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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

私の作った蕗味噌と東京オリンピック

2013-01-14 03:19:43 | よしなしごと
 二、三日前、スーパーへ行ったら小指の先ほどの蕗の薹が十数個入ったものが二百ウン十円で売っていた。
 もう少し暖かくなったら、そのへんにいっぱい出てくるものをなんでそんなに大枚をはたいて買わなきゃならんのだと横目で睨んで通り過ぎた。

 帰途、よく考えてみれば「そのへんにいっぱい出て」いたのはもう随分前の話で、最近はあまり見かけないことに気づいた。農道の整理やその他の環境の変化のせいだろう。
 かつて、愛犬「寿限無」の散歩のついでに、ポケットというポケットにいっぱい摘んで帰ったことなど思い出したが、それももう二〇年以上前かもしれない。
 ならば買っても良かったかなとやや悔やんだが、もう遅い。
 それに、あれではいかにも小さすぎる。まるで児童虐待ではないか。

 で、昨日のことである。同じスーパーへ出かけたら、やはりあの蕗の薹は売れなかったのか、なんと一パック六〇円になっているではないか。
 これなら買いだと、二パックをゲットした。
 筆の穂先のように小さいものが、えんじ色の外皮にくるまれているので掃除にはけっこう手間どる。根元を切って外皮を取ると、やっと鮮やかな黄緑色が姿を現す。

 一パックはお決まりで天ぷらにした。
 う~ん、このほろ苦さがなんともたまらない。
 もう一パックは蕗味噌にした。
 レシピは以下だ。

掃除したものを五ミリぐらいに刻んですぐ水に落とす(そうしないとアクが出て見る見る黒くなる)。
切り終わったら、水に晒したそれを熱湯で三〇秒ほど湯がき、再び水でさらす。
よく絞ってから少量のサラダオイルで軽く炒める。
それを予め、味噌、みりん、砂糖を練り合わせておいたものに加え、双方が馴染むまで混ぜながら火を通す。

 これが絵に描いたようにうまくいって実に美味いのだ。
 ちびちび舐めれば酒肴になる。
 炊きたての飯に乗せれば、また一段と香りが立ち上る。
 パンにだって合ってしまうのだ。

 話は突然変わるが、ツイッターで私がフォローしている猪瀬くんが、なん日か前にこんなことをつぶやいているのをリアルタイムで見た。

「東京五輪がいやならどうぞ、引きこもっていてください。復興への使命感がある人、世界のアスリートから生きる意味を学びたい人、日本の選手の活躍を眼の前で見つめたい人、やりたい人でやりますから。」

 物書きのくせに随分デリカシーのない言い方をするなあと思っていたら、それに反発する人たちが押し寄せて、彼のブログは炎上中とのことだ。
 公人の表立った発言だからやはり反発は必至だろう。

 「復興への使命感」があるならその金を直接東北へ持っていった方がいいんじゃぁないかい。聞くところによると、これまでの宣伝工作費だけで既に何百億をつぎ込んでいるはずだ。
 「世界のアスリートから」学べって、どれだけの人が直接それを見ることができるんだい。北海道から沖縄までのすべての人に見せる工夫でもあるんかい。
 どこでやろうとTVの方がはるかにわかりやすいし、はるかに学ぶところがある。

 「引きこもっていてください」ってなんていう言い草だい。
 ようするに、オリンピック誘致に関心のないやつはヒッキーになれということかい。
 それって、差別を含んだ言いがかりだろう。
 仮にも公人が言うべき言葉じゃないよな。

 「やりたい人がやりますから」って居直るなら「どうぞ」というほかないね。
 その代わり、税金をびた一文も使わないで、すべてあんたたちのポケットマネーでやってね。
 土建屋さんから寄付を集めたっていいよ。
 どうせそこへゴッソリ金がいって、その一部が政治資金としてあなたたちの懐へ還流する仕掛けになっているんだから。

 だいたい日本の誘致賛成派はやっと五〇%台だろ。
 だったら、ほかでやらせればいいじゃないか。
 もっとも、あなたのそうした狭小な発言がさらに支持率を下げたと思うんだがどんなもんだろう。

 東京オリンピックなんて、私の作った蕗味噌ほどの価値もない。


今回は写真はありません。味噌の写真なんてどう撮っても見映えがしないもんね。調理する前の蕗の薹を撮しておけばよかった。

コメント
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