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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

お引っ越しの挨拶はありませんでした。

2010-05-06 01:33:58 | よしなしごと
 またまたわが家のキジバトの話題ですが、もうこれっきりです。

 4日の夕方のことです。それまでじっと巣を守っていた鳩がすーっと飛び立ちました。驚いたり怯えたりするような状況ではありませんでした。暖め手の交代かなと思いました。しかし、辺りが暗くなっても帰ってくる様子はありません。
 少し心配でしたが、鳩だってズーッと同じでは飽きが来るし、そのうちに帰ってくるさ、なんといっても卵があるんだからと自分に言い聞かせていました。

 5日の朝になっても帰りません。ベランダの上から木の葉越しに確認するとどうも卵も見あたらないようなのです。
 それでも万一ということもあるので、あまり近づかないようにして待ちました。
 とうとう24時間以上がすぎました。でも、帰ってきません。
 ついに意を決して巣に近づき確認することにしました。
 もぬけのカラです。

    

 鳩はおろか、3日の午前には確認していた卵もありません。
 僅か1日か2日の間に孵化し、巣立つなどということは考えられません。
 かといって、何ものかに襲われた様子もありません。
 4日の夕方まではきわめて自然にしていましたし、飛び立つときも驚いたり慌てたりする様子などありませんでした。

 おそらく、もう少し居心地の良いところを見つけて引っ越したのでしょう。
 卵を持ってですからそんなに遠くへではないと思います。
 念のため周りの木を見て回りましたがそれらしい巣を見かけることはありませんでした。

 きっと新居で無事に孵り巣立つのでしょう。
 そう信じています。
 その瞬間に立ち会いたかったのですが、夢は叶いませんでした。

 でもいいのです。これでもう、鴉の鳴き声が聞こえたからといって耳をそば立て、猫の姿が見えたからといってその行くへを目で追うというようなことをしなくて済むようになったのですから。
 そこで一首。

   世の中にたえて鳩の巣なかりせば初夏の心はのどけからまし

 下の写真は、二週間ほど前、抱卵し始めた頃のものです。
 孵る日を、そして巣立つ日を楽しみにしていた頃です。

       

 上の歌が
   
    世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし
  
  という、在原業平のもののパクリであることはいうまでもありません。
    

コメント (2)
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