聞いてくる。そのケイトの上着の裾を掴んでロキが震えている。

「停戦命令に従わないやつもいるようだな」

 

 ズズッボーーーーーン!

 

 第二撃が飛んできた、六発分の水柱が船を挟んで立ちあがる。

「夾叉された、次は命中弾が出る」

「四号で反撃しよう!」

 テルが無茶を言う。

 戦車が相手ではないのだ、五千トン150ミリ砲六門、魚雷発射管二基八門の巡洋艦相手に勝てるものではない。

「ヒルデを捕虜にされるわけにはいかないだろ」

「わたしを狙っているというのか?」

「拿捕して正体を知れば敵は大喜びだろうな」

 くそ、わたし一人の為に千を超える兵士を道連れにしようというのか。

「貨物デッキに戦車が居るとは、やつらも思わないだろ、意外に混乱させることができる」

「やりましょう、姫は右舷中甲板のオフィサールームに、あそこは船内で一番安全です」

「タングリス、指揮官はわたしだろ」

 ギュっとまなじりをあげる。タングリスはため息一つついてOKを出した。

「みんな、四号に乗れ! 戦闘配置だ!」

 
 25トンの四号戦車と5000トンの巡洋艦の一騎打ちが始まった。

 

☆ ステータス

 HP:9000 MP:100 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・60 マップ:5 金の針:0 所持金:1500ギル(リポ払い残高34400ギル)
 装備:剣士の装備レベル25(トールソード) 弓兵の装備レベル25(トールボウ)
 憶えたオーバードライブ:ブロンズヒール(ケイト) ブロンズスプラッシュ(テル)

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

 テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 


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