古来より日本では、左と右では「左」の方が格上とされてきました。
その理由は諸説ありますが、その一つは、人間にとって最も大事な心臓が左側にあることから、左が格上になったと言う説。
また、太陽を正面に見たとき、太陽が昇る方向が左(東)であり、ここから、ヒ(日)、
ダ(出)、リ(方)と言う言葉が生まれたという説もあるようです。
こうした考えに基づき、礼儀作法では「左上、右下」と言うように、左が上座、右が下座になったようです。
律令制の太政官の長官も、「左大臣」が「右大臣」より上位とされています。
室町時代に大成した能楽でも同じです。
舞台の正面奥に「鏡板」と言う板が置かれ、松の絵が描かれています。
この絵は神事の祭に、神を降臨させる「神籬(ひもろぎ)」と呼ばれる「榊」を意味しています。
そして、そこに神がいることを示しており、神から見て左側を上座としている訳です。
芝居や舞台でも同様に左側(客席から見て右側)を上座としています。
席を勧める場合でも、お客様の左手の方が正席、右の方が次席となりますから、
間違わないように勧めましょう。
なお、「右に出る者はない」と言って、「右を上位」としている言葉がありますが、
その出典は「史記」で、中国漢の時代に「右を左より上位」としたことによります。
日本では「その人より優れた者はいない」の意味で使われている言葉であり、礼儀作法では、前述の通り「左が上位」とされているようです。
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