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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

隻腕奮闘記 衣類と食についての経験

2016-01-30 02:52:43 | よしなしごと
 左腕の骨折でにわか隻腕になってから一週間が経つ。
 いろいろ不自由しているが、この間、経験したことをレポートしておこう。
 ユニバーサルなものの開発やそのデザインの参考になるかもしれない。

【衣類について】
*ボタン
 大きめで、ボタンホールもざっくりしているものはいい。
 しかし、ワイシャツサイズでホールがきっちりしたものはとてもはめにくい。

            

*ファスナー
 ズボンなどの固定したものはほとんど問題はない。
 ジャンバーなどの左右に分かれているものは、最初のかみ合わせをしなければならない。
 これがけっこう、難しい。

*ホック
 押すだけで済むはずだが、実際にやってみるとけっこう難しい。
 はずすときは、布地を引っ張ってということになるが、これが薄手の場合は布そのものを傷つける可能性もある。

            

*靴下
 これが難物で、履き口が緩んだようなものはいいが、まだ新しく、履き口がすぼまっているようなものはたいへんだ。
 動物を檻の中に誘導するように、その履き口へつま先を誘うのだが、これが難しい。
 親指に引っ掛け、小指まで入ればいいのだが、この段階で慌てると、するり、するりと逃げられてしまう。慎重に事を進めて、つま先全体を入れる。
 しかし、ここでしめたと急いで引き上げると、因幡の白兎が最後のワニザメに捕まったように、靴下の場合は逆に、いったん入ったと思ったつま先が、するりと逃げてしまう。

            

【食について】
 食べる方はほとんど問題ない。カツやステーキをフォークとナイフで食べるとか、ラーメンのスープを丼を抱えて豪快に飲む、などということはできないが、前者は予めまな板の上で切っておくとか、後者の場合はれんげで品よく飲めばいいだけだ。
 まあ、箸一膳でなんとかなる。

            

 問題は調理の方だ。
 下ごしらえで、魚をおろすとか、里芋や馬鈴薯など芋の皮を剥くことができない。
 切る段になると、逆に芋類や大根、人参など硬くて抵抗のあるもののほうが切りやすい。
 青菜などは、まな板に横たえて、据え物のように包丁を振り下ろして引くのだが、手を添えてのようにはうまくゆかない。

 刺し身も、予め切ってあるものは鮮度などイマイチなので、短冊で買ってくるのだが、これがうまくゆかない。
 包丁の切れ味にもよるが、だいいち、包丁が研げない。
 煮物、揚げ物、味付けなどは、調味料の蓋が開かないなどの不便はあるが、基本的には問題ない。

            

 あとは洗いものである。固定していない器や鍋を洗うのは極めて難しい。たっぷり洗剤をつけるのだが、どうしても表面を撫でるだけで、ゴシゴシというわけにはゆかない。

 
 以上は愚痴ではなく、隻腕になった場合、克服すべき実態である。
 これらをこなしている人たちは偉いと思う。
 私も、もうしばらく、隻腕生活を余儀なくされるが、こうした経験を工夫や発想の転換で克服しながら、頑張ってゆきたい。
 



コメント
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