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100章解説

2010年08月05日 | ジュズ・アンマ解説

بسم الله الرحمن الرحيم
100章解説

1. 吐く息荒く進撃する馬において(誓う)。
2. 蹄に火花を散らし、
3. 暁に急襲して、
4. 砂塵(さじん)を巻き上げ
5. (敵の)軍勢の真っ只中に突入する時。
6. 本当に人間は、自分の主に対し恩知らずである。
7. それに就き、かれ(人間もしくはアッラー)は誠に証人であり、
8. また富を愛することに熱中する。
9. 彼は墓の中のものが発き出される時のことを知らないのか。
10. また胸の中にあるものが、暴露されるのを。
11. 本当に主は、その日、彼らに就いて凡て知っておられる。

 馬は、預言者(平安と祝福あれ)が生きておられた時代やそれ以降の時代における戦争用の乗り物でした。勝利のためには馬術が重要であることを数々の戦いが証明している通り、過去の偉大な征服に馬術が関係していました。こういった背景から、昔から人々は勝利に強く影響する馬術に熱い関心を寄せていたのです。

 至高なるアッラーはこの章の中で、馬の存在を高める目的で馬における誓いの言葉を述べ給いました。信者たちに馬を飼う気を起させ、大切に面倒を見させ、馬術の訓練に向けさせるためです。そうすることでアッラーの道における戦いのために準備できるのです。アッラーは仰せになります:

「吐く息荒く進撃する馬において(誓う)。蹄に火花を散らし、暁に急襲して、砂塵を巻き上げ、(敵の)軍勢の真っ只中に突入する時。」

 「進撃する馬において(誓う)」アッラーはかれの道において戦う馬において誓い給いました。その馬の徳を高めて。「吐く息荒く」馬が突進するときに発せられる音です。「蹄に火花を散らし」あまりにも馬が強く地面を蹴り飛ばすので花火が散ります。「暁に急襲して」早朝ゆえに、応戦の準備の整っていない敵を襲う馬を指しています。「砂塵を巻き上げ」急進することにより発生している砂埃です。「(敵の)軍勢の真っ只中に突入する時」突如として敵陣の中心に現われることで、敵に恐怖心を植え付けつつ不敗に持ち込みます。

 誓いの応答は次のアッラーの御言葉です:「本当に人間は、自分の主に対し恩知らずである」じつに人間は主に与えられた数々の恩恵に対して忘恩であることを指します。そのことはさまざまな場で人間の言動の中に現われますが、やがてそれらはすべて、自分に対する証人に姿を化すことになります:「それに就き、かれ(人間)は誠に証人であり」またはアッラーが人間の忘恩の証人になり給うとも理解できます。「また富を愛することに熱中する」الخير ハイルは善などの意味を持ちますが、ここでは財産です。الشديد シャディードは激しく、という意味がありますが、ここでは非常に吝嗇であることを指します。人間は財産に対して不法な愛情を抱きかつ、善と慈悲を忘れさせるほど吝嗇でもあるのです。

 章の始まりに登場している馬の特徴は、始まりと終わりがバランスを取った形になるよう、章の終りの二表現に反映されています。その二表現は:

 財産を愛し、アッラーの恩恵を忘れる人。こういった人には、手に負えない心、粗暴で意地悪な性格、虚栄などが目立ちます。実はこれはすべて、突進する馬の特徴でもあります。

 馬が敵の間に突然現われて敗北を味わわせる様子は、審判の日に金を溺愛した忘恩者が突然蘇らされる様子と重なります。アッラーは仰せになります:「彼は墓の中のものが発き出される時のことを知らないのか」脅迫の言葉です。醜行をし尽して、己の行く末を知らないとは。墓場に眠る人が清算を受けるために追い出され、「また胸の中にあるものが、暴露される」誰も知り得ない人間が隠せると思っている善や悪が心に集められ、そして行為の書にそれらすべてが書き出される、という意味です。「本当に主は、その日、彼らに就いて凡て知っておられる」本当にアッラーは人間たちが現世で行っていた全てのことも胸に隠したものも御存知であられ、一人一人の行為に対して報い給います。

(参考文献:ルーフ・アル=クルアーン タフスィール ジュズ アンマ/アフィーフ・アブドゥ=ル=ファッターフ・タッバーラ薯/ダール・アル=イルム リルマラーイーン(P155~158)


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