六文錢の部屋へようこそ!

心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

春宵一刻、老爺つどいて酒宴の談

2014-04-09 17:48:40 | 日記
  写真は本文とは関係ありません。 

 高校の同級生たちと久々に会う。
 昨年暮れに集まろうかという話が出たが、お互いの日程がつかず実現しなかったので半年ぶりぐらいになろうか。

 私としては先月の20日以来、図書館と買い物のほかは外出をしておらず、したがって人と話す機会もなかったので、メールや電話を除いて、生身の人間と話すのは久しぶりになる。

           
            ツツジの蕾がどんどん大きくなってきた

 今回は三人だった。
 いずれも高校時代、歴研や社研、文芸、演劇など文系サークル出身だけに、かつてはテーマを決めて勉強会などを行っていたが、最近はそうしたこともなくなった。しかし、時事問題などは相変わらず話題となる。

 今回は、今なお果物屋で頑張っているH氏の問題提起が盛んで、今年は冬が長引き寒い期間が目立ったように見えながら、全体としては温暖化の影響がじわじわと浸透しつつあり、それは各種果物の入荷時期や終了時期の変遷に顕著に見て取れるとのことだ。

 果物ではないが、岐阜の人たちが誇りにしている淡墨の桜(エドヒガンの古木・1922年に国指定の天然記念物・樹齢1500年余)も、かつては、岐阜市あたりのソメイヨシノが咲いてから1週間か10日後の開花だったのが、いまは殆ど同時である。
 そのソメイヨシノにしたところで、私の子供の頃は4月になったらというのが普通であったが、今や岐阜近辺では3月の25日頃から花をつけ始める。

           
                これはもうはち切れそう

 そんな話から、小売業の衰退へと話題は移る。やはり、H氏の現業ゆえの経験で、同業者はかつての5分の1を割ったのではないかという。しかも、そうした業者衰退の風潮は収まるところをしらず、さらに進行するというのだ。
 そのひとつが今回の消費税のアップで、耐久消費財は駆け込み需要で一息はついたものの、果実業ではそれもない。鮮度が命の果物を買いだめするひとはいないであろう。そのくせ、税率アップの値上がり感による買い控えで、一方的に売上が落ち込むのみだという。彼の見通しでは、果実業や青果業を始め、さらに廃業が進むのではないかという。

 私が話題を引き取る。私のよく行く酒類のディスカウントショップでは、3月末の駆け込み需要はあったものの、4月に入って売上は全くの停止状態で、広い売り場に客は私一人、店長は「こうなるとはわかってはいたものの」とべそをかいていた。で、たまに来た私のような客が、年度末棚卸しで半端物になり半額にしたワインを2本だけ買って帰ったのではたまらないだろうな。

 事実、TVあたりで見る限り、あまりにも不振な売上に業者がたまらず、大幅なディスカウントを行う結果、結局、3%値上げ以前よりもはるかに安い商品が溢れていて、駆け込みで買った連中がかえって渋い顔をしているという話も出ているようだ。

 
                  
    6鉢に株分けしたスズランがそれぞれ芽を出す もう花穂もつけている

 もちろん、近頃、8億で熊手を買った政治家の話や、何十億も使った大阪市長選のわけの分からなさ、そしてその関連で安倍くんが「お友だち」として囲い込んだそれら「責任野党」がいかに「無責任」であるかなども、余すところなく酒の肴となった。

 まあ、話はこうしたとりとめのない床屋談義のようなものであるが、それはそれでいいだろう。
 かつて、勉強会などをしていた折には、なにかまとめのように共通する言葉を見出してそれでそれらの現象を解明しえたかのように思っていたが、その共通する言葉自体がどんどん変遷する中では、その変容そのものを現象として認め合うこと、いやぁ、実に変わってきてしまったなぁ、これからもどんどん変わるんだろうなぁという驚きを共有することでいいのではないかと思う。

           
           去年買ったモッコウバラの苗がすっかり根付いた

 というようなわけで、床屋談義がひとしきり続いたあと、もう何十年来行きつけのカラオケスナックへ。めいめい勝手に、ほぼ決まりきったレパートリーを喚いて適当に鬱憤を発散し、それ相当な自己満足のうちに帰途につく。
 あ、そうそう、この内で誰が一番先に逝くだろうといった話が出たことはいうまでもない。


H氏のおまけの話 
 この頃、葬儀の簡素化、いわゆる家族葬やジミ葬が増えて、果物屋や花屋は泣いているそうだ。これもまた高齢化社会の影響で、リタイヤーしてずいぶん経ち、現実とのつながりがほぼ絶たれたところで死んでゆく者たちのために、金はかけられないということなのだろう。
コメント (5)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする