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悪質なハワーティルの見分け方についてのメモ。

2010年09月02日 | あちこちからタズキヤ(自我浄化)
悪質なハワーティルの見分け方

70000にも及ぶハワーティル(頭に浮かんだ考え、心に浮かぶもの)の到来/一日

これらを見極めるために必要な3事項:

1)聖法:善悪は聖法で見極められる。どのようなハワーティルもまず聖法に照らし合わせてみる。
話題が逸れるが、「スンナ」を如何に扱うかについて。人によってスンナを低く見ることがある。「君、ファジュル前のスンナの礼拝は?」と聞かれて、「スンナだし、しないよ」と答える人。きっと悪気を持って言ったのではないだろうけど、この言い方は聞く人に自分がスンナを軽視しているような印象を与えてしまうだろう。このような言動は宗教を大きく害することになる。来世を求める信徒にとってスンナはとても大切なものである。
人はマクルーフを犯すまで、ハラームは犯さない。マクルーフを避けることは義務ではないが、マクルーフはハラームを覆っている幕のようなものなので、普段から避けているべき。

2)人によっては聖法をあまり知らないために聖法で見極めることが出来ないために違う見極める方法を必要とする。それは善良な先代の行動に照らし合わせること。さてこれ(ハーティル)は先代にとって良き事柄かどうか、と考えること。ある人にとっては1)の方が2)よりも容易かもしれないが。

3)直接、自分自身に提示してみる。もし、自然と惹かれるものであれば、たいていそれは悪質である。代わって実行したくなく、重い雰囲気を感じるなら、それは良質である。どちらも学者が禁じたり勧めたりしたというのではなく、自分が直接感じること。その根拠とは。クルアーン「またわたし自身,無欠とはいえませんが,主が慈悲をかけた以外の(人間の)魂は悪に傾きやすいのです。」(ユースフ章53節)安泰している魂の領域に達していない未熟な魂はたいてい、悪に傾くということである。つまりここの場合、自分の魂が応じない方向へ向けば、善に傾けるといえる。

では上記の1~3でハーティルが悪質と判明した場合。どのようにしてこのハーティルの害から身を守れば良いか。
悪質のハーティルは、悪魔か、自我(ハワー)か、アッラーからの(段階的な)罰である。「われはかれらが気付かない方面から,一歩一々(堕落に)導く」(筆章44節)もし人間がアッラーに対して、アッラーの事柄を軽視した行動をとった場合である。

「ハワーティルの出元が何であるかなんて知る必要などないじゃないか。悪質だと分かったらそれを放棄するだけでいいのでは」という人がいるかもしれない。
しかし私たちはアッラーを目指す修業者。私たちの道を阻むものはあらゆるところに落とし穴を作る。

悪質なハーティルはそれぞれ、その出元に合った治療法がある。
ではこの3種類のハワーティルの見極め方とは何だろうか。
昔の学者は言った。そのハーティルは、ズィクルで払しょくできるか?「アウーズビッラーヒミナッシャイターニッラジーム」「ラーイラーハイッラッラー…」などの言葉で去るならば、そのハーティルは悪魔から来ているという。悪魔はアッラーの御名が唱えられると逃げるからである。アッラーを唱える者の心を悪魔は唆せないのである。これが一つ目の見極め方。

では、ズィクルでもクルアーン読誦でも去らないハーティルだった場合は。ここで二つ目の見極め方である。「そのハーティルはある特定の罪の実行を命じているのか。それともそれ同等かそれ以上に大きい罪の実行を求めているのか」を知ること。「親族関係を断て」とハーティルが言う場合、これを1)に照らし合わせると、悪質なものと分かる。「親戚の誰誰は私の子供が生まれたときに祝ってくれなかったから、私はその人の結婚披露宴には行かない」というのははっきりとしたハーティルである。善か悪か?と考えれば、「親類の関係を断つのは大罪である」から、悪質である。ではここで悪魔からの加護をアッラーに求めてみよう。もしこのハーティルが去らなければ、それは悪魔とは関係ない。では心にこのハーティルよりも悪質なことを提示してみよう。「親戚のかの行事に参加し、途中で街に抜け出して悪さをやってみよう」そのとき、あなたの心は何を言うか。もし、「いいね!行ってやれ!」と返ってきたら、それは悪魔からである。もし「いや、その会合自体に私は顔を出さない」と返ってきたら、それは自我から来ている。なぜだろうか?悪魔は「敵」であって、彼の任務は「あなたを滅びさせること」。あなたがどのように(勘当されることでとか醜行とか飲酒とかで)滅びるかはあまり気にしないのである。とりあえずあなたが滅んでくれたらそれでいいので、ある特定の行為に応じなくても別にいいのである。しかし自我は頑固であり、ある特定の行為を求め続ける。だからこそ、他の悪行を受け付けれず、一つの行為をかたくなに求めていることが分かったら、それは自我から来ているということなのである。

では3つ目の見極め方。あるハーティルが現われ、それが悪質だと分かった場合。それはふと現われたか、悪行から悔悟しない間に現われたか?私たちは誰でも罪を犯してしまうもの。しかし問題は、その罪から悔悟しないことだ。ある伝承に拠ると、アッラーは天使に仰せになる:「わがしもべが悔悟するかもしれないからまだその罪を書き留めるでない」と。ここで言えることは、しもべが罪を犯してしまって後悔して赦しを求める代わりに、笑い、軽視することが大きな問題であることが分かる。「昨日はこんなことしちゃったよ~」と友人たちに漏らしたり。隠していればアッラーが覆って下るかもしれないのに。こういった者は新たな悪を欲することを罰とし受ける。なぜなら悪気がなく、状況を軽視しているからである。アル=ガッザーリーは言い残している:「もし悪質のハーティルが頑なに罪を要求しており、自分がまだ罪から悔悟を果たせていない場合は、それはアッラーがあなたを少しずつ堕落に導いていることを知りなさい。すぐに悔悟し、罪の赦しを請いなさい」

以上で3つの見極め方が分かった。

では治療法は。そのハーティルが悪魔からと分かったなら、「ズィクル」で治療を。最も簡単な方法である。「本当に悪魔の策謀は弱いものである。」(女性章76節)心に現れるハーティルの中で最も弱いのは悪魔から来るハーティルなのである。全ての悪の根源は悪魔だと私たちは言うし、クルアーンの中で悪魔は人類すべてを欺くとまで言っているが、アッラーは彼が弱いことを教えてくださっている。悪魔の策略は弱いと。

自我は、問題である。最も治療が難しいハーティルは自我から来るものである。そして最も危険なハーティルは、イスティドラージュ(知らぬ間に少しずつ起きる罰)から来るものである。

学者曰く、自我から来ているハーティルの治療は、乗る用の家畜を扱うようなもの。ときにそれは頑固である。ロバが道の真ん中に立ち止まり、どんなに叩いても、押しても引いても動かないことがある。悪に傾く自我もロバに似ている。ただロバは責任能力を持たないが。自我はロバのようにふと頑なになることがあるということである。頑固な家畜を扱う人は、どのようにそれを扱えばいいか知っている。二つ方法がある。1)餌を減らす2)仕事を増やす、である。餌を減らすことで、体内にある頑固な力を減らす。仕事を増やし疲れさせることで頑固な力を減らす。この方法でおとなしくなるわけである。悪に傾きやすい自我の治療も同じである。「餌を減らす」=「食事を減らす」。まだ少し食べたいな、というところでアッラーのために止めておくこと。月・木に斎戒するのがいいだろう。または月に3日の斎戒を。食事を減らすことでの精神鍛錬は力を呼び起こす。独力しながら、食事を軽減する。自我が何かを求める度に、「では今夜は礼拝に立つぞ」と言い聞かせる。1時間半ほど祈り、朝は斎戒をする。夜中起きていたからと言って仕事を休んではいけない。イフタールは軽めに摂り、努力する。これは3,4日続けてみて、自我がどのように降参するか確かめるといい。

野生の馬を誰かが馴らしているのを見たことがありますか。馬は乗っている人を必死に振り落とそうとする。自我も同じことをする。しかし調教師は頑なにに馬を馴らそうしつづける。馬から落とされても、また跨って馴らそうとするだろう。そのたびに馬は諦めて大人しくなる。自我も同じである。

もしハーティルが自分が犯した罪の直後に現われたものである場合。あなたは罪を犯し、アッラーに対して無礼を働いたのに謝らず、再度同じことをしているわけである。笑い、軽視している。信号無視をして、後方で警察官がメモを取っていたり、監視カメラで撮影された時、ある程度の心配が発生するのではないか。彼は単なる警察官であり、カメラである。あなたが天地を創造した御方に背くとき、心の中で何も感じないのか。先代の人々は、何かを犯してしまったら、天が自分に落ちてきてしまうのではと恐れていたものである。アッラーは度々赦し給う御方であることは十分承知している。しかしアッラーに対する後ろめたさがある。しかし罪を犯しても重要視しない者。アッラーがどのように自分を眺めておられるか考えない者。だからこそ、このような者は罪を犯した後にまた新しい罪を犯すべくハーティルが起きるのである。繰り返し繰り返しそのように起こり、最終的にムスリムとして死ねないかもしれないのである。そのため、悪のハーティルが起こった時、自分がまだ悔悟していないと分かったなら、すぐにアッラーに帰らなければならない。アッラーよ私を御赦しくださいと言わなければならない。2ラクアの悔悟の礼拝を捧げ、涙し、アッラーに赦しを請うのだ。そうすればかのハーティルは去ったことに気づくだろう。

(続く)

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