イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

創業者金山金次郎

2009-01-08 17:41:24 | お笑い

一週間も前の番組についてむし返すのもどうかと思いますが、『笑いの祭典 ザ・ドリームマッチ』(32100~)は本当にしょうもない番組になってしまったなぁ。

組みたい相手を選んだり、選ばれて拒否ったりできる“フィーリングカップル方式”(←この呼称の時点で、思えば明白に寒かった)になった一昨年、現役芸人さんたちの子供時代からのヒーロー・志村けんさんが特別参加し、あのときの空気でイヤな予感がしたのですが、もう完全に、楽屋落ちを通り越して、画面に映らないようにネタ打ちリードしてるのであろう放送作家さんたちも含めた、関係者だけの内輪ノリでしょう、コレ。

組合せ決めだけでどんだけ尺取ってるよ。ウッチャンと松本が組むのが、何でそんなに嬉しいんだ。『夢で逢えたら』っていうのがどれだけ人気番組だったか知らないけど、TVのこっち側よりも、芸人が、それも当の松本ウッチャンでなく見守ってる若手が「やったー!!」ってテンション上がってるっておかしいでしょうよ。

誰が誰より事務所の先輩or後輩だとか、誰と誰が何年前に、何という番組で何年共演してたとか、誰と誰が仲いいとか悪いとかは、“いまこれから演る演りものが、おもしろいかおもしろくないか”に何の関係もないそういう、芸人さん同士の人間関係とかお付き合い歴みたいな文脈に何の興味も持てず、面白がることができないってことは、自分は基本的にお笑いが好きじゃないのかな?と思わず真剣に自省してしまいました。

特撮なら、かつて敵役を演じた俳優さんが現行の仮面ライダーに味方役で出てくれたり、往年の戦隊OBが現行戦隊にゲストインしたりしてくれたら、映ってる間じゅう、話の筋とは別建てなワクワク感があるのに。

そう言えば、歌舞伎や落語なんかも“誰が誰の何世”“どこの一門で、誰の兄弟子、弟弟子”“誰がどの一門から飛び出して何の誰の助を名乗った”なんていう人間関係の知識込みで興がるジャンルの芸能です。

ちょっと性格は異なるけど、宝塚歌劇もこれに似ている。“誰は誰の何年上級生”“誰某は誰さんとはいいコンビだったけど、トップが某さんに代わったら嫁失格”“誰それより何年後輩なのに、誰某より重い役なのは、現トップに気に入られてるかららしい”と、みずからも女子校の一員になった気分で、憶測を逞しくしては観劇のテンション増幅させていくのが王道の楽しみ方。

たぶん月河は、“そういうもろもろの予備知識がなくても、いま目の前で演られてるものだけをドンズバ出会いがしらに見て楽しめる、可笑しがれる”ということをこそ、お笑いに求めているんだと思う。だから、以前は正月バラエティの中でもいちばん楽しみ指数の高かった『ドリームマッチ』がつまらなくなってきたのでしょう。松本ウッチャンカップル成立に、雨上がり蛍原と一緒になって「やったー!」「レジェンド!」と沸き立っている視聴者も、TVのこちら側に一定数きっと居るのでしょうね。

言い換えれば、TVお笑いの伝統芸能化”が進んでいるということ。ドリフの全盛期から30年余、MANZAIブームからも30年近く、『ボキャブラ天国』ってのは…いつでしたっけ?個別には浮き沈みありながらも、お笑いがまるごと“TVから用なし”になったことは一度もない。昭和天皇の体調が「いまか、いまか」の頃の万事自粛ムードの頃が、一時的にいちばんお笑い蛇口の細った時期だったか。

高原状態の平和と繁栄が、実質、歌舞伎や宝塚並みに長く続いたために、芸にもネタにも直接関係ない、人間関係とかキャラなどの文脈的な面白がりどころが蓄積してきたのがいまのお笑い界と言っていいと思う。

個人的にはむしろ「垢がたまった」と表現したいところですが。

『非婚同盟』3話。本宅の妻と愛人のもとをピストン運動のおかげで、ご機嫌斜めなそれぞれの娘たちに、フランスのオートクチュール“ジャンヌ”のコートで懐柔する猪士郎(風間トオルさん)。本妻・絹子へのトパーズの指輪といい、オンナ癖野郎の“女喜ばすには宝石とブランド服”信仰はものすごいものがありますな。

でもって、そのコートがもう、嬉しくなっちゃうくらいのベタ表現。ある時期まで(いまもそうか?)少女漫画の“金持ちお嬢さま”は、日本が舞台でも外国が舞台でも、ハンコでついたようにああいうコートを着ていた。ラメ入りキラキラの、雨雪泥砂ボコリ、いっさいご法度な純純純白スノーホワイトに、衿袖には見ただけでクシャミが出そうなほわんほわんのファー。衿より袖口のファーが、漫画的には金持ちポイント高いんですよね。

愛人・圭子(三原じゅん子さん)の前夫(=アメリカ兵)との娘でハーフの小百合(近藤エマさん)の、一転素直な笑顔がよかった。もちろん同じコートを買ってもらった本妻の娘・由起子(林愛夏さん)と、どっかで鉢合わせしてむぉ~~!となる伏線でしょうけど、その前にこんな無防備な喜び顔を見せておくのは、演出としていい。

見守る圭子のおおらかさもいいですね。本妻娘にも同じのを買ってやったと猪士郎がカムアウっても、キリキリ嫉妬したりしないのね。猪士郎みたいな男が昭和時代を通じてあとを絶たなかったのは、経済の右肩上がりのせいが大きいけれど、結局、女が強くて賢いからなんですよね。だからいつまでも男がバカでいられる。

『サギ師リリ子』も第3話。まんまと嵌められちゃったリリ子友人の夫家具屋・元モデル事務所社長・ホストが3ショットで「世界一幸せな男たちが集まったかも」と屋台で乾杯する場面がよかったね。結局、こんな(ドラマとはいえ)見え見えのウソ話に引っかかって気分よくなれちゃう人って、心のどこかに“騙されたい、踊らされたい願望”があるんだなとしか思えない。

オレオレ詐欺にしても、リフォーム詐欺、霊感商法、貴金属先物、マルチなどにしても、世間でその都度話題になるさまざまな詐欺手法、「同じ人が、違う手口に、何度も何度も引っかかっている」らしいですよ。

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