ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
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ブルショルリ/モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466

2007-06-03 | CDの試聴記
昨日は部下の結婚式がお台場でありました。
いわゆるジューンブライドですね。
新郎新婦がともに終始とびっきりの笑顔を見せてくれたこともあって、もう最高に清々しい披露宴でした。
「奥さんを大事にするんやで。本当におめでとう!」

さて、結婚式の話題はこのくらいにして、この一週間よく聴いたのが、フランスの女流ピアニスト、ブルショルリが弾くモーツァルトのピアノ協奏曲第20番K.466。

<曲目>
モーツァルト作曲
■ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466
■ピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488
<演奏>
■モニク・ドゥ・ラ・ブルショルリ(ピアノ)
■ベルンハルト・パウムガルトナー(指揮)
■ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ
<録音>1961年3月

     

不気味なシンコペーションにのせて、暗く静かにK.466が始まります。
控えめとか沈んだとか、そんなイメージではありません。
身をかがめてじっと息を殺しながら獲物を狙う黒豹のような表情です。
続くフォルテで、パウムガルトナーとオーケストラは俄かに牙をむいて聴き手に襲い掛かってきます。まるで夜の女王のアリア(第2幕のほう)のよう。
また、ピアノソロが入る直前でヴァイオリンが奏でる「・レレレレレレレ ドシシー」というフレーズが、こんなに切迫した響きとして聴こえることは、滅多にないでしょう。
こんな緊張感に富んだ序奏をきいたのは初めて。
バウムガルトナー率いるオーケストラのことはほとんど話題にならないようですが、いったい何故だろう。こんなに素晴らしいのに・・・。

そして、そこへブルショルリのピアノが入ってきます。
何と温かく優しいピアノだこと・・・。
オケの序奏が、とにかく緊張感溢れるものだっただけに、一層心に沁みます。
しかし、このような優しい表現で終始するわけではありません。
必要とあらば、オケにも負けないような強烈な一撃を与えてきます。
彼女の表現の幅は驚くほど広い。
カデンツァの少し前(10分過ぎ)からカデンツァの最後まで聴けば、私の言いたいことがきっと分かっていただけると思います。
フランスの女流ピアニストというと、最近ではケフェレックやグリモーを思い浮かべてしまう私ですが、ブルショルリはまるでタイプが違うようです。
かといって、フルトヴェングラーと1954年にK.466の名演を遺した先輩ピアニストであるルフェビュールとも全然違います。
ルフェビュールのほうは「謙譲の美徳」といいたくなるようなノーブルな雰囲気が、聴き手にかえって哀しみを感じさせるようなところがありましたが、ブルショルリはもっと直接感性に訴えかけてきます。
パッションと一瞬の閃き、そして圧倒的なダイナミクス。
私は、すっかりブルショルリのピアノに魅せられてしまいました。

第2楽章・第3楽章も、基本的にまったく同じ印象。
ただ、第2楽章「ロマンス」の6分過ぎに一瞬左右のバランスが悪くなりますが、これは私のディスクだけの問題?
いずれにしても、このブルショルリ&バウムガルトナーの演奏は、私が今後K.466を聴こうと思ったときに、必ず意識するディスクになることでしょう。



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