イスラーム勉強会ブログ

主に勉強会で扱った内容をアップしています。

預言者伝12

2010年10月19日 | 預言者伝関連

بسم الله الرحمن الرحيم
38.クルアーンが健全な心に留まるとき:
  アッ=トゥファイル・イブン・アムル・アッ=ドゥースィーという、高貴な血筋を持つ、頭の良い詩人がマッカを訪れときのことです。クライシュは、彼が預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)に会ってしまう前に、すぐさま、「ムハンマドに近づいたり、彼の言うことを耳に入れると、ろくでもないことが起きるぞ」と脅かし、「本当に我々は、そなたとそなたのお仲間方のことが心配なのです。あの男(ムハンマド(平安と祝福あれ))が現われてからというものの、私たちは困り果てているのですから。どうか彼に話しかけず、彼が言うことを一切お聞きにならぬように。」と言いました。


  アッ=トゥファイルは、考えます。:「うむ、アッラーに誓って、私があの男から何も聞かず、話しかけないと宣言するまで、クライシュの人たちは、私から離れようとしなかったな。宣言後、私は綿を耳にも詰めた。その状態でマスジドに行ってみると、アッラーの使徒(平安と祝福あれ)が立ってカアバのところで祈っておられたので、彼に近づいてみた。アッラーはどうしても私に彼の言葉を聴かせたかったのだろう。そして私はよい言葉を耳にした。心の中でこう言った 。:私は賢い詩人ではなかったのか。私に善悪の区別が出来ないわけがないのだから、あの男の話を聞かないよう気を付ける理由などないではないか。もし彼からもたらされたものが善であれば受け付け、悪であれば放置しよう。」


  こうして、アッ=トゥファイルは自宅にいた預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)を訪れ、話を交わし、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は彼にイスラームを紹介しました。クルアーンを読み聞かせたところ、アッ=トゥファイルはすぐに改宗しました。改宗後ムスリムとして自分の民に戻ったアッ=トゥファイルは、イスラームに人々を呼び掛ける人となったのです。彼は家族が改宗するまで、彼らと住むことを拒んだので、家族全員がイスラームに入りました。そして彼はダウス族もイスラームに導きました。


  一方、アブー・バクルは自分の家で祈っていました。彼は礼拝を公けにはしていませんでしたが、やがて家の庭に礼拝室を建てて、そこで祈り、クルアーンを読むようになりました。そんな彼のところへ、多神教の女達と子ども達が不思議がって多くやって来るようになります。なぜならアブー・バクルは涙もろく、クルアーンを読むと必ず泣いていたからです。この様子を恐れたクライシュの多神教徒たちは、アブー・バクルを保護していたイブン・アッ=ダガナに遣いの者を送ります。現われたイブン・アッ=ダグナにクライシュの男たちは言います:そなたがアブー・バクルを保護しているということで、我々も彼に手を出さずにおいた。つまり、自分の家で自分の主を崇めるにとどまっている限りは、だ。しかし彼は度を越してしまったようだ。礼拝室を庭に作り、礼拝と読誦を公然と行うようになった。そんな彼が我々の子どもや妻たちに害を加えることをとても恐れている。そこでそなたからアブー・バクルに、次のことをぜひ伝えてほしい。家の中で崇拝行為に耽るのならそうしてもらうよう。もし、それを拒否し公表したいのであれば、彼から被保護権をはく奪していただきたい。私たちは決してあなたの信頼を裏切りたくはないのだが、アブー・バクルのやっていることに賛成などできない。
  イブン・アッ=ダガナが、クライシュの言葉を使えると、アブー・バクルは次のように言いました :ではあなたに被保護権をお返ししましょう。私はアッラーの保護で十分でございます。


(参考文献:①「預言者伝」、アブー・アルハサン・アリー・アルハサニー・アンナダウィー著、ダール・イブン・カスィール出版、P140~141)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする