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ゲーム・オブ・スローンズ 第五章 【感想】

2015-11-13 08:00:00 | 海外ドラマ


ゲーム・オブ・スローンズの第5章「竜との舞踏」をイッキ見にて観終わった。

テレビ画面を通じたドラマを見て、鳥肌が立つ感覚は「ブレインキング・バッド」以来のこと。

凄すぎる。。。。映像のスケール、物語のスケールが規格外であることはもはや言うまでもないが、本シーズンは各1話が2時間の映画ばりに濃密である。今年のエミー賞において、8年間愛されてきた「マッドメン」の最終シーズンを押しのけ、本シーズンが作品賞をかっさらった意味がよくわかった。このドラマをリアルタイムで観られる悦びに浸るとともに、「このドラマを見ないと人生損する!」と周りの知人に言いふらすことにした。これを見てしまうと現在追っかけ中の「ウォーキング・デッドS6」がオママゴトに見えて仕方ない。

本シーズンもこれまでと同様、複数の物語が同時進行する。ラニスター家から離れたティリオンの旅路とその終着点。奴隷を解放し、ミーリーンを手におさめたデナーリスの統治。新王が誕生したバラシオン家で、マージェリーから権力を奪おうとするサーセイの企み。サーセイ(姉)の命を受けて姪っ子を救出しようとするジェイミー。ナイツ・ウォッチとして野人の襲来に勝利したジョン・スノウの新たな挑戦。ナイツ・ウォッチに加勢したのち、ウィンターフェルに攻め込もうとするスタニス。ラニスター家から逃れ、ウィンターフェルに戻ってきたサンサ。ウィンターフェルをのっとった新たなサイコパス、ラムジーと、その奴隷となったシオン。かつて出会った謎の男ジャクェンに再会するために旅立ったアリアの行方。

この中でもさらに物語が分かれている。しかし、シーズン5ともなれば、人物相関はソラでも言えるようになるので全く問題はなく、物語の構成も非常にわかりやすく整理されているので、それぞれのストーリーに夢中になれる。そして本シーズンについては、これまで交わることのなかったストーリー、キャラクターがいよいよ交錯する。「待ってました!」と胸が躍る。そして、物語が大きく動き出す期待感に包まれる。惰性のエピソードは皆無で、どれも目が離せない。

これまで、惨い仕打ちによって離散させられたスターク家の復讐と復興をゴールとして勝手に見ていたが、本章で完全にその価値観を打ち崩された。この物語は、誰が主人公ではなく、9つの諸名家による覇権争い自体が主人公なのだと。個人的には、それでも正義が勝ってほしいので、スターク家の面々の活躍に期待したいところだったが、このドラマはそうはさせてくれない。戦いは無慈悲なのだと知らしめる。勧善懲悪を超えたところが本作の味わいなのだが、正義を描いてほしいという願望もまだ捨てきれない。

前の第4章で大きな変化となった、ティリオンの父殺しによるラニスター家からの別離。ティリオンの行方が気になり、彼にとって最大の苦難が待ち受けていると思いきや、神からの天罰は違うターゲットだった。本章の大きなカギとなるテーマが「宗教」である。どんな権力も神をしのぐことはできず、信仰はときに人間の脅威になりえる。現在、世界で蔓延するイスラム原理主義による多くのテロにも通じる思想のメタファーとしても捉えることができる。信仰の力を利用してマージェリーを陥れようとしたサーセイが逆に、信仰の力によって予想だにしない危機を迎える。危機というよりも大事故といったほうがよい。ラストの「シェイム、シェイム・・・」の苦行を誰が予想できただろうか。サーセイ演じるレナ・ヘディが文字とおりの体当たり演技を披露する。ドラマの概念をここでも軽く超える。

そして、本シリーズの醍醐味である、大スペクタルなアクションはさらなる高みへ達する。もうドラマのスケールではない。凄過ぎて言葉を失ってしまう。ナイトウォッチと野人たちが、ついにホワイトウォーカーの軍勢と対峙するのだ。おびただしい数のホワイトウォーカーの襲来と、そこから逃れようとするナイトウォッチと野人たちの戦いが圧巻だ。また、デナーリスの決死の危機において、彼女が「ドラゴンの母」たる所以を証明してみせるシーンが素晴らしく鳥肌が立った。いずれも、映像のボリュームをさることながら、ファンタジーとリアルの共存バランスが秀逸であり、荘厳な空気を満たし続ける。

個人的に残念だったのは、前シーズンで妖精の森のなかに入っていったブラン君がまったく登場しなかったことと、アリアとジョン・スノウに与えた「試練」があまりにも過酷過ぎること。ここは完全に好き嫌いの問題であるが、ちょっとSっ気に走り過ぎていて、カタルシスといえるエピソードが少ない点だろうか。

次の第6章は、また1年後の来年まで持ち越しである。原作ファンの知人曰く、原作は一旦ペンディングで、ドラマありきで原作者と脚本家が新たな物語を作っていくらしい。

まだまだ語りつくせぬほどのドラマである。
もう一回見直してみたいと思う。

【95点】

ゲーム・オブ・スローンズ 第六章 【感想】
ゲーム・オブ・スローンズ 第七章 【感想】



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