弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事(商標)】青汁の商品パッケージ

2019年05月27日 08時38分21秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
連日5月なのにおかしな暑さですね。今日も引き続き暑いぞと訴えかける@湘南地方の空です。

さてさて、今日はこんな記事

(佐賀新聞LIVEより引用)
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青汁で商標権侵害と提訴
同名商品、愛知の製薬会社

「大麦若葉」を主原料にした同名の青汁商品を巡り、製薬会社「山本漢方製薬」(愛知県小牧市)が類似した商品パッケージなどで商標権を侵害されたとして、健康食品販売会社「ユーワ」(東京)に販売差し止めを求める訴訟を名古屋地裁に起こしたことが24日、分かった。提訴は3月25日付。

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(引用終わり)

原告HPはこちら
被告HPはこちら
訴状見てないので確たることは言えないけど、原告側の登録商標はこちら↓

被告表示は、記事中の写真を見てください。


こういう記事を見て、みなさんはどう感じるのでしょう?
“似てるっちゃあ似てるよな”でしょうか?
“いやいや、違う点もたくさんあるじゃん”でしょうか?

パッケージには、たくさんの表示「要素」が載っています。
本件で言えば、
・「大麦若葉」の文字
・ワイングラスに注がれた青汁と思しき液体
・背景の深緑色(原告登録商標及び使用パッケージは下半分がグラデーション、被告パッケージは下半分が原料と思しき植物の写真)
・その他、「お徳用」「青汁100%粉末」「野菜不足の改善に!!」「日本産」「九州産」等々の品質表示

係属中の案件でもあるため、あまり詳細なコメントはしづらいところがありますが、一点だけ。
フェース部分に大きく書かれている「大麦若葉」の文字は、かつて第三者が2001年に商標登録出願を行いましたが(商願2001-29175)、
“独占適応性無し”の理由で拒絶されています。
(ちなみに原告自身もHPで「本品は大麦の新芽を、水に溶けやすい超微粉末にした“おいしい青汁”です。」と説明しており、原料表示と捉えられるのが自然です。)
したがって、その後特段の事情の変化(例えば、原告が継続的に使用をした結果「大麦若葉」と言えば原告の商品である、と取引者・需要者が認識するに至っていること)が無い限りは、この部分が一致するからといって商標類似→商標権侵害、とは言えないものと考えます。

確かに、パッケージ全体の構成など、近いところが無いわけではないです。
ですが、「混同のおそれ」を認められるかというとちょっと厳しいんじゃないかな、共通点もあるけど一般の需要者にも区別はつくよな、というのが初見の印象です。

※本エントリは飽くまで報道記事情報に基づく所感を述べたものでありいずれかの主体に与することを意図したものではありません。



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