ついにDCEUの時代の到来か。少なくとも本作はDCEU映画のベスト。
北米の評価、低すぎないか!?
ジャスティスリーグの一員「フラッシュ」の初単独作品。タイミングをハズしたオープニングタイトルから、早々に傑作の気配。序盤から主人公が体感する”光速”の世界を表現した映像に引き込まれる。映画館の大スクリーンでこそ実現できる没入感。”速い”というキャラクターのオリジナリティを突き詰めたアクションの創造性は脱帽するほど。ユーモアとスリルが緩急をつけて波状攻撃で押し寄せる。何度も「すげぇ・・」をこぼしてしまった。本作でも新しいアクション表現の伸びしろを感じさせる。
MCUにおけるスパイダーマンに近い位置づけか。主人公のバットマンがいて、その後始末、あるいは雑用係を担当。若くて未熟。だけどもピュアで正義感が強い。高速移動はエネルギー消費が著しく、燃料を補給しないとダメな体質(笑)。本作では掟破りのマルチバースの2人の「フラッシュ」が共闘する展開。掛け合いがとにかく楽しく、2人の間に友情が築かれていく過程もありそうでなかった。タイムスリップの仕掛けはやや粗い設計だが、圧倒的な情報量をここまで描き切ってくれたら、ぐうの音も出ない。
バトルアクションが熱い。例のごとく、コテコテのCGで描かれるが、2人のフラッシュ、バットマン、スーパーガールのコンビネーションが見事。スーパーガール演じるサッシャ・カジェ、カッコ良くて本作で見納めは勿体なし。DCEUの新リーダーとなる、ジェームズ・ガンがまだ参画していない作品であるが、キレッキレッの音楽の使い方といい、ガンの作風に共通するところも多い。監督は「IT/イット」のアンディ・ムスキエティ。アクションのボルテージの上げ方が巧く、血肉がたぎる興奮を覚える。
本作を一言で表すと「トマト缶」を巡る物語だ。コトの顛末は凄くミニマムで、俯瞰するとここまで大風呂敷を広げる話ではない。主人公バリーの亡き母への想いと、「運命は変えられるか?」の問いに対する本作なりの答えが突き刺さる。ベストな選択はなくて、ベターな選択に折り合いをつけて生き続けるのが人生かも。主人公演じる、エズラ・ミラーの熱演が素晴らしく、何度も感涙してしまったよ。
最後のオチの切れ味も鋭く、大いなる充実感が残る。
エンドゲーム以降、失速気味のMCUに変わり、DCEUの逆襲が始まるか。
とりあえず本作の続編がまた観たい。お見事でした。
【90点】
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