ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

ポリーニ&アバド/ベルリンフィル ブラームス:ピアノ協奏曲第1番(ザルツブルク ライブ)

2007-08-05 | CDの試聴記
随分長い間、更新が滞ってしまい申し訳ありません。
『13日の金曜日』のお話を書いて以来ですから、かれこれ3週間になってしまいました。
この間、実は週の半分以上出張が入っていて、ほとんど自宅に居なかったのです。当然出張に向けての準備も必要ですし、恒例の年金の問題集の改訂作業も重なってしまったこともあり、さすがに少々疲れ気味です。(笑)
でも、笑って書けるということは、逆に十分元気だという証拠かもしれませんね。

さて、振り返ってみれば最近の1週間に絞ってもいろいろなことがありました。
まず、27日の夜は、大阪でブログ仲間の皆様(リベラさん、アインザッツさん、yokochanさん、T女史)と楽しいひとときを過ごさせていただきました。いつものことながら、飲むほどに時を忘れて、あっという間に時間が過ぎていきます。
いったんお開きになった後、yokochanさんとは偶然に予約しているホテルが同じだということが分かり、ついつい「もう一軒」。
結果的に相当飲んだはずですが、これがきっとエネルギーになったのでしょう、翌日の仕事はまさに会心の出来!
やはり「音楽」&「酒」は最高の薬です。あと「珈琲」が加われば、まさに私にとって「3種の神器」揃い踏みというところでしょうか。

30日は、午前中に1件と午後に1件という段取りで四日市への出張でしたが、午前中のお客さまには少し時間を早めていただき、打ち合わせが終わるや否や、台風接近の噂もものともせずに一路県庁所在地である津へ。
目的は「鰻」です。
三重県津市が「鰻のまち」だと知ったのは、前日名古屋で支店の連中と飲んでいたときのこと。大の鰻好きである私にとっては、仕事以上に重要な情報でした。
なんでも、津市では「うまっぷ」なる鰻食べ歩きの徹底攻略ガイドマップまで用意されているとの由。早速この日の朝、「うまっぷ」をゲットし検討開始。
迷ったあげく、『はし家』という老舗のお店に決めました。
せっかくだからと、特上うな丼をいただきましたが、質・量ともにもう最高。
関西風の蒸さないスタイルだけど、コクがあって焼き加減も申し分ありません。
こんなに美味しい鰻は本当に久しぶりだなぁ。
私のわがままをきいて、わざわざ津まで連れてくれた営業担当のY君にはただただ感謝です。
また、四日市か津で、是非仕事を作ってね。

それから、テレビで印象に残ったのは、昨夜BSジャパンで放映していた「第13回チャイコフスキーコンクールに挑む!~若き音楽家たちの熱き20日間~」という番組。
予選から本選にのぞむ世界中から集まった若き音楽家たちのドキュメントですが、ヴァイオリン部門で優勝した神尾真由子さんや高校3年生の鈴木舞さん、シューマンコンクールの優勝者でピアノの山本亜希子さんといった日本人の演奏も素晴らしかったけど、とびきり面白かったのは3位に入賞したピアノのルビャンツェフ(ロシア)。
性格的にはシャイというか大人になりきれていない青年にも見受けられましたが、彼が第一次予選で弾いたスクリャービンのソナタ第5番は本当に凄かった。
映像で演奏の一部を聴いて判断することは危険だけど、そのスピード感とスウィングするような独特のリズム感は、この曲の新しい魅力を感じさせてくれました。
コンクールで一瞬眩しいばかりの輝きをみせながら、その後鳴かず飛ばずに終わる才能も数多く見てきましたので、彼が本物のピアニストになるのか、一時の寵児で終わるのか、今後楽しみに見守りたいと思います。

さて、この3週間の間、私がipodで最もよく聴いた演奏がポリーニ&アバドのブラームスのピアノ協奏曲第1番。
DG盤ではなく、2001年ザルツブルク音楽祭のライヴ録音です。

<曲目>
■ブラームス:ピアノ協奏曲第1番
■ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
<演奏>
■M・ポリーニ(ピアノ)
■C・アバド(指揮)
■ベルリンフィルハーモニー
<録音>2001.8.29 ザルツブルク音楽祭ライヴ

非正規盤なので、あまり出典は詳しく書きませんが、大病から復帰したばかりのアバドと本気モードのポリーニによる素晴らしい名演奏だと思います。
録音も上々。
この曲には元々名演奏が多く、なかでも私は「ゼルキン&セル」「アラウ&クーベリック(ライヴ)」「ブレンデル&アバド」の演奏を好んで聴いてきましたが、このポリーニたちの演奏も間違いなくマイ・フェイバリッドディスクの殿堂入りです。
第1楽章冒頭から、「この一瞬にかけるんだ」という奏者達の熱い思いがその音に込められているように感じられます。深くそして情感に満ちた第2楽章を経て、圧巻は第3楽章。
目指す高みを見据えて、必死に駆け上ろうとするひたむきさが私の心をうちます。
ポリーニの音はいつもにも増して強靭な響きだけど、決して力ずくにならずにブラームスの音楽にひたすら奉仕している。
1分20秒過ぎにピアノが歌いだす主題の何と素敵なことか。「憧れ」に近い熱いロマンを感じさせてくれます。あのポリーニがですよ。
このポリーニの熱い呼びかけに応えて、3分45秒あたりから弦(とくにチェロ)が奏でる表情の豊かさ。こんなに心から歌い上げられた演奏には、めったに出会わないでしょう。
アバド&ベルリンフィルでなければ実現しなかったであろう素晴らしい演奏。
私は何度聴いても胸がいっぱいになります。
できることなら、正規盤でリリースして欲しいなぁ。

ところで、私には出張の時に車中で必ず聴く音楽があります。
それは前にも書きましたが、ベームのフィガロ(DG盤)。
聴く箇所は決まっていて、第2幕のフィナーレ近くから第2幕の最後までです。
プライ扮する機知に富んだフィガロと、ディースカウ伯爵の見事な掛け合い。
そして、大好きなマティスが演じるスザンナとヤノヴィッツの伯爵夫人という最高の女声陣。
最後に全体をがっちり引き締めるマエストロ・ベーム。
この最高の名演を聴きながらテンションがぐぐっと上がり、アドレナリンが私の全身を巡り始めます。
そして第2幕が終わる時には、すっかり戦闘体制完了。
いわば、私にとっての戦闘服ならぬ戦闘歌なんですね。
そして、最近このベームのフィガロに加えて、ポリーニ&アバドのブラームス終楽章もその中に加わりました。
このコンビをセットで聴いた後の仕事の成果は、今までのところ100%です。


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13 コメント

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先日は (リベラ33)
2007-08-06 17:53:45
ありがとうございました。今回はちょっと飛ばしすぎてしまいました。
僕はブレンデルとアバドのCDを持っています。ブレンデルのピアノはいつ聴いてもいいです。
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おつかれさまでした (yokochan)
2007-08-07 00:10:39
先般は、翌日に大事なお仕事を控えながら、遅くまでお付き合いいただき、恐縮でした。お仕事うまくいってなによりです。
フィガロのエピソード、ブラームスの協奏曲、いずれも飲みながらの楽しい話題で、いまさらながらに素適なお話に溜飲が下がる思いです。

それから、「津」はうなぎなんですか!
桑名、四日市はよく行きましたが、津を飛び越して久居や松阪でした。思わず生唾の津のうなぎのお話。
食いしん坊は、ご紹介のお店をしっかりマークさせていただきました(笑)
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おかえりなさい (樹衣子)
2007-08-07 21:52:39
本当~~っに、お久しぶりです。^^
やっぱりお忙しかったのですね。
よきお仕事とよき仲間、そしてよいお酒と音楽・・・、romaniさまの充実した日々がうかがえます。

>昨夜BSジャパンで放映していた「第13回チャイコフスキーコンクールに挑む!~若き音楽家たちの熱き20日間~」という番組

先物買いの好きな私としては、こういう番組好きなんですよ。いつか地上波で再放送されることを願ってます。
それでは。。。
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>リベラ33さま (romani)
2007-08-07 22:33:12
こんばんは。
いつも幹事役をお願いしちゃって、本当に申し訳ありません。
今度、上京される時は、不肖わたくしめがアテンドさせていただきますね。

>ブレンデルのピアノはいつ聴いてもいいです。
まったく同感です。「考えるピアニスト」とかいうあまりありがたくないキャッチフレーズで呼ばれることもありますが、彼ほど充実した豊かな響きを聴かせてくれるピアニストも少ないと思います。
私も大好きです。

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>yokochanさま (romani)
2007-08-07 22:37:41
こんばんは。
先日は本当にお世話になりました。

>「津」はうなぎなんですか!
そうなんです。いや、そうなんだそうです。(笑)
しかし、実際に津へ行ってみて納得しました。
本当に美味しかったですよ。
機会があれば、是非ご賞味ください。
(うん? 一瞬、津のスポークスマンに変身してしまいました)

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>樹衣子さま (romani)
2007-08-07 22:47:13
こんばんは。
ご心配をおかけし申し訳ありません。
生来の怠けグセもあったのですが、このひと月の全国行脚は、ちょっと異常でした。
ようやく、これから普通の生活がおくれそうです。(笑)

土曜日に放映していたチャイコフスキーコンクールのドキュメントは面白かったですよ。
ヴァイオリンの神尾さんの演奏は、やはり一頭地を抜いていた印象です。
ピアノ部門でなぜ1位なしだったのかも、何となく理解できるような気がしました。
地上波で早く放送があるといいですね。
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おつかれさまです (よし)
2007-08-08 08:20:31
お仕事おつかれさまです。
アバド、ポリーニ、ベルリンフィルのライブはスゴイと思います。
アバドはライブとスタジオでは全然違いますからね。
私の戦闘歌は「六甲おろし」ですが・・・昨日は残念でした。
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>よしさま (romani)
2007-08-08 21:40:58
こんばんは。

ご心配をおかけし、申し訳ありませんでした。

>アバドはライブとスタジオでは全然違いますからね。
まったく同感です。とくにこのザルツブルク音楽祭の演奏を聴いていると、病み上がりのアバドの姿を見て、きっとポリーニも心に感じるところがあったように思います。素晴らしい演奏でした。

>私の戦闘歌は「六甲おろし」
なるほど。この名曲をうっかり忘れていました(笑)
早速ipodに入れておかなければ・・・。

ありがとうございました。
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お久しぶりです (zauber-ton)
2007-08-09 14:30:44
更新が無く、心配していましたが、お元気そうで何よりです(笑

フィガロのこの部分を聴くと本当にアドレナリン、出てきますよね!
私も大好きなところ!!何度聴いてもいいですよね。

ここのころ、ブログをずっとお休みしていましたが、実はあと2年ウィーンにいるために音楽院のマスター(日本で言う大学院)を受験、そのために必須のドイツ語の資格のための勉強、と忙しくしていました。
その必要な資格もそろい、もう少し落ち着いたらブログを再開しようと思っています。
その際はまたよろしくお願いします♪

お忙しいとは思われますが、お体大事になさってくださいね!
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>zauber-tonさま (romani)
2007-08-10 00:51:31
こんばんは。

お久しぶりです。
コメントいただいて、とても嬉しいです。

ウィーンの音楽院のマスターに入学されるのですか。
頑張ってらっしゃるんだなぁ。
本当に素晴らしいことです。
でも、あまり無理はなさらないでくださいね。
(あれっ、いただいたコメントと同じだ(笑))

ブログの再開、楽しみにしております。
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