大橋むつおのブログ

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タキさんの押しつけ映画評16・『デンジャラスラン』

2012-09-09 08:00:18 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評16・デンジャラスラン

この映画評は、友人の映画評論家滝川浩一が個人的に、仲間内に流しているものですが、もったいないので本人の了解を得て転載しているものです。


 ストーリー良し、演技良し、アクション良し、で…文句なしオススメ!!
 
 と言いたい所ながら、お馬鹿さんには薦めません。今回も何人か映画館におりました、エンドタイトル流れてるのに「え~? どないなったん? なんでやのん?」 とデカい声で……嗚呼、せめて小屋を出るまで我慢できんのですかねぇ…また、隣で解説しているアンチャンが途方もない事を大声で語ってるし…頼むからさっさと消えておくれでないかいってんです。
 
 元凄腕のCIA工作員(D・ワシントン)現在プロの情報屋、取引でケープタウンにやってきた。まず、なんで南アフリカなんだ? と思う。原作無し、オリジナル脚本らしく、撮影のしやすさからなのか? よう判らんのですが、フロスト(ワシントン)は国家反逆者扱いなのでアメリカは論外、段々判ってくる情報のヤバサからしてヨーロッパも論外? ちゅう事は、この選択は妥当なのかな?
 いきなり強烈な攻撃を受け、フロストはわざと領事館に出頭、CIAに引き渡されてセイフハウス(本作の原題)に監禁される。
 このセイフハウスのキーパーがマット(R・レイノルズ/リミット/グリーンランタン)という新人。秘密の筈のセイフハウスも急襲され、マットとフロストは二人で逃げる…ちゅうお話し。
 まさに「デンジャラス・ラン」 なので、この邦題もええかいなとは思うが、少々ベタでダサく感じる。確かに、この経験を通して一級品の工作員に育って行くマットの姿を見ていると、良く出来たロードムービーのムードもあるのだが、一見後のイメージとしては、原題“SAFE HOUSE”の方がビタッとくる。まぁ そら ええとして、毎度D・ワシントンの出演作品に外れ無し、ほんまに何をやらせてもリアルであります。フロストは人心掌握のプロという設定なので、逃走中も何やかやとマットに語りかける。これが切実な本心なのか、マットをコントロールしようとしての言葉なのか判然としない。これをD・ワシントンがやると異様に怖い。
 もう一人の主人公マットを演じるR・レイノルズも巧い!ストーリーの進行に従って顔付きが徐々に変化していく。こういう芝居、難しいんです。メイクアップで作るのはほんとうに外面の一部分、人間の内面が変化する様は俳優の仕事…とは言えこれの出来る人はそうはいません。これも毎度ながらアメリカの層の厚さには唖然であります、凄い!
 ストーリーは重層構造で、単純に善悪を分けられない。敵味方の区別も最期まで解らない。ただ、最期の落ちは「やっぱり そうなりますか」の所謂“アメリカの正義”落ち。“グリーンゾーン”のマット・デーモン…と言ってしまうとバレますかね、幕切れには多少クレーム有りです。
 アクションは誠にリアル、殴られた痛みが伝わってきます。当然、安全対策は取ってあるはずですが、「ここ 怪我したんじゃないか?」と思えるシーンがゴロゴロしている。
 007やジェイソン・ボーンのアクションに慣れていると本作のアクションには胸が詰まる。監督のダニエル・エスピノーサはまだ35歳の若さ、これまた楽しみな監督の登場です。この映画は男達の挑戦と喪失の物語を飲み込んだ上質のアクション・サスペンス、ちょっと古くなりますが、C・イーストウッドの「許されざる者」の真逆…うわぁ、これが判って貰える人…いないやろなぁ、ちゅうか例が古い。失礼いたしました。

しかし、フロストはこの情報を誰に売るつもりだったんだろうか。そこまで持って行けば、もっと深い作品に成った……と思うんですがぁ、重苦しく成っちまいますかねぇ。
コメント
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