弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

事務所開設12年目!
本ブログがKindle本に!「アマゾン 三色眼鏡」で検索!!

【恒例】流行語大賞で学ぶ商標2019(第1回)

2019年11月08日 08時44分20秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
今日も快晴!空気も乾燥! な@湘南地方です。
今日は「立冬」。暦の上では今日から冬!

出張でばたばたしておりやや出遅れましたが、今年もこんな季節になりました。

そう、「ユーキャン新語・流行語大賞」の季節。

当ブログでは毎年、ノミネートされた言葉を題材にしてちょっとした商標知識を身に付けていただくことができるような話題提供をしております。
ちなみに去年のエントリはこちら
独立開業後毎年やっているので、今年で8回目。

年末が視野に入ってきて少しずつ焦燥感も出てきたりしていますが、
それはさておき今年もスタートです。

(1)「パプリカ」 ~普通名称は登録にならない!?~
 子供が絶大な人気を博したこの曲。発表されたのは2018年7月。子供5人組のユニット「Foorin」が歌唱。
 今年夏には生みの親の米津玄師によるセルフカバーのMVも公開された。

 歌詞を改めて見直すと、子供に受ける要素がどこなのかがもう一つよくわからない。
 セルフカバーのMVは、初見で滂沱の涙だったことは内緒。
 大人になって、無邪気だった子供の頃のことを思い出させる曲、じゃないかなぁ。

 さてさて、そんな楽曲名としての「パプリカ」はひとまず措いておいて。
 「パプリカ」は野菜又は香辛料の名称。ナス科の多年草であるトウガラシ属トウガラシの栽培品種、とのこと。
 つまり、普通名称。

 で、ちょっと知財を聞きかじった人からはよくこういうことを質問される。
 “普通名称って登録できないんでしょ?”
 これは、少しあってるし結構間違っている

 どういうことか。
 ①『指定商品との関係で』普通名称にあたる語である場合は、
 ②それ単体では、
 登録を受けることができない、が正しい。

 例えば、以下のような登録例がある。
 ・第5048254号「パプリカ\PAPRIKA」:指定商品「第20類 家具」
  (権利者:コクヨ㈱)
 ・第5627285号「PAPRIKA」:指定商品「第18類 ハンドバッグ,袋物 他」
  (権利者:ファシーク カンパニー リミテッド)
 どちらも、審査経過において何ら拒絶を発せられることなく登録になっている。
 それもそのはずで、指定商品との関係で「パプリカ」は普通名称ではない。
 ※ちなみに各指定商品との関係でいわゆる“品質表示”でもないから、独占性の要件はクリアしており、登録に至っている。

 上記が、①『指定商品との関係で』普通名称 というはなし。

 もうひとつ、②それ単体で の点を示すのが、下記の登録例。
 ・第5014393号 「(キャラクタ図形。胸部分に「paprika」の文字」(詳細はこちらを見てね)
 この場合、指定商品は「第31類 パプリカ」そのもの。
 なので文字部分だけでは登録にはならないが、図形要素の独自性に基づいて登録が認められている。
 もちろん、文字部分である「paprika」について、他者を排斥する効力は無い。

 
というわけで、今日はここまで。明日に続く。 




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする