わたしたちは、ハドソン川を挟んだ小さな民間航空会社の空港にきていた。
さすがのアメリカも、この時期、優秀なパイロットを集めていて、この航空会社も、若いパイロットを引き抜かれたばかり、会社も親会社に吸収され、この飛行場は事実上閉鎖されていた。
もう午後四時をまわっていたけど、夏も近い6月の太陽は、ほとんど真上にあった。
「……どうやって、ここに来られたの?」
手にした銃が無くなっていることにも気づかずに、ジェシカが呟いた。事前にテレポの説明はしたが、実際やってみると、衝撃であるようだ。ミリーもショックで固まっている。
「で、トニーも、あなたと同じアバターとかいうにせ者なの……?」
「会ってみなければ分からない。コネクションを全部切られてるから、トニーが、ここに居るということしか分からない」
ここを探り当てることも大変だった。インストールされた能力では探すことができず、教科書の中に隠していたアナライザーを使って、やっと探り当てたのだ。
目星をつけた格納庫に向かうと、途中で、格納庫のシャッターが開いた。わたしたちは駆け足になった。
あと三十メートルというところで、エンジンの始動音がした。ダグラスDCー3が動き始めた。
「ストップ!!」
わたしたちは、三人でダグラスの前に立ちふさがった。やがてトニーの姿をした省吾がタラップを降りてきた。
「あなたはトニーなの? それともトニーに化けたアバターとかいう化け物なの?」
ジェシカが、銃を構えた。
「引き金は引かないほうがいい。そこのアバターと違って、僕はトニーの体そのものを借りてるからね」
「くそ……」
悔しそうに、ジェシカは銃を下ろした。
「もう、ここまで来たら後戻りはできない。もうエンジン回しちゃったからね」
「……このダグラス、ミートボール(日の丸)が付いてる!」
「この戦争で唯一、アメリカと日本で使った同じ機種。日本じゃ、ライセンス生産で零式輸送機っていうんだけどね」
「トニー、何をするつもり!?」
「戦争を終わらせる。多少強引なやり方だけど……おっとアバターの真夏君は大人しくしてもらおうか……ミリーおいで。いっしょにニューヨークの空を飛ぼう」
「だめよミリー!」
「だって……」
意思に反してミリーの体は、トニーに近づき腕の中に絡め取られた。
「やることが終わったら、ミリーもトニーも返すよ。むろんトニー本人としてね」
そう言うと、トニーはミリーといっしょにダグラスの中に消えた。
さすがのアメリカも、この時期、優秀なパイロットを集めていて、この航空会社も、若いパイロットを引き抜かれたばかり、会社も親会社に吸収され、この飛行場は事実上閉鎖されていた。
もう午後四時をまわっていたけど、夏も近い6月の太陽は、ほとんど真上にあった。
「……どうやって、ここに来られたの?」
手にした銃が無くなっていることにも気づかずに、ジェシカが呟いた。事前にテレポの説明はしたが、実際やってみると、衝撃であるようだ。ミリーもショックで固まっている。
「で、トニーも、あなたと同じアバターとかいうにせ者なの……?」
「会ってみなければ分からない。コネクションを全部切られてるから、トニーが、ここに居るということしか分からない」
ここを探り当てることも大変だった。インストールされた能力では探すことができず、教科書の中に隠していたアナライザーを使って、やっと探り当てたのだ。
目星をつけた格納庫に向かうと、途中で、格納庫のシャッターが開いた。わたしたちは駆け足になった。
あと三十メートルというところで、エンジンの始動音がした。ダグラスDCー3が動き始めた。
「ストップ!!」
わたしたちは、三人でダグラスの前に立ちふさがった。やがてトニーの姿をした省吾がタラップを降りてきた。
「あなたはトニーなの? それともトニーに化けたアバターとかいう化け物なの?」
ジェシカが、銃を構えた。
「引き金は引かないほうがいい。そこのアバターと違って、僕はトニーの体そのものを借りてるからね」
「くそ……」
悔しそうに、ジェシカは銃を下ろした。
「もう、ここまで来たら後戻りはできない。もうエンジン回しちゃったからね」
「……このダグラス、ミートボール(日の丸)が付いてる!」
「この戦争で唯一、アメリカと日本で使った同じ機種。日本じゃ、ライセンス生産で零式輸送機っていうんだけどね」
「トニー、何をするつもり!?」
「戦争を終わらせる。多少強引なやり方だけど……おっとアバターの真夏君は大人しくしてもらおうか……ミリーおいで。いっしょにニューヨークの空を飛ぼう」
「だめよミリー!」
「だって……」
意思に反してミリーの体は、トニーに近づき腕の中に絡め取られた。
「やることが終わったら、ミリーもトニーも返すよ。むろんトニー本人としてね」
そう言うと、トニーはミリーといっしょにダグラスの中に消えた。
ダグラスは、そのまま速度を上げて、ニューヨークの空に飛び立っていった……。
「……これで、よかったの?」
「……これで、よかったの?」
ジェシカが、ポツンと呟いた……。