異文化理解


 マンゴーさんは当然ながら日本の聴衆をよく御存知、というかご自分もいわばそのひとりなわけで、聴衆とのコミュニケーションは完璧です。マンゴーさんがばーんと打てば、聴衆にびーんと響きます。

 トーゴ出身のピーター・ソロさんについては、事情が異なります。

 彼は初日はヴードゥーの儀式を披露してくれましたが、演奏では2日目のトリでした。なかなか多彩な音を出す人です。おそらくこれからワールドミュージック界で伸びてくるでしょう。

 日本の聴衆は潜在的に彼に「アフリカ」「アフリカのり」を期待しる感じなんですが(そしてこれは当然ではあるんですが)、ピーターさんはその期待に完全には答えないです。楽器をとっかえひっかえ、レゲエの音も出せばサルサの音も出すし、いろんなスタイルを混在させます。

 ひとことで言ってピーターさん――チウォニーソさんもですが――は「いろんなことをやろうとして」いて、それらいろんなことを「統合しようとしている」のだと思います。

 わたしとしては、若い人たちに、異文化理解っていうのは、ある他文化にたいしてこちらが持っているイメージに合致した物を見つけて楽しもう(あるいは、難しい顔をしよう・・・)、ということではないことに気付いてほしい、と思うんです。

 最初は博物館に珍しいものを見に来るような感じでもいいと思います。ただいつか、はっと気がついたら陸上トラックにいて自分と抜きつ抜かれつして走っているライバル・ランナーを見出す――異文化理解とはそんな感じだと思うのですよ。

 先生口調で申し訳ありません。

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カメル・エル=ハラシ


このエントリーに続きます)

 カメル・エル=ハラシの新アルバム、邦題を『偉大な詩人に祝福あれ~ダフマンに捧ぐ~』として、店頭に並んでます。

 ライナーノーツを書かれた菊地達也さんとは、スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドの会場でお会いしました。1日目、2日目とお会いしたので当然3日目もお会いできるものと思っていたら空振りでした。お別れのごあいさつもせずに、どうもすみません。
 なんかわたしは常に急ぎすぎです・・・

 菊地さんはカメルの経歴も書いておられますし、実際にカメルに会ってパーフォマンスも聞いておられますから、非常に詳しいライナーですよ。

 カメル本人からのメッセージも載ってますし。
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サカキ・マンゴー、GO !


 スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド2日目の、サカキ・マンゴーさんのステージ、すごく楽しめました(前日にお会いしていたので、ステージ写真ブログに載せていいかお聞きしておけばよかったです)。

 二つ前のエントリーで出ていたピックアップ付きの親指ピアノの、音が割れる寸前くらいにアンプリファイされた音(そういえば最新アルバムのジャケットも、親指ピアノにプラグがつけてあるデザインですね。↑ 親指ピアノ本体と同じくらいプラグも本質的重要性を持つことを暗示してます)、そしてずしーんと会場全体を震わせ聴衆の体に振動を届かせるエレキベースの音は、ライブにしか存在しないものです。

 そして親指ピアノという特異な楽器を弾くマンゴーさんの姿が、聴衆と一体の「場」を作るんです。

 サカキ・マンゴー凡手ならず。

 こういうの、音楽のなかでもトランスミュージックにみえる強い傾向と言えるかも。
 シンポジウムのとき、サカキさんはチウォニーソさんに、あなたのやってるのもトランスミュージックだよね、と聞いて、チウォニーソさんが一瞬間をおいてyesと答える場面がありました。
 直接ピックアップがついているサカキさんの親指ピアノと違って、チウォニーソさんのは、タンバリンみたいな丸い箱の中に親指ピアノを固定して、共鳴させた音をピックアップする構造にしてました。


 
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