弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

事務所開設12年目!
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【商標】普通名称みたいな登録商標(“縮めた言葉”編)

2021年07月08日 08時30分38秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
どんより曇り空な@湘南地方です。

さて、またまた東京では緊急事態宣言出されるそうで。
もうコメントしません。アホらしいので。

あんまりにもアホらしいので、
全然関係ないネタやります。

世の中で普通名称みたいに用いられている言葉、実は特定の会社の登録商標だった、
なんてことがあります。
当職もセミナーでしばしばネタとして使わせていただく「プチプチ」、
あれも川上産業㈱さんの登録商標です。

他にも、例えばこんなものが登録商標。

・「のりたま」(指定商品:のり・たまご等を主材とするふりかけ)
 [丸美屋食品工業株式会社]
・「プラモデル」(指定商品:プラスチック製模型おもちゃ及びその組立キットその他のおもちゃ,人形)
 [日本プラモデル工業協同組合]
・「ラジコン」(指定商品:おもちゃ(おもちゃ花火・折り紙・きびがら・千代紙を除く。),人形 他)
 [株式会社増田屋ホールディングス]
・「セロテープ」(指定商品:セロハン粘着テープ,その他のセロハン製のテープ 他)
 [ニチバン株式会社]
・「着メロ」(指定役務:移動体電話による通信,電話による通信,電子計算機端末による通信)
 [株式会社ビジュアルアーツ]

商品やサービスの普通名称そのもの、或いは品質等を普通に表す言葉は、登録を受けることができない(商標法第3条第1項各号)。

この点、上記の登録例はいずれも、本来の表現を“縮めた言葉”(「着メロ」については、果たして保護している指定役務がフィットしているのか少々疑問ではあるけれど)であって普通名称そのものではない。
縮めて残った文字で、本来の意味合いを十分想起することができるけれども、その言葉が編み出された当時(厳密には審査における査定・審決時)においてはその表現の「必然性がない」。
で、造語ということで登録。

“普通名称みたい”になったのは、権利者によるその後の営業努力に寄与するところはもちろん大きいのだけど、
ネーミング自体が普通名称に近い登録商標、というのはやはり商売においても有利な側面がかなりある。
ネットが無かった時代ですらそうなのだから、検索して買う今の時代なら尚のことその傾向は顕著なのではないかな。

なので、自社商品のネーミングを考えるにあたって、自社商品をそのカテゴリの定番商品にしたいと思ったときは、
普通名称に近いけども登録可能なギリギリのライン、というのを狙っていくのが良いと思われる。
その具体的な手法として、略語、“縮めた言葉”というのは、商標の審査基準及び審査プラクティスに照らしても有力な選択肢なので、
弁理士としては推奨したい。
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【趣味】平成の怪物、引退。

2021年07月07日 09時34分06秒 | 趣味・その他諸々の雑記
おはようございます!
ぽつぽつ雨降る@湘南地方です。

さて、未明に飛び込んできたこのニュース
まあ、覚悟はしていましたが。。。

メジャーから帰って来てからは全くと言ってよい程活躍の場面は無かった。
むしろ鮮烈な印象として残っているのは、1998年夏の甲子園決勝、京都成章戦でのノーヒットノーラン。
プロ入り1年目から三年連続最多勝。メジャーに行ってからも活躍。

速球派投手がキャリアを積むにつれてシフトチェンジをしていくことは宿命。
松坂も例外ではなかったが、そのあたりがどう見てもうまくいってなかったなぁ。

いつも言っているのが、
歴代のプロ野球選手でベストナインを組むとしたら、
私の中ではピッチャーはマー君でもダルビッシュでも大谷でも伊藤智仁でもなく、松坂大輔。
どんなピンチの場面でも飄々と何とかしてくれる、という期待感は図抜けていた。
試合の勝ち負けもそうだけど、その雄姿が勇気を与えてくれる数少ない選手。

「松坂世代」という言葉があるほど、世代を代表する選手として認識されていた。
そんな同期も、松坂自身が引退ということで、残りはSBの和田くらいか…?

それにしても、
高校野球が年下ばっかりになったときに「自分も大人になったな」と思ったけれど、
もはやNPBには自分と同世代の選手がいないこの状況、「すっかりオッサンになったなあ」という寂しい気持ちがぬぐえない。
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【知財記事コメント(商標)】ヤフー、「Yahoo!」の国内商標権取得

2021年07月06日 08時40分58秒 | 実務関係(特・実・意)
おはようございます!
曇り空の@湘南地方です。
日中移動なのでお天気持てばよいな。

地味に「痩せよう」プロジェクト継続中…ですが、
努力したりガマンしたりしてもすぐに効果が出ない取組みというのはしんどいものですねぇ。。。
まあ、体質が変わり始めるまで最低でも2週間。ぼちぼち今週末くらいからは少し顕れてくるのかな?
持続可能な範囲で、くじけずに頑張ります。

さて、今日はこんな記事

(cnet Japan より引用)
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ヤフー、「Yahoo!」の国内商標権を1785億円で取得へ--Oathとのライセンス契約を終了

Zホールディングス傘下のヤフーは7月5日、「ヤフージャパン ライセンス契約」にかかわる基本契約を締結したと発表した。

「Yahoo!」ブランドに関しては、米通信大手のVerizonが2017年に米Yahoo!を買収して以来、Verizon Media子会社のOath Holdingsが所有しており、ヤフーはYahoo!ブランドを使用するために、これまでOathにロイヤルティを支払っていた。今回、2021年後半に予定されているApolloへのVerizon Media売却完了などを前提条件に、Oathとヤフーが新たな契約を締結。ライセンス契約を終了することで合意したという。

新たな契約では、Yahoo!およびYahoo! JAPANに関連する日本での商標権を取得できるようになるほか、従来の技術ライセンスの対象一式を永久に利用する権利と関連するサポートの取得、ZHDグループ内での日本におけるブランド使用および技術の利用が加わる。同社によると、商標取得などを含めた契約の対価として1785億円を予定している。
=========================
(引用終わり)

正直この規模になると、適正対価がどの程度のものなのかってよくわからん…
この1,785億円ってのが割高なのか割安なのか。

ちなみにオースの商標権としてはこちらとかこちらとかこちらとか。
「YAHOO!」で57件取得している。

商標の譲渡対価の算定方法も色々あるけど、
本件も含め多くの場合は、正直「商標の」というより「ブランドの」対価、で、商標はその実効性を担保する手段。
(単純に「商標の」価値のみに着目するということになると、理論上ほぼコストアプローチで得られる価額と等価になるものと思われる。)

ブランド価値の評価モデルについては、ベースとなる経産省モデルであるとか、これをベースにした各ブランドコンサル会社の独自モデルとか多数存在する状況。
で、結局取引に臨む両当事者が納得するレンジであればそれで決まるわけで。水物の側面もあるし他取引との兼ね合いもあるわな、と。

ここら辺の話は、改めてもう一度ちゃんと研究したいと思ってるんだよなー。。。
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【著作権】ひこにゃん、ポーズ追加。

2021年07月05日 08時25分54秒 | 実務関係(著作権・価値評価・周辺業務)
おはようございます!
長雨に一区切り?今朝は傘を差さずに自転車で通勤してきました@湘南地方です。

さて、今日はこんな記事。

(朝日新聞DIGITALより引用)
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ひこにゃん、10変化! イラスト、4から10ポーズへ

滋賀県彦根市は、市のキャラクター「ひこにゃん」の公式イラストのポーズを新たに6種類追加し、計10種類にする。原作者と合意し、8月から来年1月まで毎月1ポーズずつ追加するという。市は、コロナ禍で売り上げが減った土産品などに活用してほしいとしている。
(以下略)
=========================
(引用終わり)

2013年に1ポーズ追加して4ポーズになって以来の追加。
騒動からはもう10年以上経過しているのね。
2012年の和解時に、市の新たな製作物には原案者の同意が必要であることを確認しているとのことで、
今回はその流れを受けたやり取りの模様。

まあ、彦根市長もその後変わっているし(現職の市長は今年5月に就任したばかり)、わだかまりとか無くなっているのなら良いな。

それにしても、記事中でも触れられているけど、
ひこにゃんの許諾料は「売り上げ」の「3%」だそうな…。
これを高いとみるか安いとみるか。。。まあ、グッズの種類と売価次第の側面はあるけど、
キャラクタービジネスって強いな~、とは思ってしまう。

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【知財記事(商標)】「コロナ便乗商法」…?

2021年07月02日 08時38分22秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
連日の雨、な@湘南地方です。
ま、梅雨ですもんね。今日明日結構降るらしく、休校になった小学校もあるとか。
皆さまお気を付けください。

さて、今日はこんな記事

(zakzak by 夕刊フジより引用)
=========================
「コロナ便乗商法」か コロナキラーにコロナバスター…不謹慎商標出願相次ぐ

コロナキラーにコロナバスター、人気漫画のタイトルをまねたとみられる「コロナの刃」まで。新型コロナ感染拡大に伴い「コロナ」を含む商標の登録出願が相次いでいる。殺菌装置や薬剤などの商標に加えて、生理用品や肥料といった感染症とは関連性がない申請も。コロナ禍打開への期待に便乗した商法との指摘もあり、特許庁は今後対策を講じる可能性もあるとしている。
(以下略)
=========================
(引用終わり)

なるほど、JP-NETを用いて検索したところ、
「コロナ」の文字列が含まれる出願はこれまでに464件。
そのうち2020年1月1日以降の出願は131件だから、確かにここ2年足らずで“コロナ関連”の出願は多数なされている。
「コロナキラー」に「コロナファイター」、「コロナ生活」などなど…。

記事においては「乱用が疑われる事例も少なくない」とあるが、
「乱用」とは一体…?「不謹慎」とは一体…???

誰がどのような商品を出し、どのような広告宣伝を行って販売するかは、
法規に則って行う限りにおいて自由。
そりゃ“違法じゃないなら何でもよい”ってことではなく、商道徳や消費者感情も考慮した行動を選択すべきだとは思うし、
ネーミングセンスの良し悪しは別途議論の余地はあるとは思う。

しかし、
「コロナ」を冠した商品名が「不謹慎」でこれを「乱用」する、というのはどのようなバイアスがかかった考え方なのか。
記事内では標章「AINU」についての出願例(7号(公序良俗違反)で拒絶)と同様であるかのような記載をしているが、
特定の他者、或いは特定地域の共有財産に便乗する形での出願と、未曽有の社会問題に対する解決可能性を提示する商品についての出願とを
あたかも同じ穴の狢であるかのように述べており、不見識というほかはない。

「特許庁は今後対策を講じる可能性もあるとしている」というが、
「対策」とは?そもそも「特許庁」のどこの部署に取材したのかが不明確。
「コロナ」が含まれた出願は公序良俗違反だとでも?
こういう、中途半端でミスリーディングな記事は迷惑でしかない。

そのときそのときの流行りに絡んだ出願というのはあるもので、
同様の例だと
「オンライン○○」(通算1308件、うち2020年以降412件)
「おうち○○」(通算1120件、うち2020年以降308件)
「リモート○○」(通算483件、うち2020年以降176件)
…とまあ、「便乗」なるものはこの分野、極めてフツーにあるもの。

別にこういう意味での「便乗」は可罰的でも公序良俗違反でもない。
ただ、センスは大事。
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【ご挨拶】開業10年目

2021年07月01日 08時44分03秒 | イベント告知・挨拶・宣伝 ほか
おはようございます!
なかなか豪快に雨降る@湘南地方です。

さて、本日から開業10年目がスタートします。
紆余曲折浮き沈みありましたが、色んな方々の支えがあってここまでやってくることができました。
本当にありがとうございます。

この記念すべき日が土砂降り、というのも、実に自分らしい(笑)
これはきっと慈雨
倦まず弛まず進めよ、という神の思し召しと捉え、精進してまいります。

感慨にふけっている場合ではなく、今日は今日とて進んでいかなければなりませぬ。
これまでの9年間だって、「今日」という日の積み重ね。
少しでも悔いの無いように、という感情が強くなってきたのは、歳を取った証かなぁ。

もちろんまだまだ「通過点」。時代に適合しつつ、でも大事にしたいことは守って、
これからもお客様の事業発展に微力ながらでも貢献できるよう、
研鑽を積み、提案を行い、より良い未来を創っていくお手伝いをしていきたいと思っています。

引き続きどうぞご贔屓に、宜しくお願いいたします。
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【弁理士の日企画】知財業界での夢と希望

2021年07月01日 01時00分00秒 | イベント告知・挨拶・宣伝 ほか
おはようございます!
梅雨の晴れ間がのぞく今朝の@湘南地方です。
 ↑
 いや、予約投稿なので本当のところはわからないですorz
 
 (追記)いや土砂降りでしたorz

さてさて、毎年恒例で参加させていただいております、
ドクガクさんの企画、「弁理士の日記念ブログ」に今年も参加させていただきます。
振り返ってみたら、今年で5回目の参加かな?

今年のお題は、
「知財業界での夢と希望」

まあ、当方、独立10年目に突入するわけで。
独立当時のことを思い出してみれば…あの頃は夢と希望に満ち溢れていたなぁ・・・なんてことはなく。
そりゃ、あれこれ自由に思い描いて事業計画なんかも立てて、自分のスキルアップ計画も立てて、
まだ見ぬ世界への期待と不安で一杯だったのは確かだけど。
とりあえず日々生きていくために何をすべきなのか、しなければいけないのか、という
結構切羽詰まった感覚でお仕事をしていたように思います。

それが丸9年経過して、
やっぱり将来を自由に思い描いて事業計画なんかも立てて、50手前だけど自分のスキルアップ計画も立てて、
やっぱりまだ見ぬ世界への期待と不安は変わらず抱えている。

で、キャリアは曲がりなりにも積んで。
「日々生きていくため」という、まず自分ありきの考え方というよりは、
「どうやって関わる方々に貢献していくか」という考え方にシフトしてきた。
それは、加齢の為せる業。
そうやって着実に進歩してくることができた、というのは、とても幸せなことだと思う。

そりゃまあ確かに、
AIに仕事を代替されてしまうだとか、
将来の先細りを見越して新規人材が余り入ってこなくなってきているだとか
(R2年度の受験者とか、僕らが受けてた頃の1/3の人数だそうで)、
内製化が進んで特許事務所が要らなくなるだとか、
業務単価は低下の一途だとか、
業際問題のあれやこれやだとか・・・
ま、知財「業界」的にマイナスなニュースには事欠かないのも事実だけど。
それでも、我々知財人材の知見と能力が必要とされる場面は今なお数多くあるわけで。

少なくとも知財業界に身を置く人間の一人としては、
この業界が斜陽産業だとは全く思わない(もしそう思っている人がいるとしたらその人自身の怠慢でしかないと思う)。
古典的な代理業務「だけ」に固執するのではなく、事業にプラスになる助言を知財の側面から行うサポーターになることができれば
業界としても明るい。そしてそれを実現できる能力を同輩の多数が持っている。

なにより、我々の業界って、
新技術とか
新商品とか
イノベーションとか
基本的に産業の明るいところを取り扱うキレイな業界なわけですよ。
そんなところに携わっている人間が「ユメミルチカラ」を信じないなんてありえない。
若気の至り(でもないが)で小舟一艘で独立をした自分が、こうやって今なお緩やかな成長を遂げつつ生きながらえているのは、
きっと色んなクライアントさまから夢と希望と勇気と喜びと前向きな気持ちのおすそ分けを、お仕事を通じていただいてきたから。

本当に、色んなクライアントさまに育てていただいたし、勇気を分けていただいた。
老若男女、地域、国籍問わず。
いただいたなら、返していかないと!

知財業界は産業界の「応援団」ですもの。チアが笑顔を忘れたらチアじゃなくなる。
裏でどんなに苦しいことや不安なことがあったって(いやそんなにはないけど、まあ普通の経営者レベルでは不安も苦しみもある)、
我々はいつもクライアント様を応援し続ける。
そのことに存在意義がある。

そんなわけで、益々期待に胸を膨らませて、勇気の鈴をリンリン鳴らして、
大いなる夢と希望をもって、10年目の事業に邁進していきたいと思っています。
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