『銀河連邦大使・2』
☆………銀河連邦大使2
大使の船は大したものだ……。
最初はのんきにダジャレが出るほど、豪華なもてなしを受けた。
船内には25メートルのバーチャルプールがあった。よほどの客船でもないかぎり、リアルな25メ-トルプールは無い。たいてい、5メートルのバーチャルプールで、水流を作って距離感を出している。実感は25メートルでも、ハタから見ていると5メートルしかないので、なんだかプールに泳がされてますって感じで、見ばのいいもんじゃない。うんと昔の感覚で言うと、下りのエスカレーターを登って永遠の階段を上っているような錯覚をするのに似ている。
それが、この船ではリアルに25メートル。設定の仕方では、カリブや地中海の海も再現できて、一時間のつもりが三時間も泳いでしまった。
泳いだ後は、マッサージをしてもらった。ファルコン・Zは電子マッサージ機があって、一瞬で凝りをほぐすのだけど、なんとも味気ない。実際人にやってもらって、少しずつ凝りがほぐれていくのは快感だった。
プールもマッサージも大使がいっしょだった。水着の大使はモデルのように均整のとれたからだつきをしていて、同性のミナコが見てもほれぼれした。
「さ、あとはお食事にしましょう」
食事は、流行りの古典日本料理。それも肩の凝らないバイキング式だったので、大使船のクルーといっしょになって、美味しく楽しい食事ができた。
大使から、お褒めの言葉をいただいた。
「よかったら、お願いしてもいいかしら?」
「何でしょうか?」
「ベータ星に寄ってもらいたいの」
「ベータ星?」
「ええ、国王が亡くなられて、マリア王女が、とても気落ちしてらっしゃるの」
「そりゃ、お父さんでいらっしゃるんですものね」
ミナコが庶民的な答をした。
「……女王になられるんですね」
ミナホは、核心をついた答をした。
「ええ、いろいろ難しい星だから、自信を無くして落ち込んでいらっしゃる。あなたたちが行って慰めてくれると嬉しいんだけど」
「それは……」
ぜひ……と応えようとしたらミナホに先を越された。
「船長と相談してみます。航路については船長の権限ですから」
「ええ、もちろんそうでしょう。私からのお願いとしてお伝えくださいな」
どうやら、その話が目的であったらしく、そのあとはうまくあしらわれて、三十分ほどで、ファルコン・Zに帰ってきた。
「さよか、あのオバハン、そんなこと言うてきよったんか」
マーク船長の目が光った……。