大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

やくもあやかし物語2・051『保健室のフロ-レンス先生』

2024-06-08 10:24:22 | カントリーロード
くもやかし物語 2
051『保健室のフロ-レンス先生』 




 朝飯前のラビリンスとくわせもの、二匹やっつけたので、それからは、まあ平和。

 ただね、くわせものが食堂のみんなにいっぱい食べさせたので、みんなお腹の調子が悪くて保健室の前に長い列をつくった。

「やくも、あなたは大丈夫なの?」
 
 最後の一人を廊下まで見送って、養護教諭のフローレンス先生が声をかけてくれる。

「あ、わたしは食べる前だったから(^_^;)」

「あ、そうか、あの妖怪やっつけてくれたのよね」

「はい、なんとか。みんな大丈夫なんですか?」

「ああ、ほんとうに食べたわけじゃないからね」

「え、そうなんですか?」

「ああ、妖怪といっても中の下という感じだから、本物を食べさせる力は無い、そんな気がしてるだけよ。ただ、食べたって感触は本物だから、ほんとうに具合が悪くなる」

「じゃあ、治療とかは?」

「胃薬と整腸剤よ」

「え、実際には食べてないのにですか?」

「気は心よ。いわば、食べ過ぎたって暗示が掛かってるわけだから、ていねいに話を聞いてお腹も診てやって、ていねいに調剤する。わたしは魔法使いじゃないから、チチンプイプイってわけにはいかないのよ」

「そ、そうなんだ、ご苦労さまでしたぁ(^_^;)」

 お~~い やくもぉ~

 情けない声がカーテンで仕切られたベッドからする。

「え、その声はハイジ?」

「ああ、あの子は魔法がかかる前に、けっこう食べてたからねえ(^△^;)」

「あはは、そうなんだ」

「「アハハハ」」

 アハハハ……

 先生と二人で笑うと、ベッドのハイジも笑う。まあ、だいじょうぶだろう。

 ピンポンパ~ン

『教頭のメグ・キャリバーンから生徒諸君に連絡です。妖怪くわせもののために、体調を崩す生徒が多いため、御前の授業を中止します。行動は自由ですが、学校の敷地からは出ないように。午後の授業については後ほど連絡します。くりかえします……』

 まあ、そうなるよね。

 グウウウウウ……

 納得すると、急にお腹が空いてきた。妖怪騒ぎで、まだ朝ご飯を食べていないことを思い出す。

 食堂に行ってみよう、まだなにかあるかもしれない。

 保健室の廊下を突き当りまでいくと、食堂にはまだだいぶあるのに美味しそうな匂いがしてきたよ。

 

☆彡主な登場人物 
  • やくも        斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生 ミチビキ鉛筆、おもいやり等が武器
  • ネル         コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
  • ヨリコ王女      ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
  • ソフィー       ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
  • メグ・キャリバーン  教頭先生
  • カーナボン卿     校長先生
  • 酒井 詩       コトハ 聴講生
  • 同級生たち      アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ
  • 先生たち       マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法) フローレンス(保健室)
  • あやかしたち     デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン 三方 少彦名 朝飯前のラビリンス くわせもの
 

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