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71章解説【4】

2014年01月03日 | ジュズ・タバーラカ解説
25.彼らの罪過(ざいか)により、彼らは(洪水で)溺れさせられ、そして(来世で火獄の火に入れられた。そして彼らはアッラーの他に自分たちの援助者を見出さなかった。
26.そしてヌーフは言った、「わが主よ、地上に不信仰者から一人の住人も放置し(残し)給うな」。
27.「まことにあなたがもし彼らを放置し(残し)給えば、彼らはあなたのしもべたちを迷わせ、背徳の不信仰の輩しか生まないでしょう」。
28.「わが主よ、私と私の両親と私の家に信仰者として入る者、そして、信仰者の男たちと信仰者の女たちを赦し給え。そして不正な者には滅亡しか増やし給うな」。

ここから、不信の行く末と酷く悪い結末を描写している決定的応答がアッラーより寄せられます:
  「彼らの罪過により、彼らは(洪水で)溺れさせられ、そして(来世で火獄の火に入れられた。そして彼らはアッラーの他に自分たちの援助者を見出さなかった。」

 つまり、彼らの数々の罪のために彼らは現世では洪水で溺れさせられ、来世では火獄に入れられる、という意味です。ここでの火獄は、現世と来世の間にある短い期間にある墓の罰を指しているかもしれません。彼らはアッラー以外に罰から助けてくれる存在を見つけることは出来なかったのです。

 そしてヌーフは自分の民に対する呪いの祈願を続けます:
 
「そしてヌーフは言った、「わが主よ、地上に不信仰者から一人の住人も放置し(残し)給うな。まことにあなたがもし彼らを放置し(残し)給えば、彼らはあなたのしもべたちを迷わせ、背徳の不信仰の輩しか生まないでしょう」」

 ヌーフは、地球が治療の施しようのない不信のよごれから清まらなければならないことを悟りました。そのためにヌーフはその主に不信仰者を滅ぼしてくれるよう祈ります:「地上に不信仰者から一人の住人も放置し(残し)給うな」つまり彼らのような者を一人でも地上に生かし給うな、という意味です。不信仰者による不信仰への固執はアッラーの教えへの誘いを停止させてしまい、また人々を導きの道から外してしまいます。また不信仰者たちの子孫は祖先と同じ生き方を辿るため、地球には不信が残り続けます。「背徳の不信仰の輩しか生まないでしょう」アル=ファージルとは、主に背き、真実から傾く人の事を言います。カッファールは、不信において度を越した者を指します。

 ヌーフによる民が滅びるようにとの祈願の傍ら、この祈りは信仰者たちのための慈悲のこもった懇願でもありました:
 「わが主よ、私と私の両親と私の家に信仰者として入る者、そして、信仰者の男たちと信仰者の女たちを赦し給え。そして不正な者には滅亡しか増やし給うな」

 アッラーから遣わされた預言者であるヌーフによるその主からの赦しの願いです。これは自分が人間であること、どんなに主に仕えていても間違いを犯しすべてを全うできないことを忘れないしもべの祈りです。

 また彼の両親ための祈りは、彼らに対する忠誠であり、親孝行について信仰者に教えるものでもあります。

 また彼の家に入った信仰者と、信仰者の男たちと信仰者の女たちのための特別な祈りは、信仰者が信仰者に寄せる思いやりであり、自分に好むように兄弟に良きものを好むこと、そして強い同胞の絆と時間の経過とともに彼らを一つにする純粋な親愛です。

 信仰者たちに向けた愛情とは対照的に、章の終りに不正な者たちに滅びがあるようにとの呪いの祈りが述べられます。「そして不正な者には滅亡しか増やし給うな」タバールは、滅亡、損失の意味です。

 アッラーはヌーフ(平安あれ)の祈りを聞き入れ給い、洪水を送り給うたことで不正者たちは溺れました。代わってアッラーはヌーフと彼と共に信仰していた者たちを、船を彼らに作らせてそれに乗せることで救い給いました。人々は船に乗り、溺れから助かったということです。クルアーンはこの話を数か所で述べています。

参考文献:ルーフ・アル=クルアーン タフスィール ジュズ タバーラカ/アフィーフ・アブドゥ=アル=ファッターフ・タッバーラ薯/ダール・アル=イルム リルマラーイーンP85~86)

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