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71章解説【3】

2013年12月19日 | ジュズ・タバーラカ解説
13.『アッラーに尊厳を期待しないとは、おまえたちはどうしたことか※』。
※なぜアッラーの尊厳を恐れないのか、の意味とも言われる。
14.『また彼はおまえたちを確かにいくつもの段階に創り給うたというのに』。
15.『おまえたちは見なかったのか、いかにアッラーが7つの天を重層に創り』、
16.『そして月をそれら(7つの天)の中の光とし、太陽を灯明(とうみょう)となし給うたかを』。
17.『またアッラーはおまえたちを大地から生やし(産出させ)』、
18.『それからおまえたちをそこ(大地)に戻し、そして、外へと出でさせ給う』。
19.『また、アッラーはおまえたちのために大地を敷布(広げられたもの)となし給うた』。
20.『おまえたちがそこに広い道を辿るために』。」
21.ヌーフは言った、「わが主よ、まことに彼らは私に背き、その財産とその子供が損失しか増やさなかった者(彼らの頭目(ずもく))に従いました」。
22.「そして彼らは大それた策謀を企(たくら)みました」。
23.「そして彼らは言いました、『おまえたちは、おまえたちの神々を捨ててはならない。おまえたちは、ワッドもスワーゥもヤグースもヤウークもナスルも捨ててはならない』」。
24.「そして彼ら(頭目たち)はすでに多く(の追従者)を迷わせました。そして(わが主よ)不正な者たちには迷誤(めいご)しか増やし給うな」。

 ヌーフのその民との長い戦いを追っていくと、彼は彼らの注意を彼ら自身の中に存在しているアッラーの諸しるしに向けていることが分かります。またヌーフは彼らのアッラーに対する無礼さに驚きます:

「アッラーに尊厳を期待しないとは、おまえたちはどうしたことか(なぜアッラーの尊厳を恐れないのか、の意味とも言われる)また彼はおまえたちを確かにいくつもの段階に創り給うたというのに」

 وقار(ワカール)が人間のこととして使われると、英知や釣り合いの意味を持ちますが、アッラーのこととして使われると、偉大さという意味を持ちます。つまり:おまえたちはどうしたことかアッラーの偉大さを恐れないのか、彼こそがおまえたちを段階に作り給うたのに。「段階」が指すのは、人間がその母親の腹の中で精滴から肉塊そして骨と肉で出来た被造物に変化する過程です。

 またヌーフは民の視線を英知ある創造主を彷彿とさせる世界に向けさせます:
 「おまえたちは見なかったのか、いかにアッラーが7つの天を重層に創り、そして月をそれら(7つの天)の中の光とし、太陽を灯明(とうみょう)となし給うたかを」

 人々よ、アッラーがいかに7つの天を重ね合わせて創り、月を現世の天における大地の暗闇を照らす光とし、夜に灯明を使って明るさを求めるように、人々が昼間に求める灯とし給うたことに留意しないのか、という意味です。

 またヌーフは、彼らが大地から生まれ、死によってそこへ帰って行くことへ視線を向けさせます。彼らを初めに創った御方は、彼らを清算と報復のための審判の日に生きた状態で生き返らせることが可能であることを強調するためです:

 「またアッラーはおまえたちを大地から生やし(産出させ)、それからおまえたちをそこ(大地)に戻し、そして、外へと出でさせ給う」

 そして最後にヌーフは民の視線をアッラーが彼らに恵み給うた地上にある生活を遅れるようにするための恩恵へと向けさせます:
 「また、アッラーはおまえたちのために大地を敷布(広げられたもの)となし給うた。おまえたちがそこに広い道を辿るために」

 大地を敷布と:平坦に。
 この言葉は、ヌーフがその民を訓戒するものとして彼の舌で語られたものですが、それと同時にアッラーから人類へ向けられたものでもあるのです。

 至高なるアッラーは、広い道を辿れるよう大地を平らにすることによってしもべに恩恵を与え給えました。このクルアーンの予言は現代に実現しています。クルアーンが啓示された14世紀の時代の道には、数名の歩行者と家畜に乗る人たちだけの広さしかなかったはずです。しかしさまざまな大きさの車がそう遠くはない昔に発明された後は、人間は交通の便のために巨大な機械を使って道を広くしました。そして道路の拡張には国家予算での潤沢な資金が充てられるようになりました。

 以上のすべての訓戒にもかかわらずヌーフの民はその迷いの中に留まり続けました。そのときヌーフは、彼の民の変わらぬ迷いから来る痛みを感じさせる言い方で主に苦情を訴えます:
 「ヌーフは言った、「わが主よ、まことに彼らは私に背き、その財産とその子供が損失しか増やさなかった者(彼らの頭目(ずもく))に従いました」

 ヌーフは主に呼びかけます:私の民は、あなたへの信仰や己たちの罪の赦しの懇願といった私が彼らに導こうとしたことにおいて私に背きました。そして不信仰と財産と子どもが現世における迷いと来世における罰しか増やさない彼らの頭目に従いました。

 ヌーフの民が不信仰に頑なになっている理由は:自分たちが所有している富や子どもや名声や権力で追従する者たちを騙している自らが迷いまた回りを迷わす指導者たちの後ろに続いていることです。

 つまり裕福で迷ったリーダーたちに追従することは彼らにとって現世と来世における損失であるということです。なぜならかのリーダーたちは彼らを行き過ぎた不信仰心を持つようにさせるからです。

 ヌーフは主への呼びかけを続けます:
 「そして彼らは大それた策謀を企(たくら)みました。そして彼らは言いました、『おまえたちは、おまえたちの神々を捨ててはならない。おまえたちは、ワッドもスワーゥもヤグースもヤウークもナスルも捨ててはならない』。そして彼ら(頭目たち)はすでに多く(の追従者)を迷わせました。そして(わが主よ)不正な者たちには迷誤(めいご)しか増やし給うな」

 「そして彼らは大それた策謀を企(たくら)みました」مكرは詐欺です。彼ら頭目たちは民を大きく欺き、これらの偶像に固執するよう奨励しました。これらの偶像は彼らの時代以降もムハンマドのメッセージが到来する時代まで崇められ続けてきました。それらの名は:ワッド、スワーゥ、ヤグース、ヤウーク。

 このようにして各頭目たちは名前と形の違う偶像を祀って、その回りに追従者たちを侍らせます。石の偶像、人の偶像(人の崇拝)、思想や迷った学派の偶像があります。

 頭目たちはこれらの偶像を自分たちの利益のために利用しました。偶像は崇拝する人たちに重くのしかかり、人類間に争いごとを植え付け、そして創造主とアッラーの教えが推奨する道徳から人間が遠ざかるように仕向けました。

 これらの偶像は人々の多くを迷わせました。「そして彼らはすでに多くを迷わせました」またはヌーフの民の頭目たちは多くの人を迷わせた、という意味にもなり得ます。

 この定着してしまった迷いの後、ヌーフは望みの持てない民を呪います:
 「そして(わが主よ)不正な者たちには迷誤(めいご)しか増やし給うな」彼らの信仰を失望し胸を痛める者の祈りです。彼はあらゆる方法を使って彼らを納得させようとしましたが、少しも成功せず、彼らの面前には、痛ましい懲罰が相応しくなる更なる迷いの増加しか残っていませんでした。

参考文献:ルーフ・アル=クルアーン タフスィール ジュズ タバーラカ/アフィーフ・アブドゥ=アル=ファッターフ・タッバーラ薯/ダール・アル=イルム リルマラーイーンP82~85)
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