お年寄りが飲みやすい食品とは?
化学と生物 Vol.57 No.5 Page. 279 - 288 (published date : 2019年5月1日)
熊谷 仁1, 秋間 彩香1, 谷米(長谷川) 温子2, 二宮 和美1, 熊谷 日登美2
共立女子大学家政学部
日本大学生物資源科学部
嚥下困難者用介護食としては,①べたつきにくく,②口腔内や咽頭部でまとまりやすいものが適するとされ,ゲル化剤や増粘剤を添加したものが多い.“べたつき”や“まとまりやすさ”はよく,TPA(Texture Profile Analysis)から求められる付着性や凝集性で評価される.われわれは以前,本誌に「高齢者が誤嚥しにくい介護食の物性」というタイトルの総説を寄稿した(1).そこでは,食品の力学物性と咽頭部の食塊の流動性の関係を概説し,TPA, 特に凝集性の問題点について物理的視点から考察した.今回は,その後得られた知見も踏まえ,食品の“まとまりやすさ”,嚥下困難者が誤嚥しにくい食品の力学物性について論じる.