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114章解説

2009年06月06日 | ジュズ・アンマ解説

 

 この章は、善と悪の葛藤と、人間の天性の中にある悪行を象徴すると同時に、悪を回避することと悪に勝てるようにアッラーに力を求めることを暗示しています。

 まずこの章は、アッラーへ避難するよう信者に求める言葉で始まっています。そしてアッラーの三つの性質が述べられます:かれこそが人々の主であること、つまり、彼らの教育を任された御方。そしてかれは人々の王であること、つまり、彼らを支配し、彼らに命じ、禁じる御方。そしてかれは人々の神であること、つまり、本物の崇拝対象なる御方。かれは強い御方で全てのことを成し遂げる御方であり、かれこそが全ての悪から私たちを守り給う御方であることをアッラーは私たちに思い出させているようです。強大な悪の力に応じるためにはこのような性質を要するのです。そこで信者に求められるのはアッラーにお助けを求めることです:「言いなさい、私は人々の主、人々の王、人々の神に加護を求めます、と。」三つの性質はアッラーに属します。それらには、力と抑制と保護の機能があります。信者を見張り、悪を美しいものに見せかける隠れた敵から人間はアッラーのこの三つの性質に逃げるのです。

 「人々」というフレーズが繰り返されていることや、「人々」がアッラーの属格として特別な意味合いを持つことで、人々がかれの導きに沿って生きた場合の彼らのアッラーのもとにおける位の高さや尊さが説明されます。

 こっそりと忍び込み、囁く者の悪から。アル=ワスワース(囁く者)とは、人々の胸に囁く悪魔です。アル=ワスワサ(囁き)とは、隠れた声や心の声です。悪魔はアーダムの子の心に腰を下ろし、彼が気を抜いてアッラーを想うことを忘れると、悪に導く隠れた言葉で人間に囁きます。しかし人間が主を想えば、悪魔は縮んで人間を害したり迷わせたりすることを諦めます。

 アッラーに加護を求めることは、悪に誘導するものや悪を犯してしまう可能性を放棄することと結びついていなければいけません。それなしのイスティアーザ(加護を求めること)は無意味な行為でしかありません。

 続いて至高なる御方は、囁きがジンのものである場合と、人間のものである場合があると仰せ給いました:「それが人間の胸に囁きかける、ジンであろうと、人間であろうと。

 実に人間による囁きはさらに危険で害が大きいものです。あなたのもとに友達や親戚や仲間が信頼の置ける忠告者として現れては、悪を美しいものに見せかけて、あなたが悪に陥るまでそうするかもしれないからです。

 ジンは各種類に分かれています。彼らの中には善行を成す良い者がおり、またイブリースやその子孫のように迷い腐敗した者もいます。彼らこそは、悪に導くものの強化を習慣化する悪魔です。彼らこそがアッラーの加護を求められる対象なのです。

 注目すべき点に、アッラーは「囁き」を「人々の胸に囁くもの」、と表現し給うたところがあります。「スドゥール(胸)」と読んで、実は胸の中に存在する「心」をアラブでは指します。心こそが囁きが入り込む場所であると同じように、「心」が指すものが固体ではなく、その場所に安置されている精神的力であることが意味として求められています。

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2 コメント

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Unknown (mai)
2009-06-16 19:01:02
いきなりですいません、
アラビア語でイスラームの音楽(ナシード)って知っていましたら教えてください。
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ナシード (伊曼)
2009-06-17 09:19:07
maiさん、コメントありがとうございます。

ナシードはたくさんあります。

http://www.islamway.com/?iw_s=Nasheed&iw_a=search&for=monshid&monshid_id=6

http://www.mouslimtube.com/artists/%DA%C8%CF+%C7%E1%DE%C7%CF%D1+%DE%E6%D2%DA

http://www.ashefaa.com/files/enshad/Sa3d_Al-Gaamdi.html
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