イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

フォークがナイフ

2007-12-20 17:39:26 | テレビ番組

病院の会計や銀行ATMコーナーでの“フォーク並び”

並んで待ってるときは合理的だけど、めでたく順番が来たあとちょっと怖いですね。

8台のキャッシュディスペンサーのあるいつもの金融機関のコーナー、今日お昼休みに駆け込むと4人待ちで、これくらいなら寒くても待てるわと思って5人めに並び、思いのほかすいすい前4人が“ハケて”、列の先頭になると…アレ?8台にそれぞれ貼りついてる皆さん、結構時間かかってて、“どっか1台”がなかなか空かない。その間にも後ろに着々と並び、フォークの“柄”がどんどん長くなって行く。

8人の先客の背中を見てると、皆さん作業手順のスムーズ/アンスムーズ度合いが非常にまちまちなんです。

チャッチャカさくさくキーを押して行く人もいれば、ひと手順ごとにバッグの中をもそもそ探したり通帳のページを指舐め舐めめくったり、「この通帳じゃなかった」みたいに元に戻したり、後ろから「早よせんかい!」とケツバット食わしたくなる人もいる。

概して、冬空にサンダル履きカーデはおったOLさんや、現業系の制服着た男性、背広ネクタイにアタッシェケース持ちは仕事が速いです。

同じ背広組でも手ぶらの、「会社のオンナノコに頼むわけにもいかないので、すぐそこのビルだしちょっと」みたいな窓際族風中高年は、慣れてないって年格好でもないのに、意外に空気読めないじんわりのっそり“いまだけ気分は重役”なマイペース。

最悪なのが、毛つきのフードありキルトコート(藤色とかライトベージュとか妙に明るい色調)にフチあり帽子のおばちゃん。まず、順番来てCDの前に立ってから、仕切り壁にツエ立てかけ、手袋外すところから始まり始まり。

…………まぁそうこうするうちに、いずれどこかが1コマ空いてすわっと自分の順番が来るわけですが、いざ自分がCDの前で操作を始めると、一瞬前までの自分の立場にいる、“フォークの付け根”の人の視線が背中にグサグサ突き刺さる。

8ケの背中を順繰りに見渡して、「アイツは遅そうだ」「アノ人が手際がいいから次空きそうだ」と見比べていた、同じことをいま自分の背中もされているのだろうな…と思うと「意地でも“8ケ中8番目のドンケツ”にはなりたくねえ!」と妙に闘争心が湧いてきたりして。

なんなら8人、白黒赤青黄緑橙桃の帽子被せれば時計詰まるんじゃないか、とか考えてしまうのは、別に有馬記念が23日に迫っているからではな………くもない。

 帰宅後のお楽しみ『真夏の薔薇』は、今週アタマ放送された25話に、ひとつの見せ場ピークが来た模様。

碧(安永亜衣さん)が妊娠、しかも稲彦の子と知った萌子(よくぞここまでの鰐淵晴子さん)が強襲、「罪の子を堕ろしなさい!できないなら私がその腹を切り裂いてやる!」と庖丁振り回して大暴れした挙句、逃げた碧を追って道路に飛び出したところをトラックに轢かれ、搬送先の病院の廊下に、噴水のように大量の血しぶきぶちまけつつ絶命…という壮絶場面でした。序盤の靖顕(入江達也さん)vs.稲彦(池田政典さん)の手術室ローションプレイといい、96年本放送の昼ドラとは言え、いまのゴールデンタイムなら規制必至の気前のいい流血っぷりです。

萌子にしてみれば、本当は本妻の自分をさしおいて夫・英雄(小野寺昭さん)の子をこっそり産んでいた郁子(姿晴香さん)にこそ庖丁突き出して暴れたいんでしょうけど、郁子があんまり蛙のツラに(中略)なのでそれができない。しかも自分の唯一の誇りと拠り所である息子の稲彦を、郁子の子・碧に汚されてしまったという惨めさ屈辱感が綯い混ぜになって、怒りの併せ技が碧に集中して「罪の子を孕んだ!虫酸が走る!」と襲いかかったのでしょう。かつてのフランス人形アイドル・鰐淵さんの捨て身の怪演もあって、あり得ないけれど真実味はある修羅場表現。

この場面、萌子は碧が住むマンションを訪ねた時点で、白地に曼珠沙華?のような赤い花を散らした和服。遠目にはいきなり血の飛沫に見える柄。衣装さんグッジョブ。

碧が帰宅して、ソファに座る和服女性の後ろ姿に郁子かと思い「お母…さん?」と近づくと、じわーっと嫣然と振り向いたのは萌子…と、ホラーチックな演出がこの回も冴えました。

この後も、靖顕の妻となりながら異母兄の稲彦の子を身篭る罪深さに耐えかねた碧の自殺未遂と、その救命のため胎児をあきらめなければならなくなる…という悲劇は続きますが、一時は「俺たちは夫婦なんだ、だから碧の腹の子はオレの子だ、俺たち夫婦の子として2人で育てよう」とまで啖呵を切った靖顕の雑食的“なんでもあり”っぷり、父子も夫婦も年中大音量で怒鳴り合うテンション高い稲彦一家など、“悲しい、イタい、かわいそう”に塗り潰されない、毎話見どころが一箇所もないことは絶対ない、視聴者フレンドリーな展開です。

他の男と結婚した後に、こちらも妻子ありとなった英雄との間の碧をもうけた郁子といい、稲彦と駆け落ちまでしながら靖顕と結婚した碧といい“女は自分の子の本当の父が誰かわかっているが、男は妻が産んだ子でも自分の子か確信がなく、どう対応するかは本人の度量次第”という“身体構造に基づく女のしたたかさに対する、男のナサケなさ無力さ”がこのドラマの裏テーマかな?という気もします。

とりあえず、異母兄妹と知って沈黙のまま身を引こうとする碧の気持ちも知らず、未練がましく(自分たちの仲を裂いたと思しき)父・英雄にも食ってかかる稲彦といい、碧の妊娠と中絶未遂騒ぎも知らず「おふくろの葬式に何故来なかった、親戚中に大恥をかいたぞ」と帰宅早々怒鳴って妻を床に突き飛ばす靖顕といい、かたや“勘の鈍いバカ”こなた“単細胞で粘着”と、どっちと一緒になっても碧は幸せになれなさそう。

“結ばれてほしいのに結ばれない悲恋カップルの物語”に見えて、根本のところで絶対そうではない。本当に奥の深いドラマです。

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