から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

ハーフ・オブ・イット 【感想!】

2020-05-07 07:56:45 | 映画


青春映画の新たな傑作を見つける。知的で清々しくて勇気を与えてくれる1本。
一見地味だけど、こういう素晴らしい作品に光を当てる、これぞネトフリ映画の真骨頂だ。この監督の映画をもっと見たい。

元々、人間の体は2つで1つだった。神は人間を不完全なものにするべく、半分に分けた。その片割れとなった半身は、元の片割れを探す、そして1つに戻った状態を「愛」と定義する ” らしい ” _
そんな出だしから始まる。

アメリカ映画でよくみる田舎の風景。17歳になる女子高生エリーは、自身の文才を活かして、クラスメイトの論文を代筆し、小銭を稼ぎ、貧しい家計を助ける日々。幼少期に、中国から渡った移民であり、母親を早くに亡くした父子家庭、一部の心無いクラスメイトからは馬鹿にされ孤独な高校生活を送る。そんな彼女に、単細胞系フットボール男子のポールから「ラブレターを書いてほしい」という新たな依頼が入る。諸事情により、止むなく引き受けたエリーだったが、その相手というのが、自分も密かに想いを寄せる同級生美女のアスターだったという話。



アスターとの文通を通して、ポールの恋を成就させようと言葉を操るエリー、少しお馬鹿だが一生懸命エリーのペースに食らいつくポール、次第にポール(エリー)の言葉に惹かれていくアスター。この3人の三角関係で起きる恋愛と友情の物語を、軽妙なユーモアを交えて描いていく。



今どき、手紙??という第一印象だが、肉筆の文字には言葉の力が宿ると感じた。そして現物として残るから、書く人の覚悟が伴う。読書家で絵を描くことも好きだったアスターに合わせ、過去の本や映画の引用を取り込み、エリーは言葉を紡いでいく。真意を掴めない言葉も多いものの、見る人の三者三様の解釈を引き出す余白として感じ取り、とても心地いいものとして機能するから不思議。それはこの映画に込められたテーマにも言えることで、実際、「この映画で言いたいことって何?」って問いを出されたら、見る人によって答えは割れるだろう。大きくは探すべき片割れは他者にあるのか、それとも自身の中にあるのか。

エリーをはじめとする3人のキャスティングが見事だ。3人のキャラクターにしっかり愛情が注がれていることもあって、観終わる頃には3人のことをもれなく好きになっている。エリー役のリア・ルイスの知性と強さが滲むハスキー低音ボイスが素敵(惚れてまうやろ)。彼女による冒頭のナレーションで早々に傑作の気配を感じとる。大人の立場として唯一、3人の間に絡んでいく、エリーの父親役のコリン・チョウも非常に良い味。

3人の間だけで起きる話を、2時間弱、ずっと夢中になって見ていられるのは、この3人が双方向に影響を与え変化を遂げていくプロセスが鮮やかに描かれているからだ。この変化は成長であり、彼らの未来、希望へと直結する姿がとても眩しく映る。恋愛もの、友情ものを超えて、人生賛歌へと飛翔するほどのインパクトを受けた。なお、女子が女子を好きになるLGBTモノというカテゴライズは完全に霞む。ナチュラルな恋愛ドラマとして感じられることも特筆すべき点だ。

ラスト、爽快かつエモーショナルで完全にヤラれた。
列車に追いつかないとわかってても、追いかける意味があるんだよね。
旅立ちの時、「面白いのはこれから」。

【85点】

あ、ソーセージタコスってどんな味だろ。
あと、ヤクルトにも注目ww





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1 コメント

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秀作! (onscreen)
2020-05-19 11:21:41
最近のNetflixリリースの中では
かなりのお気に入りでした!

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