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大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

くノ一その一今のうち・2『風間そのの災難・2』

2022-05-16 18:08:05 | 小説3

くノ一その一今のうち

2『風間そのの災難・2』 

 

 

 凹んでばかりいられないので、ちゃんとスーパーで買い物をする。

 

 買い物は晩ご飯のあれこれ。

 ここんとこ、お祖母ちゃん不調だから、あたしがやってる。

 お祖母ちゃん、今年に入って晩御飯失敗してばかり。

 お味噌汁にお味噌入れ忘れたり、砂糖と小麦粉の区別つかなくなったり、金魚を三枚におろしたり。

 あと、炊飯器のスイッチ入れ忘れぐらいならいいんだけど、揚げ物、炒め物に失敗して、二回火事出しかけたし。

 危なくって任せられないから、夏の終り頃からは、あたしがやってる。

 たぶん認知症なんだろうけど、要介護認定……してもらわなきゃいけないんだろうけど、あたしも、お祖母ちゃんも、怖くって踏み切れない。

 要介護3とか出てさ、「一人にしてちゃいけませんね」とかケアマネさんに言われたら、介護付き老人ホーム入れてあげられるだけの余裕なんて無いしさ。

 まだ、まだらにまともな時もあるから、ショックだけはイッチョマエに受けて、いっそうダメになるような気がする。

 下手したら、三年のこの時期に学校辞めて、在宅介護とかしなくちゃならないかも。

 口下手だから、役所に行って相談したり……ちょっち無理。

 ああ……落ち込む。

 お料理する元気も気力も無くなって、けっきょく、五時を過ぎて半額シール貼ってもらうの待って、お弁当買って帰る……もう三日も続いてるんだけどね。お祖母ちゃん、食い意地だけはボケてないから「また、弁当買かい……」って、暗い顔して言うんだ。

 まあ、他に、糖尿とか心疾患とか、肝臓とかも悪いから、あたしが二十五になるくらいまでには死ぬだろ。

 あと、七八年といったとこかなあ。

 

「死ねばいいと思ってる目だ……」

 

 ぐっ……見抜かれてる。

「思ってないよ、んなこと……」

 ドア開けて、目が合ったのがマズかった。なんか見抜かれて、でも「そうだよ、さっさとくたばっちまえよ、クソババア!」なんて言えるはずも無く、制服のまま夕飯の用意……って、弁当並べて、インスタントの味噌汁こさえるだけ。

「制服ぐらい着替えたら……」

「食べてからでいいんだよ、お祖母ちゃんも、晩御飯、早く食べたいでしょ」

「あんまり早く食べたら、食べたこと忘れそうになる……」

 ゲ、それやめて。「その、晩御飯まだかい?」なんて、洗い物してる最中に言われるのカンベンして。

 なんか会話しなくちゃと思うんだけど、なにか言ったら、どんな変な方向に話しいっちゃうか分かんないし……駅の階段踏み外して、知らないオッサンとほとんどファーストキスしてしまうところだったあ(^_^;)!……なんて自虐ネタ……みじめになるだけ、ありえねえ。

「……猫触ったね?」

「え?」

 そうだ、猫の話……だめ、オッサンも猫も、もう黒歴史の最新ページになってしまってるし。凹んだ顔で話したら、お祖母ちゃんのまだらボケが、どんな災厄をもたらすか知れない。

「ちょっと、抱っこして……でもハンカチではたいたし、手も洗ったし」

「責めてるんじゃないよ……」

 ニャンパラリンの話……発作的なことだったし、お巡りさんには𠮟られたし、凹んだ話したら、お祖母ちゃん変になるかもだし……けっきょく、黙々とお弁当食べて、さっさとお風呂に入る。

 ちゃちゃっと着替えて、頭乾かして、やっと一日でいちばん自由になる。

 進路のことも、お祖母ちゃんの事もいっぱい心配だけど、とりあえずは、頭切り替えてネットサーフィンやって寝落ちする。

 風間そのの冴えない一日……アニメだったら、ここでエンドロール出て、また来週なんだろうけど。

 リアルの人生は一週間の余裕なんて与えてくれなくて、容赦なく朝がやって来る。

 

 そして、お祖母ちゃんとの朝の格闘……は省略して学校に行く。

 

「風間、ちょっと……」

 校門潜ろうとしたら、生活指導の先生に呼び止められる。

 脳みそをグルンと巡らせる。服装も頭髪も問題なし、遅刻って時間帯でもないし、なに? なんかしたあたし?

 生活指導室までは呼ばれなくて、掲示板の横。

 ま、大したことじゃなさそう。とりあえず恐れ入っておく、目線だけ落として真っ直ぐ立って恭順の姿勢。

「おまえ、猫助けようとして、ちょっと事故になりかけたんだってな」

 え、もう警察から連絡してきた?

「まあ、動機は責めるようなことじゃないけど、ひとつ間違えたら大事故になってるとこだ。気を付けるんだぞ」

「警察から電話あったんですか?」

「ああ、いちおう正式に電話してきたから、釘刺しとくぞ」

「は、はい」

 アリバイ指導……まあいい。

 今度、猫が轢かれそうになって、それで、駅前で大事故起こっても、あたしのせいじゃないからね。

「もういい、いけ」

「…………」

 アリバイ指導でもいいからさ、もうちょっと優しく言えないもんかなあ。

 ナントカ坂46のA子とかだったら、先生の対応、ぜったい違うよ。

 ブスモブって損だ。

 ダメだ、不足を言ったら、落ち込み急降下。

 ピシャピシャ

 頬っぺたを叩いて昇降口に向かう。また、さい先の悪い一日が始まってしまった。

 

 

 ☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生
  • 風間 その子       風間そのの祖母
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やくもあやかし物語・139『蓄音機から聞こえてくるもの』

2022-05-16 10:35:45 | ライトノベルセレクト

やく物語・139

『蓄音機から聞こえてくるもの

 

 

 Vic〇orの犬が聴いているのは何なんだろう?

 

 白虎にのせられていたっぽいと言っても、将門さまやメイド王が困っていたワンコ妖怪。

 そいつが本家のVic〇or犬といっしょに大人しく耳を傾けるんだから、そうとう良いものが聞こえていたはずだ。

 蓄音機は、相当にレトロなもので、そこいらへんのトラッドを気取った喫茶店のディスプレーって感じじゃない。

 

 う~~ん

 

 日本で言えば、明治か大正か……100年は経っているに違いない。

 ラジオ放送が始まったころだよね? テレビとかはまだ無かっただろうし。

『蓄音機でラジヲは聴けませんよ』

 え?

 いっしゅんビックリしたけど、黒電話が喋っているのに気付く。

 受話器が少し上がっていて、そこの送話口から交換手さんの声が聞こえてくるんだ。

 チカコと御息所も気づいたようで、コタツに足を突っ込んだまま首を伸ばして聞いている。

『蓄音機は、レコードしか聴けませんよ』

「あ、そうか」

 むかし、お母さんと行った喫茶店に蓄音機があって、そのラッパからはFM放送が聞こえていた。あれは、蓄音機型のレトロラジオ……ひょっとしたら、CDとかUSBとかからも聞けたかも。

『昔は78回転でしてね……』

「78回転?」

『あ、一分間にターンテーブル……レコード載せた円形の台が、一分間で78回回るんです』

「なんだか、目が回りそう(^_^;)」

『フフフ、子どもなんか目を回してましたね』

「あ、わかる! 子どもって、動くものとか回るものって見ちゃうのよね( ´∀` )」

「わらわの娘も、水車が回るのを見て目を回しておった……かわいいものであったのう……」

「あたしは、自分の運命が回るのに目を回していたよ……」

『昔は、街の高級カフエや、学校にも一台あるかどうかという高級品でした』

「ああ、ちょっと昔のコンピューターみたいなものだったんだね……」

『真岡は北の田舎町でしたから、本土の事はよく分からないんですけど、たぶん、クラシックとかの西洋音楽とか聴いていたんじゃないでしょうか?』

「あ、うん。そういうクラシック音楽似合うかも……でも、犬がクラシックなんて聞くかなあ?」

「ググればよいではないか、こういう時のためにスマホとかパソコンであろうが」

「やくも、お爺さんに聞いてみるといいわよ」

『あ、それがいいですね。疑問・質問は最高のコミニケーションツールですよ!』

 

 で、リビングに行って、お爺ちゃんに聞いてみた。

 

「ああ、あれはね、亡くなった飼い主の声を聴いてるんだよ」

「飼い主?」

「うん、外国じゃ、昔からカセットテープとかMDの感覚でレコードに録音することが流行っていてね、それで、飼い主が生前吹きこんでいた声を流してやると、側に寄ってきて、いつまでも聴いていたってエピソードはあるんだ。Vic〇orっていうのは、その犬の名前でね。だから、下の方に『ヒズ マスターズボイス』って書いてある。やくもにあげたフィギュアにも書いてあると思うよ」

「え、あ、あ、そうなんだ。ありがとうお爺ちゃん!」

 Vic〇orを持っておいでと言われたら困るので、そそくさと自分の部屋に帰ったよ。

 

 コンコン コンコン

 

 お昼ご飯も棲んで、部屋でウトウトしていたら、ガラス窓を叩く音がした。

「あ、アキバ子?」

 わたしの声でチカコも御息所も窓に首を向ける。

「いや、アキバに戻ったら叱られましてね(^_^;)」

「あ、ごめん」

 アキバでは、また凱旋セレモニーの用意がしてあったんだろう。

「それで、お渡しするはずだったお品のあれこれを預かってきました」

 そう言って、空き箱の中から、立派なケースに入ったメイデン勲章改を渡してくれる。

「メイデン勲章は、この前にももらったよ」

「これは、メイデン勲章改・Ⅱだよ」

「改・Ⅱ?」

「うん、コスの種類が増えてるし、今度は、お屋敷も入ってるし」

「え、わたしにもお屋敷!?」

 ちょっと申し訳ない。

「アハハ、今度ね、メイド王自身がやくもの家に行きたいって……やくもの家も広いけど、メイド王がお供を連れてやってくるには、ちょっと狭いから。まあ、自分が来る時のためのものだから気を遣わなくってもいいよ。一段落したけど、まだまだあやかし退治は残ってるから。じゃあね」

 そう言うと、目の前で空き箱はワープして消えてしまった。

 時計を見ると、そろそろお風呂掃除の時間。

 みんなでお風呂掃除やって、晩ご飯の後は、迫ってきた中間テストの準備をしたよ。

 え、勉強じゃないのかって?

 机の上を片付けたり、本やノートを眺めて……そういうこと!

 明日からはやるからね。

 そうそう、メイデン勲章改・Ⅱのお屋敷も探検したんだけど、それは、また次ね。

 

☆ 主な登場人物

  • やくも       一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生
  • お母さん      やくもとは血の繋がりは無い 陽子
  • お爺ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介
  • お婆ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い
  • 教頭先生
  • 小出先生      図書部の先生
  • 杉野君        図書委員仲間 やくものことが好き
  • 小桜さん       図書委員仲間
  • あやかしたち    交換手さん メイドお化け ペコリお化け えりかちゃん 四毛猫 愛さん(愛の銅像) 染井さん(校門脇の桜) お守り石 光ファイバーのお化け 土の道のお化け 満開梅 春一番お化け 二丁目断層 親子(チカコ) 俊徳丸 鬼の孫の手 六畳の御息所 里見八犬伝 滝夜叉姫 将門 アカアオメイド アキバ子 青龍 メイド王

 

  

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乙女先生とゆかいな人たち女神たち・49『デビュー!』

2022-05-16 06:38:20 | 青春高校

乙女先生とたち女神たち

49『デビュー!』  

     

 

 朝、校門近くの坂道で、さくやのお姉さんを見たような気がした……。

 しっかり者の栞は、人が気づく前に、こっちから挨拶ができる子である。幼いころに母が亡くなってからは、弁護士の父の足手まといにならないように、子どもながら家事一般はこなしてきたし、父の仕事柄、行儀作法も並の子よりはできる方である。だから挨拶はされる前にする。これがモットーであった。

 それが「あ」と思ったときには姿が見えなかった。ただ栞のことをニッコリ見つめ皇族の内親王さまのように手を振っていたような気がした。で、気がしたときには姿が見えなくなっていた。

「ねえ、お姉さん、来てた?」

 妹の方は、すぐに目に付いた。下足室で上履きに履きかえようと片脚をあげたところに声を掛けたものだから、さくやはタタラを踏んで、クラスの男の子にぶつかってしまった。

「ごめん、片桐君!」

 さくやは、顔を真っ赤にして謝った。

「あ、ええよ、大丈夫か?」

 片桐君は、優しく肩を支えてくれて、さくやの顔は、さらに赤くなった。

「う、うん大丈夫」
「そうか、ほんなら、お先に」
「はいはい……」

 片桐君を見送って、もう栞のことなど忘れている。

「ちょっと、さくや!」
「あ、栞先輩!」
「あの子……なんなのよ?」
「あ、ただのクラスメートです!」
「そうなんですか……?」
「栞先輩も、新曲頭から抜けへんのんですね」
「抜けちゃ困るわよ、今日本番なんだから!」

 栞も、今日の本番のことで聞くことを忘れてしまった。

「学校生活に影響を与えないって、約束じゃなかったかな?」

 担任代行の牧原先生が、小学生を諭すように言った。

「すみません。急にデビューが決まって、本番の日取りは決まっていたんですけど、リハなんかのダンドリが今朝入ってきたもんですから、ご報告が遅れました」
「……ご報告やないやろ。許可願いやろが」
「あ、はい、言い間違えました。よろしくご許可願います」
「まあ、しゃあないな。そやけど試験前やいうこと忘れんなよ」

 ハンコをついて、栞が手を出したところで、牧原は引っ込めた。

「あ、あの……」
「榊原聖子のサインもろてきてくれへんか?」
「え……」
「同じユニットやろ。うちの娘が聖子ちゃん好きでな。交換条件や」
「あの、わたし、身分的には研究生なんで、そういうことは……」
「ちぇ、ケチやのう。まあ、手島栞のデビューやったら、しゃーないわの!」

 職員室中に聞こえる声で牧原が言った。

 こう言うときに、弱った顔や、怒った顔をしては負けである。

「ありがとうございました」

 栞は、落ち着いて頭を下げた。

 四時間目が終わり、生指の部屋に入るときは、さすがに胃がキリリときた。

「失礼します。二年A組の手島栞です」
「やあ、栞。いよいよやね!」

 よかった、生指の部屋には常駐の乙女先生しかいなかった。

 リハーサルはドライもカメリハも上手くいった。いよいよ本番である。

 こないだ刺身のつまで出たときの倍くらい念入りなメイクにヘアーメイク。緊張が増してくる。

「スリーギャップスの船出、円陣組むよ」

 聖子が、七菜と栞に声を掛ける。

「「お願いします」」

 七菜と栞の声が揃って、それがおかしいのか聖子がクスっと笑った。

「あんたら、おかしいよ、別にオリンピックの決勝戦じゃないんだから」
「わたし、高校の陸上部入ったらいきなりオリンピック出ろって、そんな心境なんですけど」
「そうなんですか!?」
「アハハ……」

 さすがにベテラン、ほぐすのも上手い。

「じゃいくよ……」

「「「スリーギャップス、GO!」」」

 それを合図にしていたかのようにADさんが迎えに来た。

「それでは、本日結成したばかり、MNBの新ユニットスリーギャップスでーす!」

 MCの居中が大げさに声をあげると、エフェクトのドライアイスが、両サイドからシュポっと出て三人そろって出る、最後の一段で栞はステップを踏み外した。危うく将棋倒しになるところを居中が支えてくれた。

「なんだ、栞って、冷静そうな顔して意外とドジなのな」
「いや、今のは想定内のズッコケでした」
「栞、ちょっと、真っ直ぐに歩いてみてくれる」

 聖子の機転だ。栞はわざと手と足を同時に出して笑いを誘った。

「ね、緊張なんかしてないでしょ」
「あー、こりゃ気合いの入れ直しだわ」

 三人で、背中のどやしつけあいをやった。

「じゃ、大丈夫ね?」

 角江の声でスイッチが入った。三人は丸いステージスペースに入り、イントロが流れる。

「それでは、本日結成、初公開。スリーギャップスで『そうなんですか!』どうぞ」

 


 《そうなんですか!》  作詞:杉本 寛  作曲:手島雄二

 ホ-ムの発メロが鳴る階段二段飛ばしに駆け上がる 目の前で無慈悲にドアが閉まる

 ああチクショー! このヤロー! 思いがけないキミのため口

 駅員さんも乗客のみなさんも ビックリ! ドッキリ! コレッキリ!

 ああ カワイイ顔して このギャップ
 

 あの それ外回りなんだけど

 そうなんですか しぼんだようにキミが呟く

 新学期 もう夏だというのに いいかげん覚えて欲しいな電車の発メロぐらい

 でも 愛しい ピンのボケ方 このギャップ そうなんですか そうなんですか

 

 昼休みチャイムが鳴る廊下優雅に教室に向かう 開けたドアみんなが起立していたよ

 ええ うそ~! ええ ど~して! 見かけに合わないキミの大ボケ

 クラスメートも教科の先生も ビックリ! ドッキリ! コレッキリ!

 ああ カワイイ顔して このギャップ

 あの 今の本鈴なんだけど

 そうなんですか 他人事みたいキミが呟く

 新学期 もう夏だというのに いいかげん覚えて欲しいな予鈴と本鈴ぐらい

 でも 愛しい ピンのボケ方 このギャップ そうなんですか そうなんですか


 
 照りつける太陽 砂蹴散らして駆けまわる ビキニの上が陽気に外れかかる

 ええ うそ~! なんで今~! 天変地異的キミの悲鳴

 ライフセーバーさんもビーチのみなさんも ビックリ! ドッキリ! コレッキリ!

 ああ キミは飛び込む 波打ち際

 ああ たしかキミはカナヅチなんだけど

 そうなんですか でも助けてとキミが叫ぶ

 夏休み もう真っ盛り いいかげん覚えて欲しいな犬かきとボクの気持ちぐらい

 でも 愛しい こ~の無神経 このギャップ そうなんですか そうなんですか 

 そうなんですよ ボクの愛しいそうなんですよ ボクの青春そうなんですよ 人生一度のそうなんですよ

 Yes! そうなんですよ!

 

 歌っている間、栞は、さくやの姉の手の温もりを思い出した。そうあの姿は温もりそのものだった。そう感じると、さっきのズッコケはどこへやら。

 すっかり落ち着いてデビュー曲を歌い上げた栞だった……。

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