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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

ナンキンハゼの紅葉と借りてきた本たち

2015-12-02 11:19:24 | よしなしごと
 私の読書の力強い味方、岐阜県立図書館が図書の整理のため11月30日から12月10日まで休館だという。これは大変とばかり、11月29日にでかけた。
 休みの間はもちろん利用できないが、いい点もある。通常3週間の貸し出しが、休館期間も加算され、ほぼ30日間になることだ。

           

 返すものは返し、新しく4冊を借りた。
 30日間にしては少ないとお思いだろうが、うちには自分で買ったもの、贈呈本などもあってほかにも読むべきものが山積しているのだ。

 本を借りてから、ここ十数年ご贔屓にしている、図書館と道一本向こうのナンキンハゼの木のウオッチングに。普通、ナンキンハゼは暗紅色に紅葉し、やや重い感じがするのだが、この木は明るい色彩であでやかに紅葉する。
 今年もそうだったが、来るのが一週間ほど遅かった。ほとんど散ってしまっていたが、残った葉はやはり美しい。日が傾きだした条件のなか、なんとか携帯のカメラに収めた。

           

 借りてきた本は以下のようだが、それから3日。ある程度読み進んだ。私の癖で、一冊の本に集中できない。同時並行的に読み進める。それも加味して、以下に借りた本の紹介を。

              

■「権力の空間/空間の権力 個人と国家の間を設計せよ」
              山本理顕 (講談社新書メチエ)

 この本は建築学の棚にあった。普通なら、絶対に私が見にゆかない棚である。それが、アーレント関連の文献を検索している時に引っかかってきたので、野次馬根性よろしく覗きに行ったという次第。
 目次などを見て驚いた。アーレント思想の空間化といっていい書だ。少し読み進んだが、すでにして眼から鱗の記述もある。思想・哲学のコーナーに置いても決して不思議ではない書。
 著者は、横須賀美術館(2007年)、福生市庁舎(2008年)、天津図書館(2012年)など数々の設計を手がけた建築家。

              

■「待ち望む力 ブロッホ、スピノザ、ヴェイユ、アーレント、マルクスが語る希望」
              的場昭弘  (晶文社)
 
 この著者のものは雑誌の論文などしか読んでいない。「待ち望む力」とは希望のことで並んでいる固有名詞が魅力的。この5人は全てユダヤ系の人たち。彼らや彼女たちがどのようにその希望を描いたのかに興味がある。併せて、この現代の暗い時代に私達はどんな希望をもつことができるのかということだ。
 これも第2章まで読み進んだが、とても読みやすいが、反面、高校生のころに読んだ唯物論の啓蒙書のようでやや物足りない。後半面白くなることを期待して読み進めよう。

              

■「藤田嗣治とは誰か 手紙と作品から読み解く、美の闘争史」 
              矢内みどり  (求龍堂 これは初めての出版社)
 
 今秋、岐阜県美術館で「小さな藤田展」を観て、その後『戦争画リターンズ 藤田嗣治とアッツ島の花々』(平山周吉 芸術新聞社)を読み、さらに、小栗康平監督、オダギリ・ジョー主演の映画『FOUJITA 』を観た流れで借りてきた。
 著者は、30年間美術館の学芸員を経験した美術評論家。この書は、新たな書簡や資料を元に藤田の今まで知られなかった側面に触れるという。読むのが楽しみだ。

              

■雑誌「思想」2015年 7月号 特集は「戦後」の超克  岩波書店

 戦後はまさに私がともに生きてきた時代。それがはらんできた問題とは何なのか。
 安倍総理が「戦後レジームの解体」を声高に語るなか、それとはベクトルを異にする現状脱却の道とは何であるのか、いろいろ考えてみたい。
 日本の思想家のみならず、キム・チョル、ユン・ヘドンなど韓国の論者からみた論考もあるようで、少し幅を広げた戦後論が期待できるかもしれない。

コメント
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