から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

ミッドサマー 【感想】

2020-02-23 17:32:04 | 映画


確信するのは、アリ・アスターが比類なきホラーセンスを有していることと、自分はそれが大好物ということ。前作で現代ホラーの金字塔を打ち立てた監督の2作目である。観客の心臓に、ジワジワと恐怖を染み込ませる手法は変わらないが、「闇」を効果的に操った前作から一転、「闇」を排除した「白夜」で勝負する。ポスターにも採用されている、美しい衣装を身にまといながらも悲痛で顔が歪むヒロインの表情が象徴的。
主人公が抱える心の傷、かみ合わないカップルの感情、異文化交流で発生する価値観の溝。クスリによるトランス状態も手伝って、主人公らが体験する出来事は睡眠中の脳内で起きた悪夢とも受け取れる。冒頭から積み重なる「ズレ」が肥大化し、怒涛のクライマックスへとなだれ込むストーリーは流石。どこまでも美しく描きこんだ世界に見惚れていたら、突如、目を背けたくなるゴア描写を容赦なく観客の前に差し出す。前作でも感じた監督のサディズムか、それともホラー映画に対する明確な意思表示か。
今回は、実在の北欧のイベントを創作した設定である。「生まれ変わる」という、一見まともな死生観もあんな感じで作られては、現地の人はどう感じるのだろう。変態的な笑いドコロを随所に内包させたあたりは、「あくまで創作ですから」的な監督の気遣いのようにも思えた。あと、注目するのは主演のフローレンス・ピュー。お世辞にもスタイルは良いとは言えないが、その演技力は本物。「ファイティング・ファミリー」、見ておくべきだったと後悔。メンヘラ全開、恐怖と怒りと悲しみで狂い泣く姿が素晴らしい。
会社の振替休で初日の昼の回に見ることができたが、地元のシネコンでも満席であった。まさかと思い、他の映画を見に行った別日に、上映前の本作のスクリーンを覗いたら、前席までパンパンだった。何が要因なのか不思議だった。
【70点】
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