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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

寒々しい師走と「カンラン」物語

2014-12-14 00:55:46 | 日記
 師ではないがいろいろ走らねばならない時期がやってきた。
 そのうちにやるさ、と放置してきたことの付けが回ってきたのだ。
 年末という契機をてこにして強制的にしなければならないことがたくさんある。

 だから駆けまわる。
 冬の風景はどこも寒々しい。



 いつも行く桜の道は、もうすっかり葉を落としているが、紅葉したまま樹にへばりついているものも多少あって、かえって寒々しい。
 残菊というにはあまりにも賑々しい一群を見つけたが、寒風の中とあってやはり華々しさはない。それどころか、逆にうつろな寂しさを誘う。

          

 農協の野菜売り場へ行く。
 スーパーでもそうだが、ここでも正月色が色濃くなっている。
 だが年内にもう一度は足を運ぶつもりだから、ごく日常的なもののみを買う。

 店頭の一角に、葉牡丹が勢揃いして華やいでいる。
 子供の頃、私が疎開していた田舎ではこの葉牡丹のことを「カンラン」といった。
 同時に、キャベツのことも「カンラン」といった。
 確かにこの二つは同じ仲間だろう。
 
 そのいい方は単なる方言ではなかったはずだとググってみた。
 カンランという植物でヒットするのは、まず「寒蘭」である。
 これは文字通りの蘭の仲間で、10月ぐらいから1月にかけて花をつけるためこう呼ばれているようだ。



 その次に目を引いたのは「広島流お好み焼き カンラン」であったが、これはどうやら店名のようで、クリックして見たらキャベツのイラストがあって、お好み焼きに使うキャベツからのネーミングだから、私の子供時代の用法に一歩近づいたわけだ。

 さらに追ってゆくと、「コトバンク」に「 1. キャベツの別名 2 . ハボタンの別名」とあってちゃんと「甘藍」という漢字が添えられている。そうそう、この漢字だったといまさらながら思い出した。

 葉牡丹=カンランはなぜ正月を彩るものとして門松などに使われるのだろうか。
 この葉牡丹自身が園芸種として栽培されるようになったのは江戸中期からだというからそう古いことではない。
 どうやら、紅白(いまはその他のものも)で縁起物として珍重されたからだというのがその理由らしい。



 さて、この葉牡丹、食用になるかどうかであるが、「キャベツの仲間だから食べられるだろう。ただし食用に特化されたキャベツに比べたら味は落ちるだろう」というのがおおかたの意見ではなかろうか。とうぜん、私もそう考えた。
 しかしどっこい、以下の様なリスクを覚悟して口にすべきだろう。
 曰く、「葉牡丹は食用ではなくあくまでも観葉のための園芸種。そのため、栽培の過程で健康に有害な物質(農薬など)が付着している可能性がある」とのこと。
 色目がいくら鮮やかだからといって、サラダなどにしないほうが無難なようだ。

 さて明日(おやもう今日になってしまった)は投票日である。全国的に寒々しい投票日になるようだ。その結果がよりいっそう、寒々しいものにならないことを祈るばかりだ。
コメント (1)
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